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音楽のこと

【鋼】Operation: Mindcrime『The Key』レビュー

2016年9月21日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

2015年リリース。前身となる『Frequency Unknown』以降、バンド名&ほぼ全ての楽曲の使用権を剥奪された Geoff Tate さんが、唯一権利を持つ "Operation: Mindcrime" をバンド名に採用してから初となるフルアルバムであり、仮想通貨・ネットバンキング・株取引などをテーマとしたコンセプト・アルバム三部作の1作目です。1st ですが、Frequency〜 を含めると実質2作目。

Frequency〜 から続投となる Kelly Gray さん(Gt.)・Randy Gane さん(Key.)・Simon Wright さん(Dr.) に加え、本作から John Moyer さん(Ba.) や Brian Tichy さん(Dr.) などが正式メンバーとして参加しています。

中でも特筆すべきは、元Union Underground で 現Disturbed のベーシストも兼任する John Moyer さんではないでしょうか。後述しますが、John さんの本作における貢献度はなかなか大きく、彼がいなければおそらく "グランジ/オルタナ期Queensrycheの焼き直し" 的な完成度にとどまっていたように思います。

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フックの効いたアレンジ&繋ぎのSEで、単なるオルタナ路線から "味わい深いオルタナ路線" へ

全体的には 5th『Promised Land(邦題:約束の地 〜プロミスト・ランド〜)』と 10th『American Soldier』を足して二で割ったような雰囲気で、繋ぎの SE は歴史的名盤である 3rd『Operation: Mindcrime』を思わせるストーリー性の高い雰囲気を醸し出しています。

ド頭から Radiohead を思わせる浮遊感&サイケデリックなサウンドの #1『Choices』が流れてきた時は「こっちの路線で行くの?」と一瞬思いましたが、続く #2『Burn』が流れてきた時点で Geoff Tate's Queensryche の延長線上の作風だと認識しました。

早い段階で #3『Re-Inventing the Future』のような "全盛期のQueensrycheスタイル" な楽曲をブチ込んできたのは、既存ファンの離脱を抑えるための策でしょうか。冷やっとしたキーボードの音色や緊張感溢れるサウンドは、当記事執筆時点での "本家の直近作品" である『Queensryche(2013)』『Condition Human』などと比較しても、最も当時の音楽性を再現出来ているように思います。

続く #4『Ready to Fly』および #5『Discussions in a Smoke Filled Romm』〜 #6『Life or Death』の組曲に漂う退廃的な雰囲気も良い味を出しています。#4 のキーボードは、初期 Dream Theater っぽいかも。

#7『The Stranger』#8『Hearing Voices』では、John Moyer さんのリズミカルなベースが炸裂しています(本作には Megadeth のベーシスト David Ellefson さんも参加しているようですが、この2曲の作風は間違いなく John さんによるものだと思います)。American Soldier の #1〜#2 を初めて聴いた時に「こっち方面に行きたいのかな?」と薄々感じていましたが、本家ベーシストが絡むとまんま Disturbed です。

Geoff さんによるサックスの音色が味わい深い #9『On Queue』や陰鬱なアコースティック・ギター・サウンドを中心に据えた #10『An Ambush of Sadness』〜 #11『Kicking in the Door』の組曲は、確実に Promised〜 を聴き手に想起させるための仕掛けでしょう。

#12『The Fall』の、Pink Floyd・Paradise Lost・Djentyな変拍子をゴッタ煮にしたようなプログレメタル・サウンドもクセになります。

 

オラオラ系アートワークに騙されることなかれ。楽曲のクオリティは "及第点以上"

Disturbed が大好きな私は、John さんのベースが絡むだけで無条件に評価が甘くなってしまいがちです。とは言え、本作の魅力を押し上げているのは彼のベース・サウンドだけではありません。

Randy さんによるキーボードは、かつての Queensryche が持っていた "独特の緊張感" を2015年に復活させています。初期 Queensryche のサポート・キーボーディストを務めたこともある方なので、雰囲気はバッチリです。

Geoff さんへの悪印象も手伝ってか、本作に対する巷の評価は割れているものの、個人的には "良作" だと思います。アートワークが Frequency〜 同様 LDH ばりのオラオラ系なのはどうかと思いますが、下品なメッセージが込められていないだけマシだし、楽曲は前作よりも思慮深く作られていて好感触です。

余談ですが、個人的には Geoff さんサイドの作品も Queensryche だと考えています。考えてもみれば "オルタナ化してからの期間のほうが長い" わけで、何やかんやでバンドのカラーは受け継いでいるんですよね。パワーメタル路線を引き継いだ楽器隊3人と、Promised〜 以降のオルタナ路線を引き継いだ Geoff さん、ということで両方ともアリだと思います。

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