HAGANEYA(@imech_jp)です。

1988年リリース。プログレッシブ・メタル・バンド Queensryche の通算3作目のフルアルバムであり、ロック/メタル史に凛然と輝くコンセプト・アルバムの一つとして超有名な作品です。

そもそも私ごときが、世の芸術作品に “レビュー” などという言葉を使って記事を書くこと自体がおこがましいとは常々思っているのですが、本作に関しては本当に “恐れ多い” と言うよりほかありません(”レビュー” というワードも便宜上利用しているに過ぎません)。

まず先に言っておきますと、本作は間違いなく名盤です。逆張りして目立ちたいだけの方やマトモに聴いていない方々を除けば、ここまで低評価の少ない作品は極めて珍しいと言えます。

ただ、あまりにも絶賛の声が多いゆえ「既に名盤認定されているから、意見を合わせてる人が多いだけじゃないの?」といった疑惑を抱かれる方も中にはいらっしゃるでしょう。確かにそういった一面はあるかもしれませんし、私も “入り口” 自体はそんな感じでした。

スポンサードリンク

 

ストーリーを完全無視しても “正統派メタルの傑作” として楽しめる

私が本作を手に取ったのは10年前ぐらいですが、その3〜4年前に『Promised Land(邦題:約束の地 ~プロミスト・ランド~)』というワゴンの常連でお馴染みの作品を聴いており、名前だけは知っていました。

ただ、当時は Queensryche というバンドの立ち位置や、どのようなジャンルの音楽をやっているのかといったことは一切知らず「グランジっぽいけどジャケ絵ダサいしバンド名もパッとしないし・・・有名なバンド?」といった失礼な感想ばかり抱いていたのを覚えています。Promised〜 も実は名作なんですけどね。

その後、自分なりに色々と調べた結果 “Promised〜 は代表作ではない” ということが判明。さらにこのバンドが Dream Theater と双璧をなすプログレメタル・バンドだということを知り一気に興味が沸いた私は、彼らの黄金期の作品を買い集めるようになっていきます。

そんな回り道を経て出会った本作ですが、最初聴いた時は「これってプログレメタル?普通のメタルじゃないの?」といった印象を抱きました。後追いの私にとって、“超絶技巧” “変拍子” “長尺” “幻想的” といったステレオタイプなプログレメタル的特徴が薄い本作の作風は、とても不思議に映ったのです。

ただ、その第一印象がネガティブなものだったのかというと決してそういうことはなく・・・当時の私は同時並行で Judas Priest などの正統派メタルも聴き始めていたため、チャンネルをそちら側に切り替えて聴いていました。

そう、このバンドは正統派メタル( or ハードロック)としても聴けるのです。

関連記事

【鋼】Queensryche『Queensryche EP』レビュー

 

  1. I Remember Now
  2. Anarchy—X
  3. Revolution Calling
  4. Operation: Mindcrime
  5. Speak
  6. Spreading the Disease
  7. The Mission
  8. Suite Sister Mary
  9. The Needle Lies
  10. Electric Requiem
  11. Breaking the Silence
  12. I Don’t Believe in Love
  13. Waiting for 22
  14. My Empty Room
  15. Eyes of a Stranger

#5『Speak』や #6『Spreading the Disease』のカッティングなんてもろに Judas Priest ですし、#2『Anarchy-X』~ #3『Revolution Calling』の組曲的構成は、『Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)』における The Hellion ~ Electric Eye と同等かそれ以上のワクワク感を聴き手に与える、“メタル界最強の冒頭曲” の一つと言っても過言ではないでしょう。

『Operation: Mindcrime』が優れている理由。それは、極めて完成度の高いシナリオを “完全無視” したとしても、高水準の HR/HM として楽しめるところにあります。歌詞・ライナーノーツを読まずにいきなり聴いても “格好良い” わけです。

 

“現実世界への問題提起” という真のテーマをわかりやすく伝えるためのラブストーリー

とは言え、本作を聴くにあたって “ストーリーを読まない” という選択肢はもったいないと言わざるをえません。

以下のブログで、本作リリース当時のB!誌の内容を引用しつつ、詳しいストーリーが解説されているので、ぜひ参考にされてみてください。

参考記事

【徹底解説】I remember now~Anarchy X~Revolution calling|撃墜王への道 ※連載形式になっています

CD付属のライナーや対訳のほうである程度のストーリーは既に知っていたものの、Geoff Tate さんへのインタビュー記事の内容があまりにも濃すぎて、ついつい読みふけってしまいました。

簡単に言ってしまうと “カルト宗教の教祖に利用され続けた2人の男女による、悲劇的なラブ・ストーリー” となるわけですが、当然こんな軽薄な一文で表現できるような浅い内容ではありません。

回想シーンから始まり、過去の出来事を追体験していく構造は Dream Theater の『Metropolis Pt. 2: Scenes from a Memory』と似ています(というかおそらく本作が影響元の一つ)。ただ、Metropolis Pt. 2 が “個人の恋愛トラブル” を “ファンタジー” へと落とし込んでいるのに対し本作は、現実に起こっている様々な問題を、ラブストーリーという “フィルター” を通して訴えかけている作品、といった感じです。

 

『Operation: Mindcrime』=70’sプログレ+正統派メタル+パンク・ロック

Charles Wesley “Wes” Griswold さんによる “モノクロ写真+赤白バンドロゴ+黄黒ドクロ” のアートワークからは、現実世界の問題を絡めた本作のストーリーと同様 “パンク・ロック” 的な要素を感じます。何も知らずに本作を手に取られた方はおそらく、Queensryche をパンク・バンドだと勘違いしてしまうのではないでしょうか?

実際、本作に流れているポリティカルな空気感にはそうさせるだけの説得力がありますし、Rage Against the Machine をパンクと呼んで良いのであれば、本作におけるこのバンドの精神性も間違いなくパンクでしょう。

70’sプログレッシブ・ロック的な展開” をベースにしつつも “正統派メタル・バンドのようなキャッチーな音楽性” を備え、”パンク・ロックに通ずるシリアスなメッセージ性” でもって訴えかけてくる。本作はそんな作品です。

スポンサードリンク

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします