HAGANEYA(@imech_jp)です。

1981年リリース。邦題『黄金のスペクトル』の名でも知られている本作は、様式美的なメタルの気持ち良さよりも “リフの格好良さ” を突き詰めた前作『British Steel』の延長線上にある作風であり、”メタル界の代表作” として歴史に名を刻むことになる次作『Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)』の前年にリリースされた “過渡期の作品” として有名です。

いわゆる「”メロスピ” とか “クサメタル” しか聴けない(聴きたくない)」といった方々からは120%敬遠される音楽性であり、どちらかと言えば『Soundgarden』『Stone Temple Pilots』といったグランジ系のロックが好きな方に支持されるであろうタイプの作品になります。

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日本人にお馴染みの “地平線” ジャケは、実は別バージョン

本作は “UK盤” と “US盤/JP盤” でパッケージが異なることで有名です。おそらく、ほとんどの日本人リスナーにとっては “地平線” ジャケのほうが馴染み深いかと思いますが、どうやら我々が目にしていたものは “別バージョン” だったようですね。

この件については、Amazonカスタマーのレビューに興味深い記述があります。その方は、いわゆる “地平線” ジャケのほうを『Point of Entry(訳→入国地点?)版』、黄金色に輝く背景に “尖った物体” がニョキッと出ているほうを『”黄金のスペクトル” 版』と呼んでいるそうです。

というか、そもそも “スペクトル” の意味がイマイチよくわかっていないのですが・・・おそらく “光の波長を可視化したもの” 的な意味合いのような感じでしょうか?

ともあれ、巷の声を聞く限りだと「”地平線” ジャケのほうが良い」という意見が多いみたいです。かくいう私も “地平線ジャケ” 派です。

 

よりアメリカナイズされた、ラフなサウンド

らしくないサウンドにも関わらず “バンドの代表曲” の一つでありロック史にも名を刻む超名曲 #1『Heading Out to the Highway』、初期Stone Temple Pilotsを思わせる渇いたリフが特徴的な #2『Don’t Go』、Judas印のスピード・チューンに渋いサビのメロディが絡む #3『Hot Rockin’』、明るいイントロ&サビと気だるいA・Bメロとのギャップがクセになる #4『Turning Circles』、オルタナティヴ系ドラムの溜め感&哀愁のハードロックが融合した #5『Desert Plains』、ミドル・チューンにも関わらず飛翔感溢れるギターが心地良い #6『Solar Angels』、パンク・ロック的な軽快なサウンド&中盤から後半にかけての浮遊感に意表を突かれる #7『You Say Yes』、晴れた日にドライブに行きたくなる #8『All the Way』、歌い方までアメリカナイズな #9『Troubleshooter』、ロカビリーなリズムにRob Halford印のハイトーンボーカルが乗っかる #10『On the Run』。

ハードロック要素を持ちつつも “一太刀一太刀に重みを感じる” 前作とは趣が異なり、本作はよりアメリカナイズされたラフなサウンドへと変化しているのが大きな特徴です。

これを “進化” と捉えるべきか “迷走” と捉えるべきかは、ファンによって意見が分かれると思います。

ステレオタイプな “Judas Priestらしさ” を何よりも優先する方々にとっては許しがたい音楽性なのかもしれません。逆に、幅広くロック音楽を聴いてきたような方々にとっては「いや・・・これも普通に Judas Priest でしょ?」といった印象を持たれるのではないでしょうか。

このバンドに限った話ではありませんが、音楽性を変化させても “ならではの音” というのは案外残っているものです。とりわけ Judas Priest は「自身のスタイルをコロコロ変化させまくっているにも関わらず、本質的な部分においての “ブレ” が少ない」ので、聴くとすぐにわかります。これは、”問題作” シリーズの一つである『Turbo』も同様です。

 

英国メタルの雄としての “上品さ” が顔を覗かせるアメリカン・ロック

アメリカ市場を露骨に意識して作ったにも関わらずチャートが前作より若干下がってしまったのは、やはり “借り物の音楽性だったから” でしょうか。日本のアーティストが “洋楽ライクな作品で海外進出するも完全スルーされる” 状況とやや似ているかもしれません。

実際、90年代に米国で起きた “グランジ/オルタナティヴ・ムーブメント” 等においても、英国出身のバンドの存在感は小さかった印象があります(向こうは向こうで “ブリットポップ” があったけど)。

もちろん、チャート成績が芳しくない=質が悪いというわけではありません。むしろ、アメリカナイズされたサウンドにも関わらず、英国メタルの雄としての “上品さ” が顔を覗かせるというか・・・良い意味で “アメリカ人には作れないアメリカン・ロック” といった感じですし、これはこれでアリだと思います。

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