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音楽のこと

【鋼】Megadeth『Risk』レビュー

2016年10月17日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

1999年リリース。前作『Cryptic Writings』から2年ぶりとなる通算8作目のフルアルバムであり、ヒザの故障で脱退した Nick Menza さんの後任として、元 Y&T の Jimmy DeGrasso さん(Dr.) が初参加した作品です。彼は Dave Mustaine さん(Vo.) のソロ・プロジェクト『MD.45』でもドラムを叩いているため、おそらくそちら経由での登用でしょう。

なお、Marty Friedman さん(Gt.) は本作を最後に脱退してしまったため、4th『Rust in Peace』時代からの安定的なラインナップがここで完全に途絶えることとなります。

Marty さんの脱退理由でもある「"ポップス" or "メタル" どちらか一方に極端に振り切れていない、バンドの中途半端な姿勢」が作風に反映されたと思われる本作。そして、インダストリアル・ロック要素を取り入れたダンサブルなサウンドは従来の Megadeth には一切存在しない異質なものです。

旧来のファンのみならず "メンバー自身も認める失敗作" というのが本作への一般的な評価でしょう。ただ、過去作や以降の作品を含め "バンド史上最もメロディに比重を置いた" 作風は、そのメロディラインの質の異様な高さゆえに、問題作・駄作と一言では片付けられない魅力があるのも事実です。

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Cryptic~ から受け継いだ魅力的なメロディと共存する "ダンサブル" なアレンジ

前作の場合、ヘヴィ・メロディアス・スピードそれぞれに特化した楽曲が3〜4曲ずつ存在し、各々の持ち場を担当している印象がありました。

本作は、その中の "メロディ" に焦点を当てており、#5『Breadline』#7『I'll Be There』#8『Wanderlust』#9『Ecstasy』#11『Time: The Beginning』など、約半数の楽曲がここに該当します。前作で言うところの "I'll Get Even" や "Use the Man" 的なメロディラインの楽曲が幅を利かせている感じです。

ただしそれとは別に、冒頭でも触れた "ダンサブル" なアレンジの楽曲が共存しています。

Ministry を思わせる張り裂けるようなギター・サウンドがクセになりそうな #1『Insomnia』、Blur の "Girl's & Boys" でも始まるのかと思わせるほどポップなイントロの #4『Crush 'Em』などは比較的わかりやすいですが、#7 や #9 など "バスドラム・スネア・ハイハットの使い方" でダンス感を演出しているタイプの楽曲もあり、一口にインダストリアルと言ってもアプローチとしてはバラエティに富んでいる印象です。

ロックンロール的なリズムを持つ唯一の全編スピード・チューン #10『Seven』、グルーヴ・メタル系の #2『Prince of Darkness』#6『The Doctor Is Calling』#12『Time: The End』など、従来の文脈に沿って作られたような楽曲もポツポツと存在しますが、全体的な印象としては "メロディアス&ダンサブルな作品" といったところでしょうか。

 

Marty Friedman の "曲作りへのジレンマ" とは裏腹に高品質なポップ・メタル

で、やっぱり思うのが「この時期の Megadeth はメロディが抜群に良い」ということです。

前作から大きく受け継いだのが "ポップ" 要素だったということが原因かどうかはわかりませんが、スラッシュ期のみならずグルーヴ・メタル期のファンまでをも失望させてしまったようで、本作は商業的にも失敗に終わっています。

ともあれ、Marty さんが "Tornado of Soulsの早弾きギターソロ" だけの人ではないということは、本作の作曲者のクレジットを見れば一目瞭然です。Nick さんが抜けたことも影響してか、Marty さんの楽曲制作への関与(+負担)が大幅に増えている本作が皮肉にも最後の作品となってしまった、というのが残念でなりません。

なお、商業的に失敗してしまった本作への反動か、次作『The World Needs a Hero』は、ヘヴィ・サウンドを極端に強調した作風へと変化しており、これまた別の意味で賛否両論となっています。

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