HAGANEYA(@imech_jp)です。

1984年リリース。処女作でもある自主制作 EP『Queensryche』から1年という短い期間でリリースされた 1st フルアルバムであり、Pink Floyd の数多くの作品や Judas Priest『Stained Class』『Killing Machine(邦題:殺人機械)』などを手掛けた James Guthrie さんによってプロデュースが行われています。

Queensryche EP の時点では、それこそ Judas Priest からの影響を受けまくった正統派メタル・サウンドだったわけですが、本作を初めて聴いた際に率直に感じたのは “とにかく地味” だということです。

前作のようなスピード・チューンではなく “ミドル・チューンを主軸に据えた渋い作風” はまるで、ブリティッシュ・ハードロック期の傑作『Sad Wings of Destiny(邦題:運命の翼)』 リリース時の “初期Judas Priest” そのもの。その上で、楽曲の質感やメロディラインからは “黄金期の Judas Priest のバラード曲” を彷彿とさせる哀愁を感じさせます。

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ポストJudas Priest から脱皮し “次の一手” を見せつけてきた作品

Pull Me Under(Images and Words) 型プログレメタルのプロトタイプとも言える構造を持つ楽曲であり【2分20秒】辺りからの Jefferson Airplane を思わせる呪術的なドラミングがクセになる #1『Warning』、単なる三連符のミドル・チューンかと思いきや【4分2秒】前後からのオペラ的なアプローチに意表を突かれる #2『En Force』、The Number of the Beast 以降の Iron Maiden を彷彿とさせる明るいベース・ラインが作品全体に流れるシリアスな雰囲気の中で異彩を放つスピード・チューン#3『Deliverance』、Atom Heart Mother(邦題:原子心母) をマイナー調にアレンジしたようなイントロやその後の “クリムゾンキングの宮殿” 的な哀愁漂う展開に70’sプログレへの憧憬を感じさせる #4『No Sanctuary』、SF映画的な SE や台詞を散りばめつつ Aメロの近未来サウンドが Rage for Order 以降の彼らの飛躍を予期させるスピード・チューン #5『N M 156』、Rob Halford さんと同等かそれ以上の熱量を持つ Geoff Tate さんの超ハイトーンボーカルが楽曲に映像作品並みの立体感を持たせている #6『Take Hold of the Flame』、さりげなく複雑な変拍子を織り交ぜつつもパッと見は普通のスロー〜ミドル・チューンに擬態している #7『Before the Storm』、 地を這うようなヘヴィなイントロを経て Geoff さんの何かに取り憑かれたかのような鬼気迫るボーカルに圧倒される #8『Child of Fire』、前曲からの雰囲気そのままにシリアスなミドル・チューンを聴かせつつ【7分20秒】辺りからアウトロへ向けてスピード・チューンで一気に駆け抜ける #9『Roads to Madness』。

前作は Judas Priest からの影響が9割前後を占めていた印象でしたが、本作では5〜6割ぐらいまで抑えられているように思います。で、残りの3〜4割の部分に Iron Maiden 的な大作主義と Queensryche 特有の近未来的な演出が入り込んできた感じです。

#2 『En Force』の1分27秒辺りに無理やりねじ込んだ「ドドドドドドド・・・チャッ!チャッ!」みたいなギター&シンセ・サウンドはアレですが、#5『N M 156』の Aメロなんかは 2nd『Rage for Order(邦題:炎の伝説)』への布石とも言えるのではないでしょうか。

また、#4『No Sanctuary』には、次作以降で失われてしまった牧歌的な雰囲気が残っており、このバンドの音楽的ルーツの一端を垣間見ることができます。

 

プログレメタル・バンド『Queensryche』誕生前夜の “正統派メタル”

きちんと向き合えば良い作品だとわかるのですが、次作『Rage for Order』や 3rd『Operation: Mindcrime』の華やかな演出と比べてしまうと、本作のインパクトの弱さは否めません。

その一方で “正統派メタル” 色は前作に次いで強めなので、プログレ要素に対してこだわりが無いのであれば、割とオススメできます。何せ “Judas Priestの後継者” と推されかけた彼らですから、演奏力・歌唱力・存在感は折り紙つきです。

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