HAGANEYA(@imech_jp)です。

1986年リリース。前作『The Warning』から2年ぶりとなる 2nd フルアルバムであり、Dokken や Nevermore などとの仕事で有名な Neil Kernon さんがプロデュースを担当しています。

前作の時点では、デビュー EP『Queensryche』の延長線上にある正統派メタル色がまだ色濃く残っており、プログレメタルの歴史的名盤である次作『Operation: Mindcrime』も実際のところは “コンセプチュアルな正統派メタル” といった趣が強めです。正直私も、このバンドについては Judas Priest・Iron Maiden などと同様の感覚で聴いていたりします。

ただ、そちらの感性で向き合おうとして本作『Rage for Order(邦題:炎の伝説)』を聴いてしまうと、まるで裏の裏をかかれたような作風に驚かされるかもしれません。

そう・・・Queensryche って “やっぱり” プログレメタルなのです。

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ニュー・ウェーヴ由来のシンセ・サウンドによって作り出された “近未来” 感

ギターのカッティングによる疾走感とミドルテンポのドラムが独特のグルーヴ感を引き出している #1『Walk in the Shadows』、プログレッシブな質感のイントロを経て初期ゴシック・メタルにも通ずるスロー&ダークなサウンドが空気を支配する #2『I Dream in Infrared』、三連符のリズムにアクセント的なシンセ・サウンドや印象的なギターリフが絡む #3『The Whisper』、ニュー・ウェーヴ的な質感を持つ Dalbello の原曲をストロングなインダストリアル・メタル・サウンドへアップデートした #4『Gonna Get Close to You』、空間的なエフェクトが効きまくった冒頭パートを経て【2分12秒】からのメロウなギターソロに心を奪われる #5『The Killing Words』、イントロでミドル・チューンかと思わせつつ途中から疾走感を増していく Iron Maiden 的な演出の #6『Surgical Strike』、冒頭部のこもったエフェクトが掛かった歌声やアウトロで繰り返されるインダストリアルなギター・サウンドが SF 感を強調している #7『Neue Regel』、 本作で最もプログレメタル的な変拍子が炸裂しているテクニカル・ナンバー #8『Chemical Youth (We Are Rebellion)』、冷やっとした空気感が支配するスローテンポな前半〜中盤を経て【3分12秒】辺りからの高速ギター・サウンドに意表を突かれる #9『London』、ターミネーターのテーマを彷彿とさせる機械的なリフと伝統的ヘヴィメタルが違和感なく融合した #10『Screaming in Digital』、1〜10曲目とは対極にあるアコースティックなギター・サウンドに Geoff Tate さんによる情感たっぷりの歌声が溶け込む #11『I Will Remember』。

唯一のスピード・チューンである #6『Surgical Strike』を除き、本作はスロー〜ミドルテンポの楽曲が大半を占めています。

また、同時期にリリースされた Judas Priest『Turbo』や Iron Maiden『Somewhere in Time』と足並みを揃えるかのように、近未来的なシンセ・サウンドを大々的にフィーチャーしているのも特徴的です。

これは個人的な印象ですが、Turbo の “緊張感に欠ける産業メタル的なポップ・サウンド” や、Somewhere〜 の “シンセ感がそこまで強くない” 作風などを見る限り「実はシンセ要素を最も上手く消化できていたのは Queensryche だけなんじゃないか?」と思っています。前述の2作は両方とも大好きな作品なのですが、シンセの取り入れ方が大味なので、好き嫌いがハッキリ分かれるんですよね・・・

それと忘れてはならないのが “メンバーの宣材写真” でしょう。rage for order queensryche biography  辺りで検索すれば出てきますが、本作だけ明らかにニュー・ウェーヴ系というかゴシック・ファッションというか・・・他の作品と比べると違和感があります。

実際この宣材写真の衣装が原因で、当時のリスナーから非難を浴びせられたようです。サウンド面で批判された Judas Priest や Iron Maiden とは対照的。

ただ、本作からは明らかにニュー・ウェーヴの影響も感じますし、イメチェンの方向性自体は間違っていなかったように思います。

ともあれ、英国メタルの雄が Turbo で US ライクな音楽性を提示し、米国メタルの雄が Rage for Order によって UK ライクな音楽性を提示したというのは、なかなか面白い現象です。お互い、隣の芝生は青く見えてしまうのでしょうか・・・

 

いわゆる “プログレメタル” な Queensryche を楽しむなら本作一択

プログレメタルの源流を知ろうとして Queensryche へと辿り着いた後追いリスナーの多くは、Operation: Mindcrime の作風に戸惑いを覚えるかもしれません。なぜなら、現在のプログレメタルの定義を基準に考えた場合、Operation~ の音楽性は “正統派メタル・バンドによるコンセプト・アルバム” に分類されてしまうからです。

一方、本作は Dream Theater タイプのプログレメタルから入った方々に対しても “わかりやすい” ギミックが散りばめられているように思います。

Turbo などと同様、80年代特有の “レトロフューチャー” 感があるのはご愛嬌。本作に限らず、80年代のSF系作品に漂う近未来感は、他の年代と比べると雰囲気作りの面において群を抜いています。SF好きにとっては、とても良い時代でした。

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