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音楽のこと

【鋼】Dream Theater『Images and Words』レビュー

2016年8月19日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

1992年リリース。触れ込み通りの "Rush meets Metallica" とも言うべき音楽性を持つ 1st『When Dream and Day Unite』以降に起こったレーベルとのゴタゴタを乗り越え、3年ぶりに復活を遂げたアルバム・・・ですが、本作でこのバンドを知った人の数が圧倒的に多く、実質 "真の意味でのデビュー作" とも言える作品です。

先に言ってしまうと、本作は "プログレッシブ・メタル" というジャンルが世に広まるキッカケとなった作品であり、メタルの歴史的名盤の一つとして有名です。つまり、レビューするまでもなく "安全作" であることが多くのリスナーによって証明されています。

ゆえに・・・ってのもおかしいですが、(当時の)あまのじゃくな私は「名作ってわかってるなら後回しで良いや」という変なこだわりが邪魔して、買うのを2〜3年も後回しにしてしまいました。

結論から言うと、私がとった行動は "ムダ" 以外の何物でもなく、本作を再生した瞬間に、後回しにしたことを悔やんだのです。

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単なる "Rushもどき" を回避した、Kevin Moore のメロディ・センス

コンセプト・アルバムである 5th『Metropolis Pt. 2: Scenes from a Memory』の前身とも言える大作曲も一部存在しますが、Dream Theater を知らない人に「これ、彼らのシングル・コレクションだよ」と嘘を付いても通用してしまうほどのキャッチーな楽曲で構成されています。ここまでシングル・コレクション感が強い作品を私は、Linkin Park の『Hybrid Theory』ぐらいしか他に知りません。

グルーヴ・メタルの重厚感とパワーメタル的な疾走感・メロディを併せ持ちつつ "控えめな変拍子" によって魅力が増幅されている #1『Pull Me Under』、格好つけず叙情性をありのままに体現したボーカルと Jay Beckenstein さん (Spyro Gyra) による都会的なサックスの音色に酔いしれてしまう名バラード #2『Another Day』、アンビエントなイントロ~フュージョン的なリズムによるA・Bメロ~4分34秒辺りからのグラディウス系スペーシー・サウンド…と彼らの引き出しの多さが表れている #3『Take the Time』、Tom Sawyer(Moving Pictures) を彼ら流にアレンジした感じのメロディアスなミドル・チューン #4『Surrounded』、緊張感に支配されつつも9分半があっという間に過ぎていく #5『Metropolis, Pt. 1: The Miracle and the Sleeper』、ダーク&メタリックなリフとスペーシーなメロディが交互に飛び込んでくる #6『Under a Glass Moon』、次曲への繋ぎ的な役割を持つコンパクトな楽曲であると同時に単体のバラード曲としても高い存在感を放っている #7『Wait for Sleep』、レトロなシンセ・サウンドや緩やかな場面転換にプログレッシブ・ロックへの憧憬を感じさせる11分超の大作 #8『Learning to Live』。

本作が歴史的名盤と呼ばれるまでの評価へ押し上げられた理由とは何でしょう?私は、単に「プログレメタルを世に広めたエポック・メイキングな作風だった」ことだけが理由だとは思いません。

理由の一つとしてまず挙げられるのが "ボーカル交代" です。Geddy Lee さん (Rush) 似の声質を持つ前任ボーカル Charlie Dominici さんも申し分ないスキルを備えていたのですが、本作以降の全ての作品でボーカルを務める James LaBrie さんの伸びやかで情感たっぷりの歌声は、メタル界を見渡してみてもなかなか "代わり" が見つかりません。

前述の要素ももちろん大きいのですが、もう一つの理由として確実に言えるのは、作曲面での Kevin Moore さんの貢献度です。

Kevin さんが奏でるキーボード・サウンドには、どこか物悲しい雰囲気が漂います。それは、Jordan Rudess さん加入後の『Metropolis Pt. 2』と、本作に収録されている『Metropolis Pt. 1』を聴き比べてみれば一目瞭然。Pt.1 の正統続編であるにも関わらず、Pt.2 には "あの頃の暗さ" を感じないのです(向こうは向こうでアリ)。

今にして思えば、初期 Dream Theater のアイデンティティーを握っていたのは紛れもなく"Kevin Moore" その人であり、彼が去った後の Dream Theater が技巧ばかりに注目されがちなのも、結局のところ "替えのきかない音を持つ人" を失ってしまったからではないかと個人的には思っています。

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"詰めの甘さ" と "先見性" が同居しつつも、あらゆる要素が高い水準で保たれている作品

『Metropolis, Pt. 1: The Miracle and the Sleeper』の意訳および考察を行われている興味深い記事を発見したので、気になる方は参考にされてみてください。Pt.1 は(続編である Pt.2 に比べて)歌詞が抽象的なので、ここまで深く掘り下げて書かれてあるのは非常にありがたいです。

参考記事
Metropolis Part1 意訳|Dream Theater 意訳サイト

それにしても、本作がリリースされたのが "1992年" 。改めて彼らの先見性に驚かされます。

もちろん全てが完璧というわけではなく、例えば・・・『Pull Me Under』の "アウトロがブツッと途切れる" 辺りはすごく古臭さを感じたりするのですが、この "若干詰めの甘さを残している" ところもまた可愛いんですよね。

ちなみに "個人的2大傑作" として、私は『Awake』『Falling Into Infinity』を挙げています。ちょっとややこしくなりますが、前述の2作品は "Dream Theaterの中で個人的に好きな2作" ということであり、『Images and Words』は "メタル音楽全体の個人的殿堂入り作品" といった感じです。おそらく本作は、墓まで持っていく作品の一つになると思います。

 

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