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【鋼】Queensryche『Queensryche EP』レビュー

2016年8月29日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

1983年リリース。プログレッシブ・メタル・バンド Queensryche の処女作となる EP(ミニアルバム)です。2013年に同名のフルアルバムがリリースされていますが、中身は全く異なるのでご注意ください(Amazonの商品ページにも2013年版のレビューが混在しているようです)。

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【鋼】Queensryche『Queensryche(2013)』レビュー

さて、本作は4曲入り全17分半の EP になるわけですが「プログレメタルにしては収録時間が短い」と思われる方もいらっしゃるかと思います。

それもそのはず。実は本作リリース時点での Queensryche はプログレメタルではなく、"正統派メタル" バンドとして活動していました。

実際、デビュー当時は "Judas Priestの後継者" なんて呼ばれていたようですが・・・この作風にリアルタイムで触れた方々は、後に『Operation: Mindcrime』のような作品を生み出すバンドだとは思いもしなかったのではないでしょうか。

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アメリカ合衆国から現れた "英国ヘヴィメタル"

アメリカ出身にも関わらず、彼らを表す際に Judas Priest の名前が挙がる理由は他にもあります。

1つは、ボーカル Geoff Tate さんのハイトーンボイスです。もちろん、ハイトーンを得意とするボーカリストは他にもたくさん存在するわけですが、Geoff さんの声質にはどことなく Rob Halford さんを彷彿とさせるものがあります。

また、後続のメタルボーカリストの声質を説明する際に "Geoff Tate系" なる表現も出てきている通り、彼自身の "柔らかさ" と "切れ味" を兼ね備えたハイトーンボーカルには、単なる Judas Priest もどきで終わらないだけの個性が確かに存在しています。

もう一つの理由は、彼らが奏でる欧州的なサウンドです。80年代の彼らのサウンドにはアメリカン・ロック的な気だるさが一切無く、常に緊張感に支配されているのです。

緊張感のあるサウンド=欧州的、と必ずしも言えるわけではありません。ただ、この "マイナーコード主体の湿っぽい音楽性" がステレオタイプな US サウンドではないことは明白です。

  • #1『Queen of the Reich
  • #2『Nightrider
  • #3『Blinded

上記3曲に関して言えば、極めて NWOBHM 的なスタイルのメタル・サウンドだと言えます。プログレメタル好き以外の方々でも、小難しいことを考えずに楽しめるタイプの楽曲です。

  • #4『The Lady Wore Black

本作の音楽性を基準に考えた場合、この曲だけが異質な雰囲気を放っています。

"鳥のさえずり"と "風の音" による SE から始まる映画的なイントロやミドルテンポ主体のハードロック・サウンドは、次作『The Warning』で早くも花開く "プログレッシブなQueensryche" そのものです。

 

彼らのトレードマークである "シリアスな音楽性" を確立した自主制作盤

驚くべきは、この作品が "自主制作" だということでしょう。

自分たちの力だけで作ったにも関わらず、本作の時点で既に "後の Queensryche スタイルがある程度確立されている" のです。当時の彼らが、いかにセルフプロデュース能力に長けていたかがよくわかります。

インターネットが普及した現在、ヨーロピアン・サウンドを志すメタル・バンドは世界中に存在しますが、80年代にここまで "本家" に迫るウェット感を実現していた米国産のバンドは決して多くなかったはずです。そして、この "アメリカらしからぬ" シリアスな音楽性は、後に彼らのトレードマークとなっていきます。

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