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音楽のこと

【鋼】Megadeth『Dystopia』レビュー

2016年10月24日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

2016年リリース。前作『Super Collider』から3年ぶりとなる通算15作目のフルアルバムであり、Billboard 200 で自己最高位の2位を記録した 5th『Countdown to Extinction(邦題:破滅へのカウントダウン)』に迫る "ビルボード3位" を記録した作品です。

解散前の微妙な時期の作品も含め、常にランキング上位に食い込んでいた Megadeth ですが、とりわけバンド復活後の安定感は目覚ましく、Dave Mustaine さん(Vo.) のセンスによって需要が維持されているのだということがよく伝わってきます。

プロデュースは、Children of Bodom や Danzig などを筆頭に数多くのアーティストのレコーディング・エンジニアを務める Chris Rakestraw さんが担当。アートワークは、Arch Enemy・Death Angel・Thy Art Is Murder・Trivium などとの仕事で有名な Brent Elliott White さんが手掛けています。

前作リリース後に脱退した Chris Broderick さんの後任として正式加入した Angra の Kiko Loureiro さん(Gt.)、そして Shawn Drover さんの穴を埋める形でゲスト参加した Lamb of God の Chris Adler さん(Dr.) が本作にもたらした音楽的影響力は凄まじく、メンバー&作品ともに非の打ち所がなかった 4th『Rust in Peace』期を彷彿とさせる "ソリッド" で "プログレッシブ" なサウンドが見事に復活しています。

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"異文化要素の復活" と "プログレ界隈からの人選" が生んだ "化学反応"

  1. The Threat Is Real
  2. Dystopia
  3. Fatal Illusion
  4. Death from Within
  5. Bullet to the Brain
  6. Post American World
  7. Poisonous Shadows
  8. Conquer or Die!
  9. Lying in State
  10. The Emperor
  11. Foreign Policy

Megadeth というバンドに何を求めているかは人それぞれだとは思いますが、一番わかりやすいところで言うと "テクニカルな楽曲構成" "シニカルな雰囲気" "切れ味の鋭いサウンド" ←求められているのは大体こういった要素ではないでしょうか。

で、上記条件を高い次元でクリアしていた唯一の過去作が Rust〜 だと認識しています。決して他の作品が劣っているということではなく、あくまでも "多くの方が期待するMegadeth像" を中心に考えた場合の話です。

とは言え、#1『The Threat Is Real』〜 #2『Dystopia』の "Holy Wars 〜 Hangar 18" を彷彿とさせる流れは既に 13th『Thirteen』で使われており、これ自体は特に目新しいものではなかったりします。

しかしながら、#4『Death from Within』#5『Bullet to the Brain』#6『Post American World』#7『Poisonous Shadows』で出てくるプログレッシブなギターソロや、#8『Conquer or Die!』冒頭のフラメンコギターによる "エスニックな香り" は紛れもなく Kiko さんが Megadeth へともたらした新要素であり、かつて Marty Friedman さんが持ち込んだ演歌風ギター以来の "異文化" 感だと言えるでしょう。

また、Adler さんの軽快かつメカニカルなドラミングは Megadeth の音楽性と非常に相性が良く、まるで『Ashes of the Wake』辺りの Lamb of God を思わせるかのような #10『The Emperor』を筆頭に、良い仕事をしています。ハードコア・パンク・バンド『Fear』のカバー曲 #11『Foreign Policy』も、彼のプレイスタイルにバッチリハマっていてクールです。

 

"その気になればいつでも傑作を生み出せる" ことを証明した作品

繰り返しになってしまいますが、他の作品が劣っているわけではありません。単に "Rust in Peace以来の傑作が誕生してしまった" というだけのことです。

とは言え Mustaine さんが、次作で本作の焼き直しみたいな作品を出すことはおそらく無いでしょう。そんなことは、これまでのバラエティに富んだ音楽的変遷を見れば一目瞭然ですね。

にしても・・・馬鹿の一つ覚えみたいに「◯◯は才能が枯渇した」と言いたがる方々は多いものですが、活動再開後の Megadeth の健闘ぶりを見ていると「アーティストの趣味趣向で作風が変わってるだけであって "その気になればいつでも(多くのファンが求める)傑作を作れる" んだろうな」と思わせられます。

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