HAGANEYA(@imech_jp)です。
1985年リリース。前作『Show No Mercy』から2年ぶりとなる通算2作目のフルアルバムであり、全世界で100万枚のセールスを記録しています。プロデュースは、バンドと Brian Slagel さん(Metal Blade Records 創設者) が担当。
前作の "剣を持った悪魔" から一転、タイトルにもある Hell(地獄)をステレオタイプに表現したアートワークが印象的です。
このバンドだけではないとは思いますが、1980年代後半に登場するデスメタル・シーンにビジュアル&演出面で多大な影響を与えた作品の一つではないでしょうか。ちなみに、Phil Anselmo さん(Pantera) や Gene Hoglan さん(ex:Death / ex:Strapping Young Lad) が本作からの影響を公言しています。
前述の通り、アートワーク及び歌詞はデスメタル的な要素が非常に強い本作。そんな表面的なイメージとは裏腹に、サウンドはむしろ "ブラックメタル" を思わせる宗教的な雰囲気を醸し出しています。
長尺曲だらけにも関わらず "38分" という総収録時間から見えてくる、彼らの "自信"
- Hell Awaits
- Kill Again
- At Dawn They Sleep
- Praise of Death
- Necrophiliac
- Crypts of Eternity
- Hardening of the Arteries
前作収録曲の約半数を占めていた NWOBHM 的な要素は #3『At Dawn They Sleep』の前半パートに "微かに" 残っているものの、ほぼほぼ一掃されている印象です。また、#3 の中盤パートは Black Sabbath を思わせるドゥームメタル寄りのスタイルとなっており、終盤でスラッシュメタルへと移行するという3部構成となっています。
#3 ほど場面転換が極端ではないものの、#1『Hell Awaits』#6『Crypts of Eternity』といった6分超えの長尺曲が他にも存在しており、どことなくプログレッシブな香りも漂っているのが本作の大きな特徴だと言えるでしょう。
前述の3曲もそうですが、#2『Kill Again』#4『Praise of Death』#5『Necrophiliac』#7『Hardening of the Arteries』といった他の楽曲も基本的に走りまくっています。スラッシュ四天王の一角に数えられる彼らですが、"速さ" や "攻撃性(というか残虐性)" において他の3バンド(Metallica・Megadeth・Anthrax)は全く相手になりません。
そして驚くべきは、5~6分の楽曲が大半を占めるにも関わらず、収録時間がわずか "38分" だということです。
無論、38分とは言え "スピード・チューンだらけ" なので、空腹感は全くと言って良いほど感じません。とは言え、その分1曲1曲に掛かる負担は大きいわけで・・・こういう思い切った楽曲構成は "自分のスキルに圧倒的な自信が無ければ、まずやろうとは考えない" はずです。
次作以降のスポーティな雰囲気とは異なる、"呪術的" で "不協和音" 気味なサウンド
冒頭で触れた通り本作は、デスメタルというよりもブラックメタルの要素が強いと感じます。とりわけ、#4 と #5 の "呪術的な疾走感" や "不協和音気味のギター・サウンド" は、後年の彼らの作品と聴き比べてみても「何かが違う」気がするのです。
これは、一般的に Slayer の最高傑作として知られている次作『Reign in Blood』と比較しても同様です。Reign〜 も基本的には本作の延長線上の作風だとは思うのですが、向こうはどこか "スポーティ" なんですよね・・・
あくまで個人的な印象ですが、本作は "ブラックメタル" 的な作品で、次作は "デスメタル" 的な作品といった印象です。どちらが優れているとか劣っているとかではなく、両方共に "タイプの異なる傑作" といった感じでしょうか。
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