HAGANEYA(@imech_jp)です。
1986年リリース。前作『Ride the Lightning』から2年ぶりとなる通算3作目のフルアルバムであり、アメリカで600万枚以上・カナダで60万枚以上・イギリスとフィンランドでそれぞれ10万枚前後のセールスを記録しています。
また 2016年3月23日に、ヘヴィメタル作品としては史上初となる、米議会図書館の "国立録音登録簿" 登録作品に選出されました。
参考記事
メタリカのアルバム、米議会図書館が永久保存 ヘビメタでは初|AFPBB News
一方で、本作リリースから半年後のツアー中に Cliff Burton さん(Ba.) が交通事故で帰らぬ人となってしまったという経緯もあり、ファンにとってもメンバーにとっても特別な思いが乗っかった作品と言えるのではないでしょうか。
Ride~ に "全ロック・ファンに受ける普遍性" を加味した、キャッチーな作品
- Battery
- Master of Puppets
- The Thing That Should Not Be
- Welcome Home (Sanitarium)
- Disposable Heroes
- Leper Messiah
- Orion
- Damage, Inc.
今回から楽曲制作に初代ギタリストの Dave Mustaine さんは一切関わっておらず、1st『Kill 'Em All(旧邦題:血染めの鉄槌)』や前作の一部楽曲に微かに残っていた "Megadeth" 色は消滅しています。
基本的には前作の作風を踏襲していますが、前作に比べるとシンプルかつ印象的なリフが増えたため、ロック好き・パンク好きにも受ける普遍性を持っています。実際「メタル全般は嫌いだけど本作 (Master〜) は聴いてるよ」というバンドマンは結構多いみたいです。
アコースティックな序曲からの爆走スラッシュ・ナンバー #1『Battery』は完全に前作の冒頭曲 "Fight Fire with Fire" の方法論をなぞっていますが、Fight〜 に比べ James Hetfield さんのボーカルに歌心が生まれています。
説明不要の超有名曲 #2『Master of Puppets』は、ついつい真似したくなるイントロからA・Bメロ・サビに至るまでムダな音が一切ありません。中盤の哀愁漂うギターソロ〜終盤にかけての暴れ具合もクール。
味わい深いバラード曲と見せかけて後半から Steeler (British Steel) ばりのスピード・チューンに変化する #4『Welcome Home (Sanitarium)』は個人的お気に入り曲。テクニカルな冒頭パートを経てハードコア・パンクにも通ずる攻撃性を帯びていく #5『Disposable Heroes』は本作で最もブッ飛んでいるし、Disposable~ と似たような展開を見せる #8『Damage, Inc.』のアンビエントなイントロもユニーク。
Seek and Destroy や Escape の流れを汲む #3『The Thing That Should Not Be』、グルーヴ・メタルで始まり終盤にかけてスピード・メタルへと移行していく #6『Leper Messiah』、Pantera を思わせるリフの前半パートとメロウかつプログレッシブな後半パートとのギャップが魅力的な #7『Orion』など、ミドルテンポの楽曲もそれぞれ個性的です。
大変ベタですが・・・
正直、前作(Ride~)と本作(Master~)は甲乙付け難いのですが、やはり "洗練された楽曲構成" という一点において、個人的には本作に軍配が上がります。軍配も何も、この時期の Metallica(1st~5th)は全部聴いておいたほうが良いんですけどね・・・
Ride~ は、ちょうど Kill~ と Master~ の間の作風なので、中途半端と言えば中途半端な気はします(あくまでも "前後の作品と比べたら" の話)。音のインパクトだけで言うと、"荒削りなKill~" と "スマートなMaster~" といった印象でしょうか。
ちなみに、次作『...And Justice for All』も普通に名盤なのですが、"致命的な欠点" を抱えているため巷では賛否両論となっています(例のアレです)。
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