HAGANEYA(@imech_jp)です。

1994年リリース。プログレッシブ・メタル・バンド Dream Theater による通算3作目のアルバムであり、オリジナル・メンバーの1人でもあるキーボード担当の Kevin Moore さんが本作リリース後に脱退しています。

彼らの代表作と言えばもちろん前作『Images and Words』になるわけですが、実は Images〜 へ辿り着くまでには若干時間が掛かりました。その理由が、真逆の作風である 7th『Train of Thought』からこのバンドを聴き始めてしまったことです。元々ニューメタルが好きだったので拒絶反応を起こすレベルではなかったものの「これじゃニューメタルが複雑になっただけだし、聴いてて辛い・・・」といった感じで、当時はネガティブな印象しかありませんでした。

そういった経緯もあり、Images〜 には直行せず、彼らの他の作品を中古で物色するという形で “迂回” することに。その際に見つけたのが、本作『Awake』と次作『Falling Into Infinity』になります。Train〜 から入って大きく不信感を抱いた私ですが、この2作を聴いたことによって「なーんだ・・・やっぱり最初の(悪い)印象と違って、すごく魅力的なバンドだったじゃん」と態度が急変。一気にお気に入りのバンドへとランクアップしました。

先に結論を言ってしまうと、本作は紛れもなく傑作なのですが、ヘヴィ系 Dream Theater の代表作である『Train of Thought』の前身とも言えるアンニュイな作風によって、(日本では)やや不当な評価を得てしまった作品です。

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Kevin Moore 独自の “アンニュイ” な空気感は、テクニックで再現できるものではない

0分20秒&0分50秒辺りの畳み掛けるような “ッタター・ッタター” のリズムで一気に心を奪われる #1『6:00』、Tyranny(Shadow Gallery)辺りにも影響を与えてそうなキャッチーなサビが心地良い #2『Caught in a Web』、サイバーなサウンドとポップなハイトーンボーカルによる前半もさることながら3分10秒&4分16秒辺りからの Rush を思わせるメロディラインにニヤリとさせられる #3『Innocence Faded』、前作の Metropolis Pt1 を陽とすれば “陰のMetropolis Pt1” とも言うべき複雑怪奇なサウンドを持ち味とする #4『Erotomania』、前曲からの組曲であり浮遊感溢れるサウンドと透き通るボーカルの美しさが際立つ #5『Voices』、同じく前々曲からの組曲でありアコースティックなギターとストリングスによる有機的なハーモニーが作品全体の憂鬱な空気を緩和してくれる #6『The Silentman』、Pantera を彷彿とさせるリフとシンフォニックなサウンドが融合した #7『The Mirror』、前曲から間髪入れずに始まるゴリゴリのインダストリアル系ニューメタルサウンドが作品全体の雰囲気と良い意味で浮いていて格好良い #8『Lie』、ディレイを効かせたギターによるイントロや3分16秒辺りからのU2をヘヴィにした感じのメロディアスなパートが耳に残る #9『Lifting Shadows Off a Dream』、二胡にも通ずるオーガニックなストリングス・サウンドによるイントロ~退廃的な雰囲気の前半~7分12秒辺りからのテクニカルなパート…とギャップで魅せる #10『Scarred』、Paradise Lost にも引けを取らないほどの陰鬱ゴシック・サウンドが Kevin さんの当時の心情をストレートに表わしている #11『Space-Dye Vest』。

“Train of Thoughtのプロトタイプ” 的な扱いを受けがちな作品ですが、Kevin さんが奏でるキーボードの音色やメロディラインから滲み出る個性があまりにも強く、個人的には “Images and Words の延長線上の作品” といった認識をしています。前作と同様アートワークに Larry Freemantle さんを起用していることからも、”裏Images and Words” 的な印象が非常に強いです。

Kevin さんは本作を最後に脱退してしまったため、後年のヘヴィ寄りの作品には本作特有の “Kevin Moore臭” がありません。同じ “暗さ” でも Kevin さんが表現している暗さは “憂鬱” であり、実はメロディ系の代表作と言われている Images〜 にも本作と同種のアンニュイな空気感が微かに流れています。

ゆえに私は、 Kevin さん脱退後の “バカテク至上主義” なスタイルにイマイチハマりきれず『Circus Maximus』などの別バンドに “Kevin Moore時代” の影を見出すようになっていきました。それにしても「プレイヤーが1人入れ替わるだけで、こうも音楽性が様変わりするものなのか・・・」と驚くばかりです。

 

フュージョンやニュー・ウェーヴの香りも漂う “暗さだけが武器じゃない” 一作

本作に対する(日本国内での)評価は本当に賛否両論であり、Awake と Falling〜 を “個人的2大傑作” とする私からしてみれば「なぜ良さがわからない?」といつも疑問に感じていました。このバンドに限らずですが、おそらく「Dream Theater というバンドを支持する多数派が “伝統的メタル” を潜在的に求めている」ため、このような評価になってしまうのではないでしょうか。

実際、欧米圏では Images〜 と同様に支持されているようですし「USライクなサウンドを潜在的に求めてしまう私みたいなタイプが単に少数派なだけではないか?」と解釈しています。

こう書いてしまうと Train〜 への感想と矛盾が生じてしまいますが・・・向こうの場合は “ヘヴィ過ぎて胸焼けしてしまった” という感じでしょうか。一方、本作からはどことなく “フュージョン” や “ニュー・ウェーヴ” の香りがしてくるというか・・・やはり後年のヘヴィ系の作品とは “別モノ” な印象です。Train〜 にピンと来ず Awake でピンと来たのは、そういった要素も絡んでいるのかもしれません。

ちなみに Kevin さんのその後のソロ・プロジェクト作品(『Chroma Key』『O.S.I.』など)も一応追ってはみたものの、逆に彼のルーツと思われるニュー・ウェーヴ色だけが強めに出過ぎているせいか、正直微妙な印象を抱いてしまいました。彼の持つ “憂鬱感” はやはり、Dream Theater メンバーとのケミストリーによって輝くのだと改めて感じます。

この作品、私は即ハマったのですが、中には “スルメ盤” といった評価をされる方もいらっしゃるようです。これは前述の通り “音楽的ルーツの違い” によるものでしょうし、もしかすると私のように一発で好きになるタイプの方もいるかと思います。

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