HAGANEYA(@imech_jp)です。

1983年リリース。前作『The Number of the Beast(邦題:魔力の刻印)』でリードボーカルが Paul Di’Anno さんから Bruce Dickinson さんに交代したことにより、パンク・ロック色が薄れヘヴィメタル寄りの音楽性へと接近することになるわけですが、本作ではさらにドラマーが Clive Burr さんから Nicko McBrain さんに交代。Nicko さんの特徴でもある “ツーバス(ツインペダル)並みの激しいシングルペダル” は、以降の Iron Maiden に欠かせない武器となります。

これによって、(1990年加入の Janick Gers さんを除き)現在の Iron Maiden のラインナップが完成します。90年代後半にリリースされた2作のアルバムでリードボーカルが Blaze Bayley さんに一時交代したことを除けば “80年代前半から現在までメンバーがほぼ固定されている” という事実に驚きです。

さて、邦題がなぜか “頭脳改革” という、胡散臭い新興宗教のキャッチコピーみたいなタイトルの本作『Piece of Mind』ですが、前作で僅かに残っていたパンク・ロック臭がほぼ無くなり “ヘヴィメタル・バンドとしてのデビュー作” とも言えるサウンドに進化しています。

前後の作品の華やかなジャケットデザインと比較してしまうと非常に地味な上に、前述のセンスの悪い邦題も相まって “凡作” 的な先入観を持ちそうになりますが、Iron Maiden のディスコグラフィの中ではかなりの重要作です。

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決して The Trooper “1強” ではない、バランスの取れた楽曲構成

手数の多いドラミングが特徴的なミドル・チューン #1『Where Eagles Dare』、グランジ・ライクなスロー・チューン〜テンポアップしたスピード・チューンが共存する #2『Revelations』、伸びやかに歌い上げるボーカル&ギターソロが効果的な #3『Fight of Icarus』、Bメロ終盤の荒々しいコーラス〜サビのギターリフへの繋ぎが格好良過ぎる #4『Die with Your Boots On』、初期ロックマンの作曲者に多大なる影響を与えたと思われるリズム&メロディラインが超個性的な #5『The Trooper』、アコースティックな冒頭パート〜特徴的なサビのメロディライン〜長めのギターソロ…と短い曲に場面転換が多数盛り込まれている #6『Still Life』、三連符のリズム&フォークメタル的なインスト・パートが耳に残る #7『Quest for Fire』、前作の Run to the Hills を彷彿とさせる仰々しいメロディラインのサビが素晴らしい #8『Sun and Steel』、中東風メロディの前半〜シリアスなスピード・チューンの後半パートへと違和感なく場面が移り変わっていく約7分の長尺曲 #9『To Tame a Land』。

本作を語る上で絶対に外せないのは、やはり『The Trooper』でしょう。私の知る限りだと、前々作(Killers)収録曲の『Killers』で Iron Maiden 特有の「タッタカ・タッタカ・タッタカ・タッタカ・・・」という、馬が走っているかのようなリズム(当ブログでは便宜上 “ギャロッピング” と呼んでいます)が初めて採用されたと思うのですが、『The Trooper』は前述の曲(Killers)をシンプルに再構築し、より輪廓がクッキリした名曲へと進化を遂げていると思います。

あと、楽曲ごとの個別コメントにも書いてますが「このリズムどこかで聴き覚えがあるような・・・」と思ってたら、完全にロックマン2なんですよね。みんな大好き『思い出はおっくせんまん!』の原曲 “ワイリーステージ1” のBGMを始め、”ウッドマンステージ” や “タイトル画面BGM” にもこのリズムが採用されています(マイナーどころだと、ロックマンワールド2の “特殊武器取得時のBGM” とかも)。どことなくメロディラインも似てますね。

もちろん、ギャロッピングだけが Iron Maiden の魅力ではありません。Steve Harris さんの流れるようなベースラインを堪能出来る『Die with Your Boots On』なんかも、すごく Iron Maiden っぽい楽曲だと感じます。

 

パッと見は地味だけど、最も Iron Maiden らしい作品

前作(The Number of the Beast)における『Invaders』や、次作(Powerslave)における『Aces High』のようなキャッチーなスピード・チューンを冒頭に持ってこなかったことによって、パッと見では地味な印象を受けるかもしれません。1st『Iron Maiden(邦題:鋼鉄の処女)』〜 9th『Fear of the Dark』辺りまでを仮に “初期Iron Maiden” とみなした場合、立ち上がりが一番遅い作品だと思います。

もっとも、7th『Seventh Son of a Seventh Son(邦題:第七の予言)』のレビューでも書いたように、Iron Maiden はそもそも “スロースターター” な楽曲構成を持ち味としており、そういった意味では最も Iron Maiden らしい作風のアルバムとも言えるでしょう。

スピード・チューンが好きな方はどうぞご心配なく。中盤あたりから徐々に勢いを増していきます。ただ、”全編通して聴けるほどの堪え性が無い” タイプの方にはやや厳しい作品かもしれません。

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