HAGANEYA(@imech_jp)です。
2015年リリース。前作『World Painted Blood(邦題:血塗ラレタ世界)』から6年ぶりとなる通算11作目のフルアルバムであり、当記事執筆時点での Billboard 200 自己最高位となる4位を記録しています。
プロデュースは、ヘヴィ・ミュージック全般を手掛ける Terry Date さんが担当。盟友 Rick Rubin さんは、今回関わっていないようです。
アートワークには、有名エクストリーム・メタル・バンドのアートワークを数多く手掛ける Marcelo Vasco さんを起用。数年前に話題となったスペインの "修復されたキリストの壁画" を彷彿とさせるデザインですが、案の定同じことを思った方はいらっしゃったようです。
参考記事
Fans Unrepentantly Parody Slayer's Repentless Album Art|MetalSucks
見比べてみたら、だいぶ違った・・・
なお本作から、2013年に亡くなられた Jeff Hanneman さんの後任として Exodus の Gary Holt さんが参加。また Dave Lombardo さんの脱退に伴い、二代目ドラマー Paul Bostaph さんが復帰しています。
Jeff さん不在により楽曲面への影響が心配されるところでしたが、いざフタを開けてみるとクオリティの低下は皆無。安心の Slayer 節が堪能出来る作品でした。
『Hell Awaits』の "地獄" 感と『Divine Intervention』のテクニカルな作風が融合
- Delusions of Saviour
- Repentless
- Take Control
- Vices
- Cast the First Stone
- When the Stillness Comes
- Chasing Death
- Implode
- Piano Wire
- Atrocity Vendor
- You Against You
- Pride in Prejudice
前作から取り入れられていたメタルコア的な質感を踏襲しつつも、前作にあった "後輩バンドから露骨に拝借したようなリフ" も今回は特に無し(私が知らないだけかも)。ただただ純粋にスラッシュメタルとしての格好良さを追求した作品、といった印象です。
Paul Bostaph さんの出戻りによってドラムの手数も増えており、彼の初参加作である "時代を先取りし過ぎた" メタルコア・アルバム 6th『Divine Intervention』を彷彿とさせる部分もあったりします。
とりわけ、#4『Vices』#5『Cast the First Stone』#9『Piano Wire』#12『Pride in Prejudice』などのグルーヴ・メタル系は Paul さんと好相性。速い曲は Dave さんの荒々しいドラムのほうが魅力が出やすいと思うのですが、前述のような中途半端な速度の楽曲には間違いなく Paul さんのほうが向いていると思います。
他にも、Hatebreed にも通ずる筋肉質なサウンドを持つ #3『Take Control』#7『Chasing Death』や、52秒辺りからのメロディアスな早弾きパートが 1st『Show No Mercy』を彷彿とさせる #11『You Against You』など、バラエティに富んだ楽曲を多数収録されており、前作以上に飽きが来にくい作風です。
ちなみに個人的には、"マリオワールドのクッパ戦" "マリオ3の飛行船" みたいなイントロの #2『Repentless』、ロックマンXの "スパーク・マンドリラー" ステージでも始まるのかと思わせるイントロの #10『Atrocity Vendor』がツボだったりします(どちらも疾走曲)。#2 は、2nd の "Necrophiliac" にも似てますね。
歴代最高クラスの聴きやすさで、従来ファン&新規ファン両方にウケそうな作品
歴代最高クラスの聴きやすさ
を実現しているという点で言えば、ある意味 Slayer らしくない作風と言えるかもしれません。
ただ、やっていること自体は "いつも通り" なので従来のファンにも受け入れられるだろうし、これから Slayer を聴き始める方々にとっての入り口的な作品にもなり得るのではないでしょうか。
ブラックメタル感は無いものの、雰囲気やテンポ的には 2nd『Hell Awaits』辺りが一番近い気がします。前項でも触れた通り、一部似たような構成の楽曲もありますし、2nd の音楽性が好きなファンへの訴求効果もありそうです。
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