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音楽のこと

【鋼】Slayer『Show No Mercy』レビュー

2016年11月18日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

1983年リリース。スラッシュメタル・バンド Slayer の 1st アルバムです。

プロデューサーには Metal Blade Records の創設者である Brian Slagel さんも名を連ねていますが "エグゼクティブ・プロデューサー" 名義なので、基本的にはバンドのセルフ・プロデュース的な色合いが強い気がします。

剣を持った悪魔のアートワークは、Slayer という単語が持つ "殺人者" "退治する者" といった意味を端的に表しており、デザインセンスには欠けてはいるものの、ある意味もっとも "らしい" 作風だと言えるかもしれません。

こんなサタニズム全開かつ胡散臭いアートワークにも関わらず、本作は次作以降とは異なり NWOBHM の影響をうっすら感じる音楽性を内包しています。こういう言い方はアレですが、一番マトモな作品です。

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NWOBHM・ハードコア要素と共存する "ブラックメタルへの架け橋" 的な楽曲の異質さ

Kerry King さん(Gt.) 自身が「Iron Maiden から影響を受けた」と公言

している本作ですが、展開が目まぐるしく変わっていく #5『Metalstorm/Face the Slayer』#9『Crionic』辺りの楽曲はモロに影響を受けていると感じます。

#5 の3分26秒辺りからのパートはかなり Phantom of the Opera(Iron Maiden)っぽいし、#9 の1分31秒辺りはいかにも Maiden が多用しそうなメロディです。

また、#2『The Antichrist』#3『Die by the Sword』#7『Tormentor』なども割と、正統派メタル由来の "常識的なスピード感" にとどまっており(後の彼らの芸風を考えると)随分と大人しい楽曲だと感じます。

#1『Evil Has No Boundaries』#10『Show No Mercy』はどちらかと言えばハードコア系の楽曲であり、1996年リリースのカバー・アルバム『Undisputed Attitude』にも通ずる軽快さが魅力です。

そんな中で、個人的に気になったのが #4『Fight Till Death』#6『Black Magic』#8『The Final Command』の3曲になります。基本的には前述の #1 や #10 同様にハードコア・パンクがベースになっている印象ですが、この3曲に限っては "ブラックメタル" 的な空気感も加味されている印象を受けました。

また、狙ってかどうかはわかりませんが、#4 と #6 のタイトルにはそれぞれ "Death" "Black" という単語が含まれており、そういった意味でも他の楽曲とは異質な雰囲気を放っていると感じます。

 

いち早く提示した、後続のエクストリーム・メタル・バンドへの道筋

デスメタルやブラックメタルの草分け的なバンドの一角にも数えられる Slayer ですが、次作『Hell Awaits』では本作の #4・#6 の方向性を推し進め、ブラックメタル的な楽曲の割合が高くなっています。

正統派メタルの影響を感じる楽曲も多いものの、Venom や Mercyful Fate からモチーフとしての影響を受けつつ、同時期に誕生した Bathory や Hellhammer(後の Celtic Frost)などと足並みを揃えたかのようなサタニックなサウンドを有する本作。ありきたりな感想になってしまいますが、やはり1983年の作品とは思えない凶悪さです。

個人的な好みとしては(全ディスコグラフィを含めても)次作に軍配が上がりますが、本作の "あの" Slayer とは思えない独自の雰囲気は結構面白いと思うので、興味があればぜひ体験してみてください。

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