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音楽のこと

【鋼】Iron Maiden『Brave New World』レビュー

2016年8月10日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

2000年リリース。前々作『The X Factor』および前作『Virtual XI』を支えたボーカリスト Blaze Bayley さんから再び Bruce Dickinson さんにバトンタッチし、さらに『Seventh Son of a Seventh Son(邦題:第七の予言)』以来バンドから遠ざかっていたギタリスト Adrian Smith さんも同時に復帰したことにより、バンド初の "6人編成" となった作品です。

また本作から、バンドの主導権を握るベーシスト Steve Harris さんと、Journey や Dream Theater との仕事でよく名が知られている Kevin Shirley さんによる共同プロデュースとなり、記事執筆時点での最新作『The Book of Souls』に至るまでこの布陣は変わっていません。ハードロック/ヘヴィメタル界隈でも特に "プログレの要素が強いバンド" を担当することが多いプロデューサーを継続起用していることからも、00年代以降の Iron Maiden が目指している方向性がよく見えてきます。

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"トリプルギター" と "Kevin Shirleyプロデュース" によって重厚かつモダンなサウンドへと進化

往年のスピード・メタルファンの期待に応えつつプログレ好きが喜びそうなメロディラインのギターソロも楽しめる #1『The Wicker Man』、Can I Play with Madness をマイナー調にアレンジしたかのようなリフが "Adrian Smith復帰" という事実をより強く意識させる #2『Ghost of the Navigator』、過去作にあった大作曲をアップデートしリズムの強度・安定感を増したかのようなプログレメタル・ナンバー #3『Brave New World』、シンプルなアレンジのシンフォニックメタルがモダンな空気感を醸し出す #4『Blood Brothers』、Prowler(Iron Maiden)を00年代のセンスで蘇らせた感じのスピード・チューン #5『The Mercenary』、9分超の長尺曲かつシンプルな構成にも関わらず聴きダレしない上に5分47秒辺りからのギャロッピングが過去最高の勢いで迫ってくる #6『Dream of Mirrors』、ウォーメタル的な楽曲を多く擁していた Piece of Mind 期の雰囲気をどことなく感じる #7『The Fallen Angel』、"遊牧民" というタイトルが表すオリエンタルなメロディ&イントロの一瞬 "無音状態" が訪れるアレンジがクールな #8『The Nomad』、覚えやすいメロディライン&Maidenお得意のギャロッピングが往年の作品に勝るとも劣らない "代表曲" 感をアピールしてくる #9『Out of the Silent Planet』、Queensryche にも通ずるポップ&ドラマティックなメロディが次作以降の期待感をも煽ってくる名曲 #10『The Thin Line Between Love and Hate』。

"トリプルギター" と "Kevin Shirleyプロデュース" という2つの要素がもたらした変化は想像以上に大きく、初期〜黄金期〜暗黒期のサウンド・プロダクションの変遷を経験した耳を以ってしても、まるで "別バンド" であるかのような重厚かつモダンな音に進化しています。前述の要素に加え、Bruce さんが復活したことにより "ハイトーンが必要な場面をしっかり補強できている" という隙の無さ。

何てことないシンプルなスピード・チューン『The Wicker Man』一つ取ってみても、過去作にはあり得なかったほど "音の密度が上がっている" ことが即座にわかります。漫画で例えるなら、手塚治虫さんが急に三浦建太郎さん(ベルセルク)みたいな絵を描き始めるぐらいの衝撃です。※手塚さんをdisってるわけではないので悪しからず

 

バンドが標榜するプログレメタルへの熱意にようやく "質" が追いついた作品

元々大作主義的な世界観を好むバンドが『The X Factor』で明確に打ち出した "プログレメタル" 路線に、メロディの質およびサウンド・プロダクションが "初めて" 追いついた作品だと思います。正統派メタル&プログレメタルの草分けの一角でありながら、中途半端な大作志向によって "どっちつかず" な印象のあるバンドでしたが、ここまで完成度が上がればさすがに普通のプログレメタル好きにも受け入れられるのではないでしょうか。

Iron Maiden は非常に歴史が長いバンドである上に、過剰なまでの "80年代信者" の方々によって全盛期の名盤ばかりがプッシュされがちです。そのため、00年代以降の作品が注目されにくい状況が歯がゆいですね。ファンでも「00年代以降は一切聴いていない」という方々もいらっしゃるようで・・・非常にもったいない。

これから Iron Maiden を聴こうと思われている方が持つ不安要素の一つに「最近の作品(主に00年以降)から入っても大丈夫なの?」といったものがあると思うのですが、全く問題ありません。活動期間の長いバンドにありがちな "衰え" を感じない珍しいバンドなので、現役のバンドとして普通に聴けます。「黄金期の作品以外は認めない!」という狭量なファンも中には存在するようですが、そんな意見はテキトーに受け流しちゃっても大丈夫です。

ちなみに次作『Dance of Death(邦題:死の舞踏)』では、久しぶりに "疾走曲メインのIron Maiden" が堪能できます。本作の作風の延長線上の音楽性だと思っていたので意外でした。

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