HAGANEYA(@imech_jp)です。
2001年リリース。前作『Risk』から2年ぶりとなる通算9作目のフルアルバムであり、2nd『Peace Sells... but Who's Buying?』以来長らく籍を置いていた Capitol Records から Sanctuary Records へ移籍後初となる作品です。
また、前作で脱退した Marty Friedman さんの後任として、Asia や Savatage などを渡り歩いてきた Al Pitrelli さん(Gt.) が参加しています。なお後述しますが Megadeth は本作で一度解散したため Al さんにとっては唯一の参加作となってしまいましたが、彼は2014年に Savatage へ復帰し正式メンバーとして活動中です。
Hugh Syme さんが手掛けた本作のアートワークには、"Megadeth版エディ・ザ・ヘッド" とも言える Vic Rattlehead(ヴィック・ラトルヘッド)が描かれています。4th『Rust in Peace』以来途絶えていた "マスコットキャラの復活" が示唆するかのように、本作はポップ方面へ偏りがちだったバンドの方向性を、再び硬派なヘヴィメタル路線へと揺り戻そうとした形跡が見える "意欲作" です。
『Cryptic~』な構成で『Rust~』期を再現しようとしたら酷評された "不遇の作品"
- Disconnect
- The World Needs a Hero
- Moto Psycho
- 1000 Times Goodbye
- Burning Bridges
- Promises
- Recipe for Hate... Warhorse
- Losing My Senses
- Dread and the Fugitive Mind
- Silent Scorn
- Return to Hangar
- When
おそらく、大多数の方々が本作に抱く第一印象は "グルーヴ・メタル色が強く、印象的なメロディに欠ける地味な作品" といったところでしょう。これは、前作がやたらポップ過ぎたことで "相対的に" 地味に聴こえてしまっている部分も多少はあると思います。
また "前半〜中盤の大半をミディアムテンポの楽曲で構成し、終盤にわかりやすいスピード・チューンを配置" するという 7th『Cryptic Writings』方式の流れを採用したことで、ロクに聴き込みもせず脊髄反射的に低評価を下すリスナーを多く生んでしまった、いわゆる "風評被害" も原因としては大きそうです。
Cryptic〜 にも言えることですが、#4『1000 Times Goodbye』のみならず、後半に #9『Dead and the Fugitive Mind』#11『Return to Hangar』などといった "メタラー向けの佳曲" が控えているのを見逃している方は、確実に一定数いらっしゃると思います。
また "Martyロス" によって見落とされがちですが、プログレ界隈のバンドを渡り歩いてきた Al さんの貢献力も見逃せません。#6『Promises』#8『Losing My Senses』などの楽曲で時折聴ける幻想的なギター・サウンドからは、Marty さん在籍時のオリエンタルな Megadeth とは別ベクトルの魅力を感じます。
冒頭曲に相応しくないと過小評価されがちなミディアム曲 #1『Disconnect』、Mustaine 印の爬虫類ボイスに Layne Staley さん(Alice in Chains) を思わせるサイケデリックな加工を施した #5『Burning Bridges』などの Megadeth カラーが強い楽曲も、地味だけど悪くありません。
一部パートに Diamond Head の某曲を丸々パクったかのようなフレーズが登場する #12『When』などの楽曲もあるにはありますが、Mustaine さんの Diamond Head 好きを考えると、個人的には "ファンのオマージュ" として大目に見てしまいたくなります(確かに似てるけど)。
本作で蒔かれた種が "第2次黄金期" の礎となる
Marty さんというメロディ・メーカーが抜けた穴を Al さんが100%埋められているかどうかは微妙ですし、Nick Menza さんのタイトなドラミングを知ってしまうと Jimmy DeGrasso さんのプレイに若干の物足りなさを感じてしまうのも事実です。
とは言え、この頃の Megadeth が "攻撃的なヘヴィメタル・バンド" として再起を図ろうともがいていたのは、本作を聴けば明白だと言えるでしょう。
ただ残念なことに、本作リリースに伴うツアー終了後、中心人物である Dave Mustaine さん(Vo.) が二度とギターを弾けなくなる可能性のある橈骨神経麻痺を患い、バンドは一度解散してしまいます。
その3年後、奇跡的に回復を遂げた Mustaine さんは Megadeth 名義のソロ・アルバム『The System Has Failed』をリリースし "完全復活" となるわけですが・・・ちょうど私が Megadeth を後追いで聴き始めた頃に起きた "解散〜復活" 劇だったので、すごく嬉しかったですね。こんな気持ちにさせるのですから、やっぱり魅力的なバンドなんだと思います。
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