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音楽のこと

【鋼】Judas Priest『Angel of Retribution』レビュー

2016年7月25日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

2005年リリース。暗黒期を支えた名ボーカリスト Tim 'Ripper' Owens さんから再び前ボーカル Rob Halford さんにバトンタッチし、歴史的名盤『Painkiller』期の布陣が再集結した作品となっています。

右上にお馴染みのバンドロゴも復活したジャケット写真中央には、天使の羽を身にまとったスキンヘッドの像が佇んでいます。言うまでもなくRobさんの復活を表したものですが・・・前2作のジャケ絵との扱いの差がエグいです。Iron Maiden のようにボーカルがコロコロ代わってもジャケットデザインに一貫性があれば、Timさん時代の2作が必要以上に色眼鏡で見られることも無かったと思います。

待望の "Rob Halford復帰作" となった本作を率直に表すと、『Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)』〜『Defender of the Faith(邦題:背徳の掟)』期のバランス感覚をベースに、『Sad Wings of Destiny(邦題:運命の翼)』辺りの仰々しい世界観を併せ持ちつつ、『Jugularor』〜『Demolition』期のグルーヴ・メタル要素の名残も微かに感じさせる作品・・・といった感じでしょうか。

Robさんのソロプロジェクト『Halford』と同様、Roy Z さんがプロデュースを担当しているため、音のタッチは現代的なメタルサウンドにアップデートされています。一方で、必要以上に楽器隊が前に出てこない絶妙な音作りからは "往年の手触りを可能な限り再現してみました" 的な職人技を感じます。

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初期のマイナー臭まで引っ張り出してきた、通ウケする音楽性

本作におけるThe Hellion的な役割を果たしつつ単体の楽曲としても魅力的な #1『Judas Rising』、唯一Roy Zさんが楽曲製作に参加しElectric Eye路線のスピード・チューンを実現した #2『Deal with the Devil』、 前作の軽さが嘘のような大御所感溢れるグルーヴ・メタル・サウンド #3『Revolution』、Sentencedを彷彿とさせるノリノリ系ゴシック・ナンバー #4『Worth Fighting For』、Jugulator期のリフと往年のJudasサウンドが融合し中盤から徐々にスピード感を増していく #5『Demonizer』、オールドファッションな正統派のハードロックが80年代にタイムスリップさせてくれる #6『Wheel of Fire』、(Take This)ChainsやNight Comes Down辺りのシリアスなメロディを当時のまま蘇らせたかのような名バラード #7『Angel』、高音のタッピングが想像力をかきたてるイントロ〜Painkiller路線の疾走ツーバス・サウンドが心地良い #8『Hellrider』、次曲への橋渡しとなるダークなインスト曲 #9『Eulogy』、前曲からの組曲的な構造を持つ13分超のシアトリカルな長尺曲 #10『Lochness』。

正直「Judas Priest に何を求めるか?」によって評価が極端に分かれる作品だと思います。

もし Judas Rising〜Deal with the Devil で見切りを付けてしまったのであれば、Judas Priest に "スピード・チューンだけを作ってほしい" タイプの方々だと思います。おそらく、Halford の『Resurrection』みたいな路線を期待していたのではないでしょうか?

一方で、Judas Priest のディスコグラフィを網羅し、バラード曲やスロー〜ミドル・チューンなども飛ばさずにしっかり聴いてきたタイプの方々は、本作を違和感なく受け入れられたはずです。

Judas Priest のスタイルは時代によって微妙に異なりますが、本作はよりによって "初期のマイナー臭" まで引っ張り出してきた感があります。例えるなら、昭和の名優の懐かしい映像を見た平成世代が「誰?この人」と首をかしげている状態に近いかもしれません。

 

バンドが持つ "引き出しの多さ" が裏目に出てしまった作品

本作に関して言えば、どちらのリスナーが良いとか悪いとかそういうレベルの話ではなく、単に "Judas Priestというバンドの引き出しの多さ" が裏目に出てしまった作品なのだと思います。

しいて言うなら「これからファンになるかもしれない "メロデス・メタルコア世代" の若者達に向けて、もうちょっと歩み寄ったサウンドを作れたら良かったのかな?」という気がしないでもないですが、そういう作品を作ったら作ったで "媚びた" と言われかねませんし、何だかんだで無難なところに落ち着いたと言えるのではないでしょうか。

余談ですが私は本作をリアルタイムで買って、数年寝かせました。当時は Judas Priest にステレオタイプな音楽性を期待していたので「絶賛されてるけど、そこまで良いか?」という印象しか無く、むしろ同時購入した Soilwork『Stabbing the Drama』のほうを良く聴いていた覚えがあります。

復活作ゆえのファンの盛り上がりによって誤解されがちですが、"Judas Priest の入門作" としては不向きなのでご注意ください。

まずはやはり『Screaming for Vengeance』『Painkiller』『Defender of the Faith』辺りからでしょう。その上で、"原点" とも言える『Sad Wings of Destiny』を聴いてみてイケるようであれば、本作もオススメします。個人的に大好きな次作『Nostradamus』は、世間的には "問題作" なので後回しで良いかもしれません。

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