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音楽のこと

【鋼】Slayer『God Hates Us All』レビュー

2016年11月26日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

2001年リリース。前作『Diabolus in Musica』から3年ぶりとなる通算8作目のフルアルバムであり、アメリカで約32万枚のセールスを記録した作品です。

プロデュースは、Deftones・Hatebreed・Children of Bodom などとの仕事で有名な Matt Hyde さんが担当。過去作同様、エグゼクティブ・プロデューサーとして Rick Rubin さんの名前もクレジットされています。

Louis Marino さんが手掛けた "返り血を浴びた聖書" のアートワークは相変わらず猟奇的なモチーフではあるものの、初期作のようなサタニズム要素は消滅。現実的な問題をテーマとしているという点で、着想としては Dream Theater の『Six Degrees of Inner Turbulence (の2枚目)』や同バンドの "Twelve-step Suite" シリーズに近いかもしれません。

ちょうどこの頃は、2000年7月14日〜2002年10月14日まで行われていた Tattoo the Earth ツアーの真っ只中であり、同ツアーを主催する Slipknot の影響が自然な形で作風に反映されています。

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Slipknot の活躍により Slayer の前に現れた "エクストリーム系ニューメタル" という第3の選択肢

通常盤

  1. Darkness of Christ
  2. Disciple
  3. God Send Death
  4. New Faith
  5. Cast Down
  6. Threshold
  7. Exile
  8. Seven Faces
  9. Bloodline
  10. Deviance
  11. War Zone
  12. Here Comes the Pain
  13. Payback

 

限定版

  1. Darkness of Christ
  2. Disciple
  3. God Send Death"
  4. New Faith
  5. Cast Down
  6. Threshold
  7. Exile
  8. Seven Faces
  9. Bloodline
  10. Deviance
  11. War Zone
  12. Scarstruck
  13. Here Comes the Pain
  14. Payback
  15. Addict

前々作『Divine Intervention』辺りから既に兆候はありましたが、この時期の Slayer はスラッシュメタルという狭い枠にとらわれず、常に "最先端のエクストリーム・ミュージック" を追求していたように思います。

とは言え Slayer などのベテランバンド "だけ" では、なかなかマンネリを解消することは出来なかったというか・・・やはり "Slayer の精神的後継者" とも言える Slipknot の出現がキッカケで若い世代を巻き込み、この手のメタルの再評価へと繋がったのではないでしょうか。個人的には、この後に発生したメタルコア・ムーブメントに匹敵する貢献度の高さを感じます。

前述の状況変化によって「もっと自由にやって良いんだ」と本人達が思ったかどうかはわかりませんが、実際本作のサウンドは前作までよりも柔軟性に富んでおり、形は違えど全盛期に劣らないほどのエネルギーを放出しています。

わかりやすいのが、#2『Disciple』#3『God Send Death』#4『New Faith』辺りのイントロで聴ける高速タム回しです。明らかに Joey Jordison さん(ex:Slipknot) の特徴的なドラムに影響を受けているのがわかるものの、 若干のぎこちなさが漂っていた前作に比べ、のびのびとプレイしているのが伝わってきます。

また、叩きつけるようなスネアの音が印象的な #7『Exile』や、全体的な構成が "まんまSlipknot" な『War Zone』『Scarstruck』などの楽曲もあり、もう何というか「相当ハマってたんだろうなぁ」という印象です。

一応『Payback』のようなオーソドックスなスラッシュ曲もありますが、あくまでも "昔のファン向け" のオマケ的な扱いであり、(本作においては)主流ではないように感じました。

 

"最高傑作の焼き直し" を拒み続ける Slayer の姿勢が極端に現れた作品

基本的には、前作でおそるおそる取り入れた "ニューメタル" 要素を踏襲した作風ですが、Slayer チルドレン的な若手バンドの活躍により、環境的に随分と "やりやすくなった" であろうことが如実に感じられます。

ただ「Reign in Blood みたいなアルバム以外は絶対に認めない」という方々や「フォロワー的な作品は作ってほしくない」という方々からは、まず間違いなく嫌われるタイプの作品でしょう。"いわゆる" の Slayer 要素は、かなり薄めです。

個人的には、最高傑作 "の焼き直し" を望むような狭量なリスナーへの迎合はナンセンスだと思っているので、後輩バンドからも積極的に学ぼうとする Slayer の姿勢は普通に格好良いと思います。

慢性的な肘の負傷の悪化が原因で、本作を最後に Paul Bostaph さん(Dr.) はバンドを一時脱退。次作『Christ Illusion』ではオリジナル・ドラマーの Dave Lombardo さんに再びバトンタッチし、サウンド的には初期の疾走感を再現した感じの作風となっています。

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