えらく扇動的なタイトルのように思えますが、実際に読んでみるとそんなことはありませんでした。

簡単に言うと本書は、”なるべく波風を立てずに生きる” だとか “相手のモチベーションを上げたり気持ち良くなってもらう” のに役立つ本です。

頭に血がのぼりやすい人にとっては自分の行動を見つめ直すキッカケになるでしょうし、逆に “頭に血がのぼりやすい相手の攻撃力を弱めたい” 場合などにも効果を発揮します。

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大昔から変わらない “水掛け論” の構造

何かを主張する際に「自分の言っていることは間違っていない」といった前提で話を進める方は多いです。

例えば、筆者『デール・カーネギー』さんの出身地であるアメリカは訴訟大国として知られています。また、実際のところは分かりませんが、よく “アメリカ人は謝らない(良く言えば、謝罪よりも問題解決に重きを置く)” とも言われていますね。

日本人の場合、リアル社会では礼儀正しく振る舞える印象がありますが、ネット上だと人格が豹変する方があまりにも多いです(もちろん、全員がそうだと言うわけではありません)。

そして、当記事を読まれているあなたもご存知のとおり、これが匿名になるとさらにエスカレートします。”差別的発言” “逆張り” “揚げ足取り” “ネットリンチ” などは日常茶飯事であり、コミュニケーションにおいては「いかに相手を貶められるか?」が重要視されがちです。

私自身、初めて2ちゃんねるを開いた約15年前に日本人の裏の顔を知って衝撃を受けましたし、危うく人間不信になるところでした。わざわざエゴサーチしに行く方々を見ていると「正気か?」と思います。

では、人間はネット時代になって急に性格がひん曲がったのでしょうか?そんなわけないですよね。

本書で紹介されている事例は100年以上前のものばかりですが、トラブルに至る経緯が驚くほど現代人と似通っています。異なる点はせいぜい、パソコン・スマホ・ネット環境などがあるか無いかぐらいでしょう。

 

面倒な人達がこの世からいなくなることは “絶対に” 無い

残念ながら、彼らが反省して心を入れ替えるなんてことは100%あり得ません。なぜなら、彼らにしてみれば “自分達を責めてくるやつらこそが悪” だからです。

つまり、相手側からも「お前こそ反省して心を入れ替えろ!」と思われているかもしれないわけですね。

それぞれの立場から、互いに「あいつは面倒なやつだ」といがみ合っているのですから、この世から面倒な人間がいなくなるわけがありません。

 

相手に勝ちたければ “戦わない”

【意見が一致する点を探せ】
相手の主張を聞いたら、まず賛成できる点を話す。

【率直であれ】
自分がまちがっていると思う点をさがし、率直にそれを認めてあやまる。それで、相手の武装がとけ、防衛の姿勢がゆるむ。

【相手の意見をよく考えてみる約束をし、その約束を実行せよ】
相手のほうが正しいかもしれない。自分のいいぶんを通すのに急なあまり、あとになって「あのときいったのに、こちらのいうことを聞こうとしなかったではないか」などといわれる破目になるより、はじめに相手の主張をよく考えてみる約束をしたほうが、はるかに事は簡単だ。

『人を動かす』165ページより引用

【PART3 人を説得する十二原則:議論をさける】より、9つある内の3つほど引用させていただきました。

もちろん、中には「相手に賛成できる点が無いから、対立してるんだろ!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ごもっともです。

私の場合、賛成できる点が見当たらない場合は “相手の良いところを見つける” 方向にチャンネルを切り替えます。とある場面で試しにそれを相手の方に伝えてみたところ、口調が穏やかになり、相手側からもこちらの言い分を一部認める発言が出てきました。

ちなみに、直近で本書を読んで実行に移したわけではありません。おそらく数年前にたまたま拾い読みした本書の【議論をさける】というページによって、いつの間にか影響を受けていたのだと思います。

 

鵜呑みにし過ぎると、足元を見られるよ

ただし、このスタンスが通用しない相手も存在します。

たとえば、例の国・例の団体などが吹っ掛けてくる当たり屋まがいのイチャモンも「我々は絶対に間違っていない」という根拠の無い思い込みから来る行動だと言えるでしょう。本当は全て分かった上で「歴史を書き換えて、対外的な国家イメージを上げたい」「脅せばもっと金を巻き上げられる」とか考えていそうな気もするけど・・・まあ、これは憶測に過ぎません。

ともあれこういった方々は、そもそも “何が何でも波風を立てる” ということを前提として行動しているため、仮にこちらが YESと言っても NOと言っても、揉め事を起こそうとけしかけてきます。

本書によって効果が見込めるのは、あくまでも “話せばギリギリ何とかなる” 方々のみです。

世の中には悪い人間がごまんと存在しますし、そういった連中が考えていることは “いかに相手を騙すか” “いかに相手を貶めるか” なので、本書に書かれてあることを鵜呑みにすると足元を見られる可能性があります。

個人的には、最初は性善説に基づいて相手の出方をうかがいつつ、明らかに反省が見られない場合は厳しく対処するしかないのかな・・・と思います。

 

テクニック集としてとらえるのではなく “体で覚える”

前半はどちらかと言うと “内省的” な内容ですが、本書は後半へ行くにしたがい徐々に “テクニック” の比重が上がっていきます。

  • “イエス” と答えられる問題を選ぶ(205ページ)
  • 演出を考える(253ページ)
  • 対抗意識を刺激する(260ページ)
  • 喜んで協力させる(315ページ)

見出しの雰囲気的に、本書のタイトルである『人を動かす』に最も近いものを挙げてみました。

この辺の見出しに限って言うなら、人を動かすというよりも “人を操る” っぽいニュアンスに感じられる方もいらっしゃるかもしれません。とりわけ1つ目の見出しなんかは、情報商材系の方々が、本書の上っ面をなでて作ったような商品ページ内で濫用しているイメージが強く、個人的にはあまり好きではなかったりします。

ただ、先ほど挙げた見出しの文章も「こういう時は、こう立ち回れ!」と単刀直入に述べているわけではありません。本書の全ての項目と同様 “事例をもって、読み手に示唆する” という形式をとっており、読み手が自然と内容を受け止められる構造になっています。

というか本項で挙げた箇所に限らず、本書をテクニック集としてインスタントに取り入れることは、あまりオススメしません。もちろんインスタントでも効果はありますが、可能であれば “人格を矯正する勢いで体に叩き込む” を目指したいところです。

テクニック集としてとらえると、本書に書かれてあるとおりに相手を誘導したことで「あいつを思いどおりに操ってやったぞ。ざまあみろ」的な感じで、自身の人間性を磨く機会を逃してしまいますからね。もったいないと思います。

 

あとがき

個人的に気になる見出しを1つ1つ挙げていこうと思いましたが、やめました。

というのも、この本って最初から最後まで、筆者の言いたいことが割と一貫している気がするんですよね。おそらく・・・

心から相手を立てる

こういうことなんじゃないかなぁ。どシンプルですけどね。

でもって、ポイントは【心から】。

単に “相手を立てる” だけだと「あの上司・先輩に嫌われると面倒だから、太鼓持ちをしておこう」とか「あいつはバカだから、テキトーにお世辞を言っておけば騙し通せるだろ」などといった、ひねくれた解釈をされる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、その場しのぎのお世辞は、バレる人にはバレるものです。仮に最初バレなかったとしても、後々ボロが出る可能性は大いにあり得ます。

そして、タイトルの『人を動かす』は、決して人を “操る” という意味ではありません。これだけは、念押ししておきたいところです。

あと “コーチング” とか “アンガーマネジメント” 辺りに興味をお持ちであれば、ぜひ読んでみてください。要は、それらのネタ元みたいな本です。

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