HAGANEYA(@imech_jp)です。
『ももクロ』や『PASSPO☆』辺りを源流とするロック×アイドルというアプローチ。
そんな先人達のコンセプトをより先鋭化させる形で誕生した『BiS』や『BABYMETAL』。彼女達によって確立されたこのジャンルは、いつしか "Kawaii Metal(カワイイメタル)" と呼ばれるようになりました。
上記グループがある程度の市民権を得たことにより、フォロワーアイドルの数は一気に増加。メジャーアイドルには及ばないものの、一定のシーンを築くことに成功しています。
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今回は、以前ご紹介してきたグループほどの規模ではありませんが、「面白いことやってんな~」と個人的に感じたカワイイメタル系アイドルをいくつか挙げてみました。
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BELLIRING少女ハート(現『There There Theres』)
2012年結成。度重なるメンバーチェンジによってオリジナルメンバーは一人も残っていませんが、2017年2月に新メンバー3人を迎え『There There Theres』の名で活動中です。
初期『Jefferson Airplane』や『The Doors』、中期『The Beatles』辺りを彷彿とさせる 60'sサイケデリック・ロックの香りを、90'sオルタナティブ・ロックや後期ブリットポップの荒々しさで包み込んだかのような音楽性を有しています。
とりわけ、1st『BedHead』はオルガン・カスタネット・裏打ちドラムなどのサイケデリック・ロック要素を取り入れた楽曲が多く、個人的には名盤だと思っています。
2nd『UNDO THE UNION』や 3rd『BEYOND』も悪くはありませんが、エレクトロ要素やグルーヴメタル要素の導入によりメジャー感が強くなってしまったため「アイドルとしては良いのかもしれないけど、オリジナリティは薄れちゃったかな・・・」と率直に感じました。
ちなみに代表曲『the Edge of Goodbye』はベスト盤『BEST BRGH』にも収録されていますが、メンバーチェンジによってボーカルが変わっています(ちょっとだけ上手くなってます)。私としては、断然『BedHead』バージョンがオススメです。
BELLRING少女ハートは、お世辞にも歌が上手いグループではありません。でも「サイケデリックだから良いじゃん」の一言で、何となく片付いてしまいます。これが正解。
NECRONOMIDOL
2014年結成。ブラックメタルな風貌&世界観に身を包む、ニュー・ウェーヴ/ダークウェーブ系アイドルグループ。
見た目の雰囲気とは裏腹にブラックメタル要素の強い楽曲は多くなく、むしろゴシックやニューウェーヴ好きが食いつきそうな楽曲が圧倒的に多いです。
というか・・・メタル要素の強い楽曲に絞って言うなら、ブラックメタル曲よりも正統派メタル曲のほうが割合としては多いかもしれません。意外と、色々な要素を詰め込んでいる印象。
『The Sisters of Mercy』や『The Mission』、6th『One Second』期周辺の『Paradise Lost』などのゴシック・ロックが好きなら割とハマると思います。
NEVE SLIDE DOWN
2016年結成。『PassCode』も所属する事務所 we-B studios の第2弾アイドルグループ。
MV が出ている楽曲に関しては PassCode 同様『Fear, and Loathing in Las Vegas』系エレクトロニコアとなっています。(PassCodeと)事務所が一緒とは言え、ぶっちゃけ "二番煎じ" です。
ただ、1st EP『That's Not My Real Name』内の同名タイトル曲については、3rd 以降の『Soilwork』を彷彿とさせるエクストリームメタルの香りが微かに感じられます。こっちの要素を押し出して行けば良いのに。
ピコリーモ系アイドル専門の事務所にしたいのかは分かりませんが、露骨に "妹分" 的な雰囲気を出さず、差別化していっても良いような気はします。乃木坂と欅坂だって音楽的な方向性は微妙に違うわけだし・・・
The Idol Formerly Known As LADYBABY
2015年結成。フロントマンである "ビアちゃん" ことレディビアードさんの脱退に伴い LADYBABY から改名・再始動した、金子理江さん・黒宮れいさんの2人によるアイドルユニット。
どことなく "the end of genesis T.M.R. evolution turbo type D" 辺りを思い起こさせる、蛇足感溢れるユニット名になってしまいました。
音楽性も、当初の BABYMETALフォロワーな楽曲の割合は減り、UKロック系の雰囲気を持つ楽曲も出てきました。
今だに「Ladybeard comeback!」的な声が国内外で根強いようですが、個人的には路線変更後の音楽性は "アリ" だと思っています。
『Queen』を彷彿とさせる "ロック・オペラ" 風の劇的な展開がクセになる『イースターバニー』を初めて聴いた時は「ビアちゃんいなくても全然イケるじゃん」と率直に感じました。2分46秒からの曲調が変わるパートは必見。
まず間違いなく言えることは "2人体制になったことで二番煎じ感は消滅" したということ。
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さらに、見た目のインパクトが強いレディビアードさんがいなくなったことで、元々持っていた2人の歌唱力・パフォーマンス力が前面に出て来た印象があります。
偶想Drop
2014年結成。既存のカワイイメタルの最大公約数的な音楽性を持つアイドルグループ。
いわゆる "電波ソング" 的な早口言葉。ヲタの "合いの手"。カワイイメタル系アイドルの常套手段とも言える "ピコリーモ" 要素。BiS/BiSH 界隈が得意とするエログロな MV。
「もはや何番煎じなのか」とツッコみたくなるほどの潔さですが、それもこれも "シーンに厚みが出てきた" 何よりの証拠だと思います。
とは言え "◯◯の下位互換" と言い切ってしまうほどクオリティに難があるわけではありません。カワイイメタルファンなら押さえておいて間違いないですし、ひょっとすると今後化けるかもしれません。
最後に
草分け的なグループの健闘により、国内のみならず海外でも一部のコアな音楽好きに知られるようになってきた同ジャンル。
ただ、そもそもアイドル界全体が飽和状態になってきているため「アイドル×◯◯の組み合わせは、まだ誰もやってないから先にやってしまおう」とばかりに、安直なコンセプトのグループが増えてきた印象があります。
それが必ずしも悪いことだとは思いませんし、同シーンが盛り上がるのはメタル好きとしては喜ばしいことです。
願わくば「大人に言われたからやってます」的な感じではなく自身の活動に信念を持ってほしいし、自分のやりたくないことだったら「NO」という選択肢も持ってほしいと(個人的には)思っています。
ロックバンドのシーンみたいに盛り上がっていくと良いなぁ・・・
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