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音楽のこと

【鋼】Megadeth『Endgame』レビュー

2016年10月21日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

2009年リリース。前作『United Abominations』から2年ぶりとなる通算12作目のフルアルバムです。プロデュースは前作から引き続き Andy Sneap さんが担当。

なお、心臓疾患のため前年に脱退した Glen Drover さんの後任として、元 Jag Panzer の Chris Broderick さん(Gt.) が本作から参加しています。

John Lorenzi さんによって手掛けられた "昆虫×囚人(?)" のアートワークは地味で Megadeth らしさに欠ける作風ですが、極めてスラッシュメタル然とした雰囲気を放っています(Kreator っぽいかも)。

そのアートワークの世界観を反映しているかのような本作の楽曲は、メタラーの尺度で測るならば、総じて "平均点以上" のクオリティだと言えるでしょう。

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メタルコア世代に向けた、モダンで攻撃的な "Another Megadeth"

  1. Dialectic Chaos
  2. This Day We Fight!
  3. 44 Minutes
  4. 1,320'
  5. Bite the Hand
  6. Bodies
  7. Endgame
  8. The Hardest Part of Letting Go... Sealed with a Kiss
  9. Head Crusher
  10. How the Story Ends
  11. The Right to Go Insane

回りくどい表現をしてしまいましたが、本作を一言で説明すると "スピードメタルが好きな人向け" の作風です。

Megadeth にしてはインテレクチュアル度低めな爆走スラッシュ曲 #2『This Day We Fight!』#9『Head Crusher』辺りは、しいて言うなら 1st『Killing Is My Business... and Business Is Good!』的ですが、攻撃性やモダン性が00年代以降の新世代メタル・ファン仕様にアップデートされています。

上記のようにシンプルに攻めるタイプの疾走曲のみならず、"Holy Wars... The Punishment Due" (Rust in Peace) の再来を感じさせる #4『1,320'』、"Hangar 18" の2009年版とも言える歌モノ・ナンバー #10『How the Story Ends』など、黄金期のインテレクチュアル・スラッシュを体現した楽曲も健在です。

また、2nd『Peace Sells... but Who's Buying?』路線の "スルメ" 枠 #6『Bodies』は、前半曲と後半曲のバランサー的な役割を果たしていると思います。

なお、本作は基本速度が高めなこともあってか相対的に埋もれがちですが、#5『Bite the Hand』#7『Endgame』#8『The Hardest Part of Letting Go... Sealed with a Kiss』などのような NWOBHM タイプのスピード・チューンがしっかりと脇を固めており、なかなか侮れません。

そして、10th『The System Has Failed』以降定番となった "三連符の冒頭曲" 第3弾とも言える #1『Dialectic Chaos』。今回は短めのインスト曲ですが、3作中最も叙情性を感じる仕上がりだと感じました。

 

一見、非の打ち所が無い作品から漂う "謎の物足りなさ" の正体

#3『44 Minutes』2分35秒辺りからの演歌風ギターソロや、#5 の3分6秒辺りからの "阿波踊り" 風ギターリフなどは近年の Megadeth では珍しく、Marty Friedman さんがいた頃のサウンドを蘇らせようと試行錯誤しているのが伝わってきます。正直、Marty さんのような "ネイティブな日本" 感は薄いものの、欧米人ならではの "ステレオタイプな和風サウンド" の解釈は、なかなかにユニークです。

一方で本作からは、前述の要素も相まって「お前らどうせこんなのが好きなんだろ?」的な "あざとさ" を若干ですが感じました。

やり口としては、前年にリリースされた "セルフ・パロディ" 感の強い作品『Death Magnetic(Metallica)』と似ている気もしますが・・・ Megadeth は何やかんやで "ヘヴィメタル要素を守りつつ90年代を生き延びた" バンドなので、説得力はそれなりに大きいです。

愚直に爽快感を追求した代わりに "メロディ要素がやや後回し気味" になってしまったことを除けば、Peace Sells~ 前後の初期 Megadeth を好む層にも受ける作品ではないでしょうか。

なお、本作の "スピード重視" 路線と、前作の "キャッチー" かつ "ミディアムテンポ" 路線が融合した次作『Thirteen』では、メロディ路線の Megadeth が復活しています。"Jr" こと David Ellefson さんの復帰も相まってか、本作にうっすら漂っている "物足りなさ" が見事に解消されているので、個人的には次作のほうが好みかな・・・

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