HAGANEYA(@imech_jp)です。
本日より HR/HM 作品のレビューを始めようと思うのですが、いざ書こうと思った時に「どのアーティストから手を付けようか?」と悩んでしまいました。
で・・・色々と迷った結果、今回は "私が一番最初に購入したメタルアルバム" について取り上げようかと思います。
今回ご紹介するのは、Korn が1998年にリリースした3rdアルバム『Follow the Leader』です。この作品と出逢ったのは、日本でちょうど『Hi-STANDARD』などの "メロコア" が流行っていた00年代初頭の話になります。
この頃私は、専門学校の実習を兼ねて "趣味のホームページ" を作成していました。ちなみに、この頃に学んだ "FTP" や "HTML" "CSS" などの知識が当ブログに活かされていたりします。
当時ホームページには、コミュニケーションの場として "掲示板(フォーラム)" を設置するのが当たり前でした。サーバー設置型タイプの掲示板の導入方法がわからず "レンタル掲示板" を利用していた私ですが、そのレンタル掲示板に書き込みをしてくれていた方こそが、私にメタル愛好家への道を開かせた張本人です。
Linkin Park にハマっているという私に対し、彼は「これもオススメだよ」という感じで、Disturbed / Korn / Rob Zombie / Slipknot / System Of A Down / などのバンドを教えてくれました。当時学生でお金が無かった私は早速、近所のリサイクルショップに足を運び、彼に教えてもらったバンドの作品を片っ端から探してみることに。
そこで唯一見つかったのが、Korn の『Follow the Leader(輸入盤)』です。この当時は YouTube も無く、Wikipedia(日本語版)も発展途上の段階だったので、真の意味で "事前情報一切なし" の状態で出逢いました。
この作品から入っていなかったらニューメタル自体にハマっていなかったかも
本作『Follow the Leader』は、"初期Kornの集大成" と言える作品です。
1994年にリリースされた Korn のデビューアルバム『Korn ※セルフタイトル』は、ニューメタルのバイブルとして世界中のファンに愛されている "傑作" です。ただし、いわゆる "初期衝動" 的な格好良さによる評価なので、聴きやすさという点で言うと難があります。とにかく人を選ぶ音楽性なので、私が一番最初にこれを手に取っていたらおそらく Korn どころかニューメタル自体にハマっていなかったかもしれません。
続く 2nd『Life is Peachy(1996年リリース)』は多少聴きやすくはなったものの、基本的には 1st の延長線上の音楽性です(もちろんこれも名作)。この路線のまま緩やかに活動していくのかと思いきや、Korn は次作で一気に "垢抜けた" 作風へと変化します。
1st『Korn』2nd『Life is Peachy』を大幅に垢抜けさせた "ポップ" な作風
前置きが長くなってしまいましたが、本作『Follow the Leader』は、Korn が持つ "おどろおどろしさ" に "メジャー性・キャッチーさ" を大幅に加えた、非常に聴きやすい作品となっています。
キャッチーさの "カギ" とも言えるのが、#13 ~ #15 までの "冒頭の3曲" です(本作は#1~#12まで無音のトラックが入っているため、#13が1曲目となります)。作品の幕開けを飾るに相応しい #13『It's On!』は、オーソドックスなミドルテンポ曲ですが、ベースを担当する Fieldy さん特有のスラップ奏法によって、単調になりそうな楽曲を上手く締めています。
続く #14『Freak on a Leash』は、空間を感じる渇いたサウンドに、ボーカル Jonathan Davis さんが中盤に挟み込む "スキャット" 唱法が印象的。そして、前2曲の鬱憤を晴らすかのようなダンサブルな楽曲 #15『Got the Life』は、バンドの代表曲として超有名です。
以降の楽曲も基本的には佳曲が多いですが、冒頭3曲の "突出した華やかさ" に比べるとやや単調さを感じるせいか、ついつい飛ばしてしまいがちです。逆に言えば Korn にどっぷりハマり始めると、むしろこの辺りのマイナー曲のほうに魅力を感じるようになってきます。
冒頭3曲以外で気になるものを挙げると、#20『All in the Family』#25『My Gift to You』辺りでしょうか。『All in the Family』には、Limp Bizkit の Fred Durst さんが参加しています。冒頭の「My dick is bigger than yours」「My band is bigger than yours」の歌詞部分が、いかにも Fred Durst 節。最終曲『My Gift to You』は、Jonathan さんお得意の "バグパイプ" をフィーチャーした楽曲ですが、どことなく次作『Issues』への橋渡し的な雰囲気を醸し出しています。
ちなみに本作は、ヒップホップ系アーティストのゲスト参加が比較的多いです。#5 に『Ice Cube』、#8 に『Fred Durst (Limp Bizkit)』、#12 に『Tre Hardson (Slimkid3)』が参加していますが、その割にはヒップホップ要素を感じる場面は少ない気がします。やはり、ツカミである冒頭3曲のイメージが強いのでしょうか?
最後に
本作でニューメタルの洗礼を受けたので、多少ひいき目に見ている部分もあるかもしれません。
ですがやはり、Korn というバンドを知る上で、1st でも 2nd でも 4th でもなく「3rd(Follow the Leader)を最初に選んだ」というのは、結構ラッキーだった気がします。
最初期ほど聴きにく過ぎず、4th『Issues』のような "過渡期" の作風でもない、絶妙なポジション。初期Korn の "味" を保ったままで、可能な限りポップに進化してみせた本作は、ニューメタルに興味を持っている人への "最初の1枚" として十分過ぎるほど役割を果たしてくれるはずです。
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