HAGANEYA(@imech_jp)です。
以前 LADYBABY についての記事を書いていた時に、たまたま "デスラビッツ" というアイドルユニットを発見しました。
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LADYBABYはBABYMETALの対抗馬となり得る存在なのか?を真剣に考えてみた
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両ユニットは、今月12月30日に対バンを予定しているとの事。
https://youtu.be/62rN-BMkOvA
予告動画を観て("クサイ" のくだりで)思わず笑ってしまいましたが「それなりに形にしようと努力しているんだなぁ・・・」と、LADYBABY のことをちょっとだけ見直しました。ここまで来ると、ほとんど "バンド" と一緒ですね。
「デスラビッツ軍の七ヶ条」が耳から離れねぇ
最初に言っておきますが、"楽曲のセンス" だけで言うと、デスラビッツは BABYMETAL を超えています(垢抜けているかどうかは別として)。
「デスラビッツ軍の七ヶ条」は、いわゆる "ポスト・ハードコア" にデジタルサウンド+ジャジーなピアノアレンジを微かに散りばめた感じの楽曲です。MVとの相乗効果もあり、SF+退廃的な雰囲気を感じます。
1番のAメロ〜Bメロは、部長によるデスボイスですが、2番のAメロ〜Bメロからは女性メンバーによるクリーンボイス。その後、わずかに間奏が入り再び部長のデスボイス…という構成。
アイドルグループとしての売り出し方はしたたかなんだけど、楽曲から良い意味での "奥ゆかしさ" を感じます。この "謎の奥ゆかしさ" は、nanoCUNE を初めて聴いた時の感触に近いかもしれません。
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コンセプトが思いっきりパクリなのにも関わらず、叩くに叩けない理由が正にこの "楽曲センスの高さ"。センスというか "構成力" "バランス感覚" に非凡なものを感じるといった印象です。
曲は良いんだけど・・・
しかしながら、楽曲はともかく "アイドルユニットとしてのコンセプト" から「~からの派生ユニット」という "結成の経緯" に至るまで、思いっきり BABYMETAL をパクっているのも事実です(2013年結成なので BABYMETAL の3年後輩)。
正直、なぜこのコンセプトで始めようと思ったのかがわかりません。
ただ、おそらく「普通にやって良曲が埋もれるぐらいであれば、他人の褌で相撲をとってでも良いから売ってやろう」と考えたのではないかと勝手に推測しています。
ちなみに、”部長” こと 神崎晃 さんは『AKIRADEATH』というこれまた "どこかで聞いたことがある" ような名前のユニット(バンド)で活動しています。デスラビッツを聴くまでは全く知りませんでしたが、Atari Teenage Riot や Pitchshifter を聴きやすくした感じの音楽性で、素直に格好良いと思いました。
再生回数があまり伸びてないのが不思議なぐらいです。
何度も言いますが、"楽曲は素晴らしい" ですし "オリジナリティ" もあります。
ただ・・・良くも悪くも、これが "アイドルユニットを売ろうとしている" 人による仕事だとは思えないのです。だって「部長のセンスが前面に出過ぎている」から。
どちらかと言えば、アイドルユニットを売るというよりも「部長がやりたいことを、女性アイドルという "媒体" を使って実現しようとしている」ように感じられます。
BABYMETAL は Perfume よりも ”globe” 的
BABYMETAL に全くその要素が無いとは言い切れませんが、BABYMETAL には一応「 KOBAMETAL さんが、中元すず香(SU-METAL)さんという歌姫を売り出すために用意した "舞台"」という大義名分があります。
参考記事
異色メタルアイドル「ベビーメタル」はなぜ人気? “仕掛け人”を直撃!|OBSESSED with BABYMETAL
これは、発想のキッカケにもなった「 中田ヤスタカ さんと Perfume」の関係性とも明確に異なります。なぜなら Perfume と中田さんの場合、コンセプトの主導権は9割方 "中田さん" 側にあるからです。
「中田さんがやりたいことを、代わりに具現化している」のが Perfume。Perfume は努力でのし上がってきた "日本音楽史上に名を残す" レベルの偉大なアイドルグループですが、アウトプットしているもの自体は、あくまでも "天才" 中田ヤスタカの作品です。
"努力型" の Perfume と、"天才型" のBABYMETAL(SU-METAL)。
そういう意味で言うと BABYMETAL は、Perfume よりもむしろ "globe" に近いのかもしれません。globe はアイドルユニットではありませんが「KEIKO さんの歌声を世に出すための媒体」ではあったわけで、ジャンルは多少違えど似たものを感じます。
KOBAMETAL さんがアウトプットの手段としてメタルを選んだだけなので、極端な話「BABYMETAL の音楽性はメタルじゃなくても良かった」わけです。あくまでも「 SU-METAL さんの歌声を世の中に送り出すことさえできれば良かった」んですから。
"一定のシーン" が生まれるまで粘れば "化ける" かも
コンセプトこそ "BABYMETAL の完全パクリ" 感がムンムンなデスラビッツ。
ですが、前述の通り BABYMETAL と Perfume は似て非なるアイドルグループ(だと個人的には思います)であり、むしろ "パッと見では超BABYMETALくさい" デスラビッツのほうが Perfume 的だと感じます。
確かに、望月愛実(もちづきえみ)さんの歌唱力には将来性を感じるので、もしかしたら「やっぱり BABYMETAL だった」ということになりそうな気もしますが、そうなったらそうなったで "BABYMETALのフォロワー" という大きな壁が立ちはだかるわけです。
フォロワー的なポジションから脱却するためには、現段階だと "楽曲の方向性を変える" "ユニットの世界観を変える" のが一番手っ取り早いでしょう。
ただ個人的には、他の音楽ジャンルのように "一定のシーン" が生まれるレベルまで粘ることができれば、"アイドル×メタルシーン黎明期の草分け" 的な立ち位置にシフトするかも・・・なんて想像をしてしまいます。
わかりやすく例えると "V系" ”下北系・ロキノン系” ”渋谷系” みたいな感じですね。
"アイドル×メタル" シーンが一過性のブームで終わらずに成長を続けていけば、この並びに加わる可能性は十分考えられます。海外でジャンルが定着するかどうかは未知数ですが、国内だったらあり得るかもしれません。
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