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音楽のこと

【鋼】BABYMETAL『BABYMETAL』レビュー

2016年7月9日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

2014年リリース。芸能事務所アミューズ所属のアイドルグループ『さくら学院』から派生する形で2010年に結成された3人組アイドルユニットの 1stフルアルバムです。

さくら学院からは、クッキング部『ミニパティ』、バトン部『Twinklestars』、新聞部『SCOOPERS』、帰宅部『sleepiece』、テニス部『Pastel Wind』、科学部『科学究明機構ロヂカ?』、プロレス同好会、購買部・・・と数々の "部活動" と称する派生ユニットが生まれます。

"重音部" である BABYMETAL は、その中の一つに過ぎない期間限定ユニットだったはずなのですが、YouTube に公開したMV『ド・キ・ド・キ☆モーニング』が海外ユーチューバーや一部のメタラーの目に止まり、その後『ギミチョコ!!』のMVによって海外で人気が爆発。以降の活躍は言うまでもないでしょう。

メンバーのSU-METALさんが「ベスト的なアルバム」と評する本作は、"重音部BABYMETAL" だった頃から、世界的メタルバンド "BABYMETAL" へと駆け上がり始める直前までの人気曲が収録されています。同作に収録されているトラックはいずれも "現在進行形" でライブで披露されているものであり、常に進化し続けています。そんな楽曲の "原型" を知っておく上でも、本作は重要な作品だと言えるでしょう。

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各楽曲についての率直な感想

メギツネ

妖怪ヘヴィメタルバンド『陰陽座』や、VULGAR(4th)時代の『DIR EN GREY』などを彷彿とさせる、和風ヘヴィメタル

とは言え単なるオマージュになっておらず、エレクトロニコア(ピコリーモ)的なアレンジが施されていたり、日本の伝統曲である "さくらさくら" をブレイクダウン・パートに導入したりと、趣向を凝らしています。

 

ギミチョコ!!

およそアイドルユニットとは思えないような超ヘヴィなイントロ〜Ministryを彷彿とさせるA・Bメロを経て、浮遊感を感じるサビへと突入する、不思議な楽曲。

とにかく "掴み所がない" というのが第一印象であり、THE MAD CAPSULE MARKETS の『Step Into Yourself』『雲-kumo-』『W.O.R.L.D』などを聴いてきた耳を以ってしても "変" なサウンドだと言わざるを得ません。

後に同作曲者により『あわだまフィーバー』という "ほぼMIDI SURF" な名曲が生まれるわけですが、向こうと比べても変わってます。面白いのは、ギミチョコ!! のサウンドを聴いた外国人ファンが同曲を "J-POP的なアレンジ" だと捉えているところ。いやいや、こんな J-POP 聴いたことないって・・・

 

いいね!!

フジテレビ系『クイズやさしいね』のテーマ曲としてもお馴染み。

ピコリーモからの急激なヒップホップ・パートが、その後の "暴虐メタル・パートの前フリ" であることを理解していない一部の海外ファンが "要らない" と評しているのが微笑ましいですが、事情を知った上でも "あそこだけはダサい" 気がします。

 

紅月-アカツキ-

YOSHIKI さんが「まんまXみたいな曲」だと言っていたのは、おそらくこの曲。

日本人にとっては馴染み深いメロディラインですが、X JAPAN の知名度がそこまで高くない欧米圏においては、新鮮に捉えられたのではないでしょうか。

 

ド・キ・ド・キ☆モーニング

スピッツの草野マサムネさんもハマっているデビュー曲。

マキシマムザホルモンの『恋のメガラバ』を知っている方はニヤニヤしながら聴いたはず。方法論としては前述のバンドそのまんまですが「これを "アイドル" でやろうと思った」という所に仕掛け人の変態性を感じます。

 

おねだり大作戦

MOAMETALさんが好きなラップコア・バンド『Limp Bizkit』をアイドルがやってみたらこうなった、的な曲。

Nirvana の『Smells Like Teen Spirit』っぽいイントロも気になりますが、1番のサビ直後の "溜めて溜めて爆発" する感じが『My Generation』そのまんま。2分1秒辺りの "Fred Durst風" な掛け声からもわかる通り、これは確信犯。

 

4の歌

BABYMETAL を知らない人に最初の1曲を薦める際、この曲をピックアップすると、ロリコンと間違われかねないので要注意。疾走ツーバス&脱力レゲエ・パートが印象的な1曲。

 

ウキウキ★ミッドナイト

字面から『ド・キ・ド・キ☆モーニング』みたいな曲だと思ってしまいがちですが、どちらかと言えば『いいね!』に近いかも。間奏で挿入されるブロステップ(ダブステップ)なパートが耳に残ります。

 

Catch me if you can

仮に今後 BABYMETAL の影響力が低下したとしても、この曲だけは生き残りそうな気がします。

初期Fear Factory的でもあり、MAD的でもあり、Slipknot的でもあり・・・ヘヴィミュージックファンが真っ先に飛び付きそうな楽曲。

 

悪夢の輪舞曲

Djent をアイドルの曲に採用。しかも最近のトレンディな Djent ではなく、よりによって "本家" Meshuggah 的なやつ。同バンドの4thフルアルバム『Nothing』を彷彿とさせるリフに、ゴシックなV系サウンドを融合するという力技に脱帽。

 

ヘドバンギャー!!

"合いの手" の入れ方やアレンジに「ニコニコ界隈・ボカロ界隈の人が作ってそう」な雰囲気を感じる1曲。

メロディの起伏が少ないので地味な曲に聴こえてしまいますが、終盤で一瞬入るドラマチックなメロディラインは悪くないかも。

 

イジメ、ダメ、ゼッタイ

初めて聴いた時に、最も拒絶反応が起きた曲。当時の私と同様「安易にメタル界隈に足を踏み入れてきた上に、このタイトル&歌詞・・・メタルを舐めるな!」と感じたメタルファンは少なくないと思います。

ところが、この曲は後に BABYMETALファンにとって "アンセム" 的な曲として定着します。彼女達のメッセージ性が "本物" である、あるいは "本物になった" と受け入れられたのが理由かもしれません。

楽曲自体は普通に格好良いスピード・メタルなので、日本語がダイレクトに耳に飛び込んでこない海外ファンのほうが受け入れやすかったのではないでしょうか。

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前例のない存在であるがゆえの "遊び心"

次作『METAL RESISTANCE』は、よりメタルリスナーへと焦点を絞ったエクストリームな作風になっています。

冒頭でご紹介したSU-METALさんのコメントにもあるように、"次作が実質的な1st" といった印象であり、こちらは "重音部BABYMETALのベストアルバム" と捉えたほうがしっくり来るかもしれません。

作風も次作とは異なり、前例のない存在ゆえの "遊び心" を感じます。個人的には『METAL RESISTANCE』のほうが好きというか・・・やはりヘビロテしてしまいますね。ただし "メタルファン以外" の方は、100%本作から入ったほうが良いです。

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