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音楽のこと

【鋼】Shadows Fall『The Art of Balance』レビュー

2016年7月5日

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HAGANEYA(@imech_jp)です。

1996年に誕生し、90年代後半~00年代初頭まで "ニューメタル" 系フェスとしての地位を不動のものとしていた『オズフェスト』ですが、2003年に転機が訪れます。その当時、新たなムーブメントとして注目されていた "メタルコア" と呼ばれるジャンルに該当するバンド2組の参加です。

その2組のバンドとは『Killswitch Engage』と、今回ご紹介する『Shadows Fall』です。いずれも、前身となるニュースクール・ハードコア・バンド『Aftershock』からメンバーが枝分かれする形で誕生したバンドですが、そのサウンドスタイルは明確に異なります。現在のメタルコアシーンの "ひな形" を生み出したのは、どちらかと言えば Killswitch Engage であり、Shadows Fall はむしろ80年代後期のスラッシュメタル・・・とりわけ "ベイエリアクランチ" の代表的バンド『Testament』あたりからの影響を感じる、荒々しいサウンドが特徴です。

当時は "跳ねるようなミドルテンポのドラム" と "アメリカンロック由来の土臭いコード進行" といったステレオタイプなニューメタルの特徴を携えたバンドばかりが量産されていました。そんな中、同じような音に辟易していたロック/メタルファンの前に現れた2組は、あっという間にニューメタルを "過去の音楽" として葬り去り、90年代に "ダサい" と揶揄されていたヘヴィメタルシーンを現代的解釈で復活させてしまったのです(一周回って、ニューメタルも息を吹き返しつつある気もしますが)。

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当時のニューメタルシーンに引導を渡した "記念碑" 的な作品

今回ご紹介する『The Art of Balance』は、Shadows Fall の通算3作目のフルアルバムになります。

この作品と出逢うまで、私は伝統的なヘヴィメタルに対して "ダサくて格好悪い音楽" といった偏見を持っていました。私に限らず、メタルコアがシーンの主流になる以前に偏見を持っていた方も割といらっしゃるのではないでしょうか。

正直なところ、当時は Shadows Fall の音楽も斜に構えて聴いていました。「自分にとっての "ホーム" は、あくまでもニューメタルであり、今聴いているものはイレギュラーな音楽だ」と。そう言い聞かせていたはずなのに、ドライブ中にカーオーディオから流れてくる音は、段々と "疾走感" と "グロウル" がメインの音楽ばかりに変わっていったのです。私の中で "ジャンルの世代交代" が行われた瞬間でした。

本作『The Art of Balance』には、後続のメタルコアバンドにありがちな "エモい" 要素が一切ありません。ボーカルを担当する Brian Fair さんのヘタウマな歌声は、同じくヘタウマに定評のあるドゥームメタルバンド『Cathedral』のボーカル Lee Dorian さんを彷彿とさせる、何とも "男臭い" ものです。

メタルコアバンドを色々と聴き比べていた当時は「ボーカル交換すればクオリティ上がるだろうなぁ」なんて的外れな感想を抱いていましたが、今となっては Brian Fair さんのボーカルあってこその Shadows Fall だと認識を改めています。ヘタウマボーカルって何となく日本のアーティストの専売特許な感じがするんですが、欧米圏にも意外といるんですよね。

 

全編通してとにかく “疾走” しまくっている

さて、この作品はインスト曲の #4『Casting Shade』#9『Prelude to Disaster』や一部のバラード曲を除き、とにかく "疾走" しまくっています。

Testament の『Over the Wall』を彷彿とさせるイントロの #1『Idle Hands』から始まり、#2『Thoughts Without Words』#3『Destroyer of Senses』まで息もつかせぬ展開がひたすら続きます。この時点で心を奪われてしまうわけですが、中盤に構えるリードトラック #5『Stepping Outside the Circle』の "聴き手に一切の隙も与えない" 計算し尽くされた楽曲構成にノックアウト、です。

その後も #7『Mystery of One Spirit』#8『The Idiot Box』#10『A Fire in Babylon』#12『This is My Own』と、いずれも疾走曲が目白押しですが、不思議と飽きが来ません。

Shadows Fall の・・・というか特に "本作" の特徴なのですが「疾走曲ばかりにも関わらず、各楽曲にオリジナリティがある」んですよね。それぞれの楽曲に個性的なギターソロが入っているし、どの曲も "予定調和を意図的に回避している" ような気がします。

 

本作が持つ “ハードコア” 由来の荒々しさが超好み

Shadows Fall の大出世作と言えば、次作『The War Within』を挙げる方が多いかと思いますが、私は断然『The Art of Balance』を推します(もちろん次作も大好きです)。

最初に聴いたので若干ひいき目に見ている部分があるかもしれませんが、この作品の "ハードコア" 成分の多さにもしかすると惹かれたのかもしれません。『The War Within』はともかく、この後 Shadows Fall はどんどん正統派メタル方面へと向かっていき、ハードコア由来の荒々しさが段々と抑えられていってしまうんですよね・・・それはそれで悪くはないのですが、やっぱり個人的には本作の "先進性" を超える作品は生まれていないような気がします。

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