※注意:当記事には、未プレイ者に対して若干のネタバレがあるかもしれません。意識的にネタバレは避けて書いているつもりですが、もし事前情報を完全に断ちたい場合はページを閉じていただけると幸いですm(_ _)m

いや~・・・おもしろかった。

正直、ゲームのレビューについては経験もほとんど無いし、レビューできるほどたくさんのタイトルをプレイしているわけでもありません。

そんな自分が、本作『CHAOS;CHILD』をTRUEエンドまで読み切った際に、不思議と文章を書きたくなる衝動に駆られてしまい、今こうして筆を進めている次第です。ノベルゲームの感想なんて書くつもりなかったんだけどなぁ・・・

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『CHAOS;CHILD』の簡単な紹介

2015年、渋谷。6年前に起きた大災害、渋谷地震から復興された街に新設された私立高校『碧朋学園』に通う青年宮代拓留は、自身が設立した新聞部の活動の一環として『ニュージェネレーションの狂気の再来』と称される連続殺人事件を追っていた。

情報強者を自称する拓留は、持ち前の好奇心と行動力、そして周囲の手助けや偶然もあり、とうとう事件の第一発見者となる事が叶う。真相の究明をする事で自身の有能さを知らしめる事ができると考えた拓留は、義理の姉を自称する来栖乃々の制止も聞かず、幼なじみの尾上世莉架や親友の伊藤真二と共に動く事となる。

やがてそれは、渋谷に生きる全ての人々を巻き込む狂気となって拓留に襲い掛かり、拓留もまた、自身の過去と向き合う事となって行く。

Wikipedia『CHAOS;CHILD』より引用

※Wikiに重大なネタバレが載っているので、もし未プレイの場合あらすじ以外の項目は絶対に読まないでください

CHAOS;CHILD(通称:カオチャ)とは、世間で言うところのいわゆる “ビジュアルノベル” もしくは “ギャルゲー” と呼ばれるジャンルの作品です。開発元・発売元は 5pb.(株式会社MAGES.のゲームブランド)で、キャラデザの ささきむつみさん、衣装デザインの松尾ゆきひろさん、作曲者の阿保剛さん、監修の林直孝さんなどは同社の代表作である『Memories Off』シリーズにも携わっています。

ちなみに、ギャルゲー要素は5~10%ぐらいでしょうか・・・まあこの点については、ギャルゲー作っている会社の作品なのである程度は仕方ないかと思います。

ただ、この手のジャンルでは定番の “プレイヤーの性的欲求を煽る” 描写については、極力抑えられているように感じました。と言いますのも、本作(および前作『CHAOS;HEAD NOAH』)では “妄想トリガー” というシステムが採用されており、女性キャラが出てくる重要な場面などで軽めの分岐が発生するんですね。

chaosch1

分岐には [ポジティブ妄想] [ネガティブ妄想] [妄想しない] の3択が設けられており、プレイヤーの選択次第で直後の展開が変化します。ポジティブ妄想を選択するとギャルゲー的な展開になり、ネガティブ妄想をするとサイコホラー的な展開になる場合が多いです。

ですので、ギャルゲー要素が苦手な方は [妄想しない] [ネガティブ妄想] を選んで読み進めていくと、普通に硬派な推理アドベンチャーゲームとして楽しむことができます。ただし、TRUEエンドに到達するためにはポジティブ妄想を見なければならない場面がどうしても出てきますので、そこはある程度割り切って読み進めるしかないですね・・・

 

他の科学ADVシリーズをプレイする(orアニメを観る)必要はある?

一応、科学ADVシリーズはナンバリング4作全て100%クリア(もしくはアニメ版を視聴)しています。また、スピンオフについても『CHAOS;HEAD らぶChu☆Chu!』を除き、リストに挙げたタイトルは100%クリア済みです。

クリア・視聴済みの科学ADVシリーズ本編一覧

  • CHAOS;HEAD NOAH(iOS版・アニメ版)
  • STEINS;GATE(iOS版・アニメ版)
  • ROBOTICS;NOTES(アニメ版)
  • CHAOS;CHILD(Android版)

クリア・視聴済みの科学ADVスピンオフ・ファンディスク一覧

  • CHAOS;HEAD らぶChu☆Chu!(PSP版)
  • 劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ
  • STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん(iOS版)
  • STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム(iOS版)
  • STEINS;GATE 0(アニメ版)

で結論を先に言ってしまうと、事前プレイが必須な作品は特にありません。確かに、シュタゲやロボノなどといった過去作の設定や小ネタも一応出てくるのですが、これらは本当に小ネタレベルなので全く問題なし。

ただ、カオヘ(CHAOS;HEAD NOAH)については “もし面倒じゃなければ” プレイしておいたほうがカオチャの設定・世界観を理解しやすくなると思うので、個人的にはオススメしておきます。オリジナルが10年以上前の作品なのでシステム面に若干の難はありますが、こちらもなかなかの力作です。

 

事前プレイの重要度

CHAOS;HEAD NOAH > STEINS;GATE = ROBOTICS;NOTES ※必須ではありません

 

『CHAOS;CHILD』をプレイしてみての率直な感想

ノベルゲームとしてもアニメとしても、近年もっとも話題になったヒット作の1つと言えるであろう『STEINS;GATE』。自分は完全に後追い組ですが、いわゆる “ギャルゲー” 界隈の作品に強い偏見を持っていた私の考えを180度変え、少なくとも「他のノベルゲーもプレイしてみたい!」と思わせるぐらいにはシュタゲから影響を受けてしまったように思います。

そんな私が、巷の「シュタゲと並ぶか、もしくはそれ以上の傑作」といった絶賛の声も少なくない本作『CHAOS;CHILD』に興味を持つのに、さほど時間は掛かりませんでした。

でもって、1~3章ぐらいまで比較的 “無風” 状態だったとしても「あのシュタゲを生み出した会社の作品なんだから、この後で衝撃的な展開がいくつも待ち構えているんだろうな」「これは絶対にフリだな」と我慢して読み進めることができたわけです。もし、カオチャの序盤で脱落しそうな方がいらっしゃるのであれば、4章・8章・11章・来栖乃々編・TRUEエンド辺りで衝撃的な展開が待ち構えているので、なんとか耐えてください。

さて、事前知識を入れるために『CHAOS;HEAD NOAH』をプレイした私ですが、カオヘの若干ご都合主義な設定や展開に対しては「まあまあ面白いけど、良作止まりぐらいかな・・・」ぐらいの印象を受けていました。先にシュタゲからプレイしてしまった弊害かもしれません。

 

ワチャワチャ感

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本作では、そんな “シュタゲほど跳ねなかった” カオヘから大幅に改善された点があります。その1つが “ワチャワチャ感” です。

前作『CHAOS;HEAD NOAH』は、キモヲタの主人公である西條拓巳がヒロイン達の力を借りて大きな事件へと立ち向かう作品でしたが、プレイヤーの孤独感が尋常ではありませんでした。主人公のクレイジー過ぎる性格には感情移入しにくいし、困った時に協力してくれるメインキャラも基本的には1対1で会って話すことになるため、落ち着ける場所がとにかく少なかった印象です。

本作では、シュタゲにおける “未来ガジェット研究所” のようなものが “碧朋学園新聞部” として、また “ラボメン” のようなものが “新聞部員” といった形で存在しており、定期的にメインキャラが集合して推理を行うくだりが出てきます。ホッと一息つける拠点があるという点において、シュタゲとの共通点があるわけですね。

 

真相だと思いきや・・・の繰り返し

本作はとにかく、プレイヤーが想像する展開を裏切ってきます。

  • 4章:”とある人物” が誰かに殺されたと一瞬思わせられるが、実は殺されていなかった
  • 8章:”とある人物” を殺した実行犯に犯行動機はなかった
  • 9章:推理パートで犯人から除外したはずの人物が実は黒幕の1人
  • 11章:コマだと思っていた人物が実はゲームを動かしていた
  • うきルート:実際に妄想の世界にとらわれていたのは・・・
  • 雛絵ルート:バッドエンドを回避したと思いきや・・・
  • 華ルート:香月華がしゃべらない理由は・・・
  • 乃々ルート:来栖乃々の正体が実は・・・
  • TRUEルート:ギャルゲーの概念が覆されるほどの衝撃的な真実が明かされる

パッと思いつくだけでも、これだけありました。

他の科学ADVシリーズをプレイしたことがある方であれば「一番 “無さそう” なコイツが犯人だろうな」とある程度の当たりを付けることも可能だと思うのですが、そこも含めてシナリオライターに先を読まれている感じがあるんですよね。怪しい人物が出てくると、プレイヤーからの疑いの目を外させるために、あえて別の容疑者をブチ込んできたりして。

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というか TRUEエンドまでたどり着いた時点で、そもそも “真犯人は誰なのか?” といった要素も実はそこまで重要ではなかったことが判明するんですよね。なぜなら、おそらく “本作のテーマはそこではない” から。

 

実在する事件・災害・国際問題・人権問題などを彷彿とさせるテーマ

先述した通り、本作では TRUEルートにて衝撃的な真実が発覚します。私が当記事を書こうと思い立ったのも、これが大きな理由です。

それまでの・・・いわゆる最初からプレイ可能な共通ルートだったり個別ルートにもかなりの数の仕掛けがある本作は、それだけでも十分に傑作ノベルゲームとして楽しめる作品だと個人的には思っています。単に「その辺のギャルゲーとは一味違う」とプレイヤーに思わせるだけで良ければ、TRUEルート無しでも戦えるレベルには達している印象です。でも、TRUEルートは絶対に必要。

TRUEルートの展開については「蛇足だ」という意見も結構あるみたいですが、個人的には肯定派です。

結論を言ってしまうと、この作品って実在する事件・災害・国際問題・人権問題などを彷彿とさせる描写が非常に多く、しかもそれらの要素のほとんどが TRUEルートに密集しているんですね。

まず、プロローグの渋谷地震のくだりは完全に “東日本大震災” をモチーフにしていると思うのですが、本編では一旦この手の描写は抑えられ “表向きは” 推理モノ作品としての展開が続くわけです。そしてプレイヤーが忘れかけた頃、TRUEルートにてプロローグの頃の “フィクションとノンフィクションの中間” 的な雰囲気が復活します。

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例えば、TRUEルートで明かされる “彼らが見ている世界” と “普通の人が見ている世界” の関係性なんて、例の国と日本(もしくはカルト宗教の信者と無宗教の人々)との認識の違いに当てはめるとしっくり来ます。もしくは、最近YouTuberになったお笑い芸人に対して “彼の過去の不祥事や人間性を必死になって叩き続ける方々” と “彼の欠点を認識しつつも良いものは良いと認められる方々” との認識の違いだったり。

マトモな感覚をお持ちの方であれば「何で、ちょっと調べればすぐに分かることなのに騙されるんだろう?」「もうちょっと聞く耳を持とうよ・・・」と呆れるようなことは多いと思うのですが、本作をプレイした後だと「まあでも、彼らには彼らなりの “正義” があるんだろうな」と妙に納得してしまいます。情弱とか情強の定義って、一体何なんでしょうね。

と同時に、本作には「自分はマトモだと思っている側の人間も、もしかすると認識を誤っているかもしれないよ?」といったメッセージを同時に、読み手に対して示唆させている側面もあるように思いました。例えば “ネット私刑” なんてのも、吊し上げた人が犯人じゃなかったりしたら大大大問題ですからね。

 

まとめ

まとめると、こんな感じです

  • シュタゲ譲りの “ワチャワチャ感” が心地良い
  • 真相だと思いきや・・・の繰り返しでプレイヤーの目を欺き続ける
  • 実在する事件・災害・国際問題・人権問題などを彷彿とさせるテーマ

本作は CERO Z(18才以上対象)となっていますが、エロ要素があるという意味での18禁ではなく “サイコホラー描写” が理由で年齢制限が掛けられています。※機種によって微妙に異なります

確かに本作には残酷な殺され方をする人達が山ほど出てきますし、しかもそれはゾンビなどではなく “生身の人間” です。それを踏まえて考えると、規制を掛けられても仕方のない作品であることは否定の余地がありません。

一方で、本作のオモテの顔であるサイコホラーサスペンス要素を乗り越えた先にある “裏テーマ” に触れることで、一見すると真逆の要素にも思える “道徳心” が自分の心の中から顔をのぞかせてきたのも事実です。

一言でいうなら『CHAOS;CHILD』とは、ギャルゲーやサイコホラーサスペンスの皮をかぶった “道徳の教科書” です。思えば私も、道徳の授業でテキストを読んでいた際に心のどこかで「こんなこと真に受けてたら、それこそ悪いやつに騙されるだろ」などと斜に構えて考えるような痛い子どもだったかもしれません。

本作の道徳教育は荒療治ですが、もし大人になっても心のどこかで斜に構えた考えを持っている自覚があるのであれば、試しにプレイしてみてください(ただし、TRUEエンドまで読まないと意味がありません)。キャラデザにしてもテーマにしても激しく人を選ぶ作品であることは間違いないですが、巷の評価に偽りが無いことが分かるはずです。

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