HAGANEYA(@imech_jp)です。

2016年リリース。前作『Worship Music』から5年ぶりとなる通算11作目のフルアルバムであり、2013年に脱退した Rob Caggiano さんの後任として Shadows Fall の Jon Donais(Jonathan Donais)さん(Gt.) が参加しています。なお Rob さんは、デンマークのサイコビリー・メタル・バンド Volbeat にて活動中です。

プロデュースは、前作でミキシングを務めた Jay Ruston さんが担当。アートワークは、前作・前々作と同様 Alex Ross さんが手掛けています。

Joey Belladonna さん(Vo.) 復帰も影響してか、正統派メタル寄りのサウンドに回帰した前作。その延長線上とも言える本作では、前作以上に “Belladonnaありき” なスタイルを追究しています。

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従来の Anthrax サウンドを維持しつつ、綺麗さっぱり消え去った “B級” 感

Nuclear Blast 版

  1. Impaled
  2. You Gotta Believe
  3. Monster at the End
  4. For All Kings
  5. Breathing Lightning
  6. Breathing Out
  7. Suzerain
  8. Evil Twin
  9. Blood Eagle Wings
  10. Defend/Avenge
  11. All of Them Thieves
  12. This Battle Chose Us!
  13. Zero Tolerance

Megaforce(iTunes / ダウンロード)版

  1. Impaled / You Gotta Believe
  2. Monster at the End
  3. For All Kings
  4. Breathing Lightning / Breathing Out
  5. Suzerain
  6. Evil Twin
  7. Blood Eagle Wings
  8. Defend/Avenge
  9. All of Them Thieves
  10. This Battle Chose Us!
  11. Zero Tolerance

従来の Anthrax には見られないエピック・メタル系のアートワーク(”大聖堂” でしょうか?)。そして、アートワークの世界観を再現したかのような #1『Impaled』のストリングス・サウンドからの、スラッシュ+グルーヴ・メタルな #2『You Gotta Believe』。

若干毛色は異なるものの、この構成は 9th『We’ve Come for You All』における “Contact 〜 What Doesn’t Die” や、10th における “Worship 〜 Earth on Hell” の流れを汲む、00年代以降の Anthrax の基本フォーマットです。

前作では、この後の3〜4曲目もスピード系の楽曲が続くのですが、#3『Monsters at the End』はミディアムテンポ、そして #4『For All Kings』は #2 と同様スピード&ミディアムテンポのハイブリッド型な楽曲が続きます。

狙ってなのか無意識になのかはわかりませんが、#3 は単純なグルーヴ・メタルというよりは「Aメロ〜サビのリズムが Metal Gods(British Steel)っぽいな〜」と思いながら聴いていました。1分54秒辺りで一瞬入る maximum the hormone(予襲復讐)みたいなギターリフも地味に耳に残りましたが、それ以上に彼らの “Judas Priest愛” が感じられる楽曲だと思います。

また、#2 の他にも #8『Evil Twin』や、Gung-Ho(Spreading the Disease)の遺伝子を受け継ぐハイスピードな #13『Zero Tolerance』といった楽曲が要所要所で入ってくるので、スラッシュ好きな方もそれなりに満足度は高いのではないでしょうか。

そんな中で、本作のハイライトとも言えるのが #5『Breathing Lightning』#9『Blood Eagle Wings』の2曲です。

Shadow Gallery 辺りを彷彿とさせる #5 のイントロ&サビはプログレメタル畑のバンドかと見まごうほどに幻想的。長尺の #9 も同種の空気感を共有しており、この2曲が持つ重厚な存在感が、従来の Anthrax が持ち味としていた “B級” 感を良くも悪くも消し去っているということがわかります。

 

“Belladonnaと既存メンバーのケミストリー” に華を添える、Jonathan Donais の存在感

本作の “謎の” 完成度の高さは、Belladonna さんが戻ってきたことによる既存メンバーとのケミストリー的な部分もあるかとは思いますが、やはり Jonathan Donais さんのテクニカルなギタープレイの貢献度も同じぐらい大きいのではないでしょうか。

作品を通して聴けば Jonathan さんがもたらした影響力の大きさは明白です。とりわけ #12『This Battle Chose Us!』3分25秒辺りからの縦横無尽に暴れ回るアルペジオは Shadows Fall から持ち込んだ要素であり、従来の Anthrax が持つ軽快な音楽性に違和感なく溶け込んでいます。Kiko Loureiro さんが加入した新生 Megadeth の『Dystopia』が各所で絶賛されていますが、Jonathan さんと Anthrax の相性も負けず劣らず良好だと言えるでしょう。

初期 Anthrax ファンの中には、最初期(1st『Fistful of Metal』〜 2nd『Spreading the Disease』)を愛する方も一定数いらっしゃるかと思いますが「前作や本作が 2nd の次に来ていたら・・・」なんて考えると、意外と面白いかもしれません。

その場合 “スラッシュ四天王” に名を連ねていたかどうか微妙ではありますが・・・ともあれ、正統派メタル路線の Anthrax を熱望していたファンであれば、前作と本作は “必聴” と言っても大げさではないほどの完成度だと個人的には思っています。

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