HAGANEYA(@imech_jp)です。

2011年リリース。前作『We’ve Come for You All』から8年ぶりとなる通算10作目のフルアルバムであり、ナンバリング作としては1990年の 5th『Persistence of Time』以来21年ぶりに、2代目ボーカリスト Joey Belladonna さんが復活した作品です(Neil Turbin さんから数えて2代目。後述する Dan Spitz さんも含め、1st リリース以前の “在籍期間が極端に短いメンバー” はカウントしていません)。

プロデュースは Rob Caggiano さん(Gt.)が担当。アートワークは前作同様 Alex Ross さんが手がけています。

ちなみに、しれっと Belladonna さんが復帰しているように見えますが、彼がバンドに復帰したのは今回で3回目。実は2005〜2007年に初代ギタリスト Dan Spitz さん(Gt.)と共に一度復帰しており、この2年間は黄金期のメンバーでライブなどを中心に活動していました。

紛らわしいのですが・・・バンド側によると、この時期も3代目ボーカリストの John Bush さんは解雇されておらず、2007年に Belladonna さんが離脱したことにより “バンドに復帰する可能性がある” と言われていました。「2005〜2007年の間の活動は、あくまでも “別働隊” によるものですよ」といったニュアンスになるのでしょうか。

ところが、バンドは4代目ボーカリストとして Dan Nelson さんを迎えます。彼は2007〜2009年まで在籍しますが結局解雇となり、ピンチヒッター的に John さんが再復帰。

その後 “方向性の違い” で John さんは再びバンドを離れ、Belladonna さんが再々復帰することに。

時系列で表すと、こんな感じです。

  • John Bush (1992〜2005)
  • Joey Belladonna (2005〜2007)
  • Dan Nelson (2007〜2009)
  • John Bush (2009〜2010)
  • Joey Belladonna (2010〜)

ちなみに Frank Bello さん(Ba.) は、再結成 Helmet に参加するため2004〜2005年の間バンドを離れ、この期間のみ Armored Saint の Joey Vera さん(Ba.) が Anthrax のベーシストとして参加しています。

また、Dan Spitz さん復帰の際に一度ラインナップから外れた Rob Caggiano さんは、2007年にバンドへ復帰。冒頭でも書いた通り、本作のギタリスト兼プロデューサーを務めています。

もう何だかよくわからない感じになっていますが・・・8年という月日がいかに長いのか、ということですね。

さて、紆余曲折を経てリリースされた本作は、成熟したメタルコア・シーンの(当時の)トレンドと足並みを揃えたかのような “正統派メタル” 作品となっています。

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Joey Belladonna のハイトーンが最も活きる、”2nd” 路線の正統派メタル

  1. Worship
  2. Earth on Hell
  3. The Devil You Know
  4. Fight ‘Em ‘Til You Can’t
  5. I’m Alive
  6. Hymn 1
  7. In the End
  8. The Giant
  9. Hymn 2
  10. Judas Priest
  11. Crawl
  12. The Constant
  13. Revolution Screams(隠しトラックとして『New Noise』収録)

Anthrax らしからぬ幻想的な導入曲 #1『Worship』から「パワーメタル化したのか?」と一瞬意表を突かれますが、ブラストビートから始まるスラッシーな Aメロとロー・テンポな Bメロのギャップで迫ってくる #2『Earth on Hell』で、第2次 Belladonna 期の復活を高らかに宣言。

とは言え、#2 は前作の “What Doesn’t Die” とどこか似たハイブリッドな楽曲構成。「待てよ?この後は “全編ニューメタル” という可能性も・・・」といった初期ファンの懸念を吹き飛ばす形で、#3『The Devil You Know』がスタート。2nd『Spreading the Disease』収録曲(”Lone Justice” 辺り)を彷彿とさせる Bメロ〜サビにかけてのメロディアスなハイトーンボーカルは紛れもなく “Belladonna節” そのものでした。

続く #4『Fight ‘Em ‘Til You Can’t』は、5th の “In My World” にも通ずる不協和音気味のイントロ&Bメロとサビのクサメロが違和感なく融合。

Anthrax にスピード感を求めている方には合わないかもしれませんが、#5『I’m Alive』#7『In the End』#10『Judas Priest』辺りのミディアムテンポの楽曲も、今回はヘヴィメタル寄りの男臭い感じで良い感じです。#5・#7 にうっすら漂う、Pantera ライクなリズムも Anthrax らしいと言えばそうかも・・・

そして意外だったのが、#11『Crawl』#12『The Constant』#13『Revolution Screams / New Noise』といった終盤の “オルタナ攻め”。とは言え、New Noise のラップメタル臭いアプローチは “元祖ラップメタル・バンド” としての貫禄をそこはかとなく感じるというか、やはり「本家は基本的に何をやっても格好良く見えちゃうなぁ・・・」といった印象です。

 

荘厳なタイトルを付けた割に、意外と残っている “ストリート” 色

Worship Music(礼拝音楽)なんていう荘厳なタイトルを付けた割に、ちゃっかりストリート臭も漂わせている辺りが、いかにも Anthrax。3rd『Among the Living』でクロスオーバー・スラッシュを導入し、6th『Sound of White Noise』でオルタナ化したりと異文化交流に積極的な彼らだからこそ、本作の作風にも説得力を感じます。

おそらく、その辺のポッと出の若手メタル・バンドが似たような作品をいきなり出したとしても、多分「何がやりたいの?」みたいな印象を抱いてしまうかもしれません。先入観だと言われてしまえばそれまでですが、やはり歴史の積み重ねによる “層の厚さ” が、聴く側の姿勢にも少なからず影響を与えているのでしょうか。

本作の音楽性が布石となり、次作『For All Kings』では Anthrax 的な旨味を維持しつつも、よりシリアスかつメロディアスなサウンドとなっています。というかむしろ、次作のほうが “Worship Music” 感が強いかもしれない・・・

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