HAGANEYA(@imech_jp)です。

2003年リリース。前作『Volume 8: The Threat Is Real』から5年ぶりとなる通算9作目のフルアルバムであり、北米では Sanctuary Records、欧州では Nuclear Blast からリリースされた作品です。

プロデュースは Scrap 60 というプロダクション・チームが担当し、さらに同チームの一員である Rob Caggiano さんがリード・ギタリストとして加入。さらに、#8・#10 には 故Dimebag Darrell さん(ex:Pantera / Damageplan) が、#11 には Roger Daltrey さん(The Who) がゲスト参加しています。

アートワークには、アメコミ界隈(というか Marvel Comics)でお馴染み Alex Ross さんを起用。以降のフルアルバム(10th・11th)も全て彼による仕事です。

実に 4th『State of Euphoria』以来のアメコミ風アートワークということもあり、否応無しに “あの頃” の作風を期待された方も当時は多かったことでしょう。こうした初期ファンの要望を満たすセルフカバー・アルバム『The Greater of Two Evils』が翌年にリリースされていますが、本作はどちらかと言えば “スラッシュ期+オルタナ期の集大成” 的な作品となっています。

スポンサードリンク

 

ミディアム曲ばかりにも関わらず聴き疲れしにくい理由は “メタル要素の復活”

  1. Contact
  2. What Doesn’t Die
  3. Superhero
  4. Refuse to Be Denied
  5. Safe Home
  6. Any Place But Here
  7. Nobody Knows Anything
  8. Strap It On
  9. Black Dahlia
  10. Cadillac Rock Box
  11. Taking the Music Back
  12. Crash
  13. Think About an End
  14. W.C.F.Y.A.

話がそれますが、本作は私が 6th『Sound of White Noise』の次に購入した作品です。

Sound of〜 から入った影響で、当時の私は Anthrax を “オルタナ系のバンド” として捉えていました。そんな中、ツーバス連打から始まるスピード・チューン #2『What Doesn’t Die』と出会ったことによってバンドへの印象が変わり、過去作に興味を抱き始めます。

全ディスコグラフィを通過した上で改めて聴いてみましたが、やはりこの曲はものすごく “初期くさい” です。John Bush さん(Vo.) 加入以降の楽曲ではダントツで格好良いスラッシュ曲だと思います。

ところが、こうして期待値を上げまくっておきながら “#2以降の楽曲が全てミディアムテンポ” と来るわけです(国内盤16曲目に収録されている Ramones のカバー曲『We’re a Happy Family』はとりあえず除外)。ガッツポーズしかけた初期ファンが、ガックリと肩を落とす姿が容易に想像できます。

もっとも、当時の私はニューメタル系のバンドばっかり聴いていたため、この楽曲構成自体は割とすんなり受け入れられました。#3『Superhero』#5『Safe Home』#10『Cadillac Rock Box』#13『Think About an End』#14『W.C.F.Y.A』のような商業ポスト・グランジ系サウンドが個性的かと問われれば “否” ですが、何やかんやでこの手の楽曲はノレるので、当時はドライブ・ミュージックとして重宝したのを覚えています。

とは言え、前述の楽曲みたいなのがずっと続くようだと、さすがにお腹いっぱいになるわけで・・・上手い具合に #4『Refuse to Be Denied』#6『Any Place But Here』#8『Strap It On』#11『Taking the Music Back』といったハードロック曲を挟むことにより、同じミディアムテンポの楽曲でありながらも “口直し” 効果が生まれ、聴き疲れ防止に一役買っているのがグッドです。

さらに、テクニカルなドラム・サウンドが楽曲全体をグイグイと引っ張る #7『Nobody Knows Anything』、ゴリゴリのニューメタルかと思いきや Bメロで突然グラインドコアへと豹変する #9『Black Dahlia』などの楽曲では、80年代の攻撃性とは異なる “00年代のエクストリーム・メタル” を体現。常にハイブリッドな方法論を実践してきた彼らの姿勢が、本作においても失われていないことがわかります。

 

1st ~ 8th まで全て追いかけてきた方向けの “ファンアイテム”

おそらく本作は、スラッシュ期で見限ったリスナーに刺さるタイプの作品とは言えないでしょう。また、オルタナ期から入ったリスナーの中には、本作の “中途半端にメタルへと回帰した音楽性” にどこかしら違和感を感じる方もいらっしゃるような気がします。

我ながら「ネガティブな発言ばっかりだなぁ」と呆れますが、冒頭にも書いた通り本作は 1st〜8thを全て受け入れられるファン向けの “集大成” 的作品のような気がしてならないのです。 極論を言えば “ファンアイテム” 的要素が強めというか・・・

もちろん、いきなり本作から入っても、それなりには楽しめるでしょう。ただその場合、おそらく “散漫なアルバム” という印象が先行しそうな気がします。例えるなら、ONE PIECE やジョジョなどの長編作品を途中から読み始めた方が抱く “置いてけぼり” 感に近いかもしれません。

なお、この後しばらく Anthrax は新作アルバムのリリースが滞ります。次作『Worship Music』のリリースは、何と “8年後”。

何なら、一度解散した Megadeth のほうが精力的に新作を出しまくっているという本末転倒な状況ですが・・・ともあれ紆余曲折を経て生まれた Anthrax の新作は “Joey Belladonna さんの復帰” も重なり、なかなかの力作に仕上がっています。

スポンサードリンク