HAGANEYA(@imech_jp)です。

1990年リリース。前作『State of Euphoria』から2年ぶりとなる通算5作目のフルアルバムです。プロデュースは前作と同様 Mark Dodson さんが担当。

また、”骸骨×時計” のアートワークは前々作『Among the Living』や前作を手掛けた Don Brautigam さんが引き続き担当しています(前作は Mort Drucker さんとの共作)。ちなみに『Master of Puppets』のアートワークもこの方です。

時代は90年代へと突入。Judas Priest が『Painkiller』を、Megadeth が『Rust in Peace』を・・・と各々の代表作を世に送り出し “メタル全盛期最後の大花火” を打ち上げる中、Anthrax が提示してきたのは “つかみどころのない” 不思議な作品でした。

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疾走曲と長尺曲の融合を “冗長” と感じるか “個性” と解釈するかはリスナー次第

  1. Time
  2. Blood
  3. Keep It in the Family
  4. In My World
  5. Gridlock
  6. Intro to Reality
  7. Belly of the Beast
  8. Got the Time
  9. H8 Red
  10. One Man Stands
  11. Discharge

元々極端に短い曲を書くバンドというわけでも無いのですが、本作は冒頭3曲が全て “7分前後” の楽曲となっています。

このことが影響してか、体感的に “前半の楽曲がなかなか終わらない” のです。しかも #1『Time』や、冒頭3曲に次ぐ長さの #4『In My World』はスピード・チューンなので、なおさら長く感じます。

パンクも聴く方であればわかるかと思いますが、スピード系の楽曲って長くても3〜4分ぐらいで終わるんですよね。特にパンクともなると、下手すりゃ1分とかザラにあります。パンク/ハードコア系のファンも抱える Anthrax なだけに、リスナーによっては “長さ” に対してネガティブな印象を受ける方もいらっしゃるかもしれません。

また、インスト曲の #6『Intro to Reality』から三連符メインの楽曲 #7『Belly of the Beast』への組曲的な構成、中盤〜終盤に掛けての変則的なリズムが特徴的な #9『H8 Red』などはどことなくプログレメタル的であり、過去作には見られない異色のナンバーです。

そして、『Chaos A.D.』〜『Roots』期の Sepultura のプロトタイプにも思えるトライバルなドラミングや2分00秒辺りからのラップ・メタルなパートが導入された #2『Blood』は、次作以降の彼らの “大幅なスタイル・チェンジ” を予感させます。

とは言え、Lone Justice (Spreading the Disease) のメロディアスな作風を彷彿とさせる #3『Keep It in the Family』、Among〜 期のクロスオーバー・スラッシュ感が強めに出ている #5『Gridlock』、名曲 Gung-Ho をハードコア・スタイルで再解釈したかのような #11『Dischage』など従来作を踏襲したタイプの楽曲もあり、総合的に見ればまだまだスラッシュメタルの範疇だと言えるサウンドです。Joe Jackson さんのカバー曲 #8『Got the Time』なんて、いかにも初期の Anthrax らしいチョイスだと感じます。

 

過渡期の作品どころか “斜め上を行く実験性” が魅力の異色作

次作『Sound of White Noise』で急激にオルタナティブ/グランジ路線へと変化してしまうにも関わらず、本作からは “過渡期の作品” 感をあまり感じないのが何とも不思議です。ギリギリまで従来の彼らの音楽性を守ろうとしていたことが窺えます。

後の音楽性へと繋がるプロトタイプ的な楽曲もそこまで主張しているわけでもなく・・・何ならプログレ(#6・#7・#9)だとかサイケ(#10)だとか “斜め上の方向性” に突っ走っている印象です。

1st 〜 4th までの総括的な作品でありつつも、オルタナ路線とも違う。ありきたりな表現になってしまいますが、一言で言ってしまうと “異色作” だと思います。

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