HAGANEYA(@imech_jp)です。

1983年リリース。スラッシュメタル・バンド Anthrax の1stフルアルバムであり、Neil Turbin さん(現Deathriders) と Dan Lilker さん(現Nuclear Assault・元Brutal Truth) 唯一の参加作です。プロデュースは Carl Canedy さんが担当。

Metallica・Megadeth・Slayer などと並び、後に Big 4(スラッシュ四天王)と呼ばれることになる Anthrax ですが、初期2作の時点では NWOBHM(”正統派メタル” とほぼ同義)の強い影響下にありました。とりわけ本作は、ハードコア要素が隠し味程度に入った次作以上に正統派メタル然としており、メタル・バンドとしてのルーツを感じる楽曲が詰め込まれています。

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80年代 Judas Priest に『Painkiller』の歌唱法を無理やりブチ込んだらこうなりそう

  1. Deathrider
  2. Metal Thrashing Mad
  3. I’m Eighteen
  4. Panic
  5. Subjugator
  6. Soldiers of Metal
  7. Death from Above
  8. Anthrax
  9. Across the River
  10. Howling Furies

Rob Halford さんを彷彿とさせる Neil さんのハイトーンボーカルも含め、基本的には “Judas Priestスタイルのスピードメタル” といった表現がしっくり来ます。さらに、本家に比べバラード曲やミディアムテンポの曲が極端に少ないので、スピード重視のリスナーはむしろこちらの作風を好まれるかもしれません。

とりわけ、#1『Deathrider』#7『Death from Above』などのスピード・チューンでは『Painkiller』時の Rob さんに迫るハイトーンを実現しており、まるで “80年代 Judas Priest の音楽性に Painkiller のヒステリックなボーカルが融合” したかのような不思議な感覚に襲われます。

一方で、次作以降への布石とも言えるパンキッシュなイントロの  #2『Metal Thrashing Mad』、Ramones などの NYパンク・バンドを彷彿とさせる明るい Aメロが特徴的なインスト・ナンバー #8『Anthrax』、シンプルな構造の疾走曲 #9『Across the River』などを筆頭に、どことなくパンク/ハードコア界隈からの影響も感じさせる “軽快さ” を持つ音楽性は Anthrax 独自の色だと言えるでしょう。

もっとも、スラッシュメタル自体の音楽的ルーツの一つにハードコア・パンクがあり、Metallica・Megadeth・Slayer などの初期作も概ねハードコア要素が強めに出ているわけで・・・この点に限って言えば Anthrax だけが特別だというわけでもありません。

ただ、彼らが作り出す音は他のスラッシュ四天王と比べても “飛び抜けてポップ” であり、どちらかと言うと “スケーターに好まれるタイプのサウンド” といった趣です。なお、この特徴は 3rd『Among the Living』辺りから一気に花開くことになるわけですが、既に本作の時点で後のスタイルへの兆しは感じられます。

 

正統派メタル度高めなサウンドの中で時折見せる “スケート・パンク” の香り

初期の Judas Priest がハードロック御三家から大きく影響を受けつつも “ひと味違う” 光るものを持っていたように、本作における Anthrax も “先人が敷いた道の上で、次世代のメタル・サウンドを模索” していることが伝わってきます。

大御所バンドとなった現在は “スラッシュメタル” と一括りにされてしまいがちですが、この手のバンドとしてはもっとも “異なるジャンルの融合” に寛容なバンドだと言えるでしょう。しかも7~8年後に、ラップ・メタル(ラップコア)の草分け的存在としても有名になってしまうという、良い意味での “節操の無さ” がもう・・・

なお、次作『Spreading the Disease(邦題:狂気のスラッシュ感染)』ではボーカリストが Joey Belladonna さんに交代し、同じハイトーン系でありながらも “声質の違い” によって雰囲気がだいぶ変わっています。正統派メタル路線は健在ですので、本作の音楽性が好きな方であれば、次作もストライクゾーンでしょう(向こうのほうが有名ですけども)。

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