HAGANEYA(@imech_jp)です。

2013年リリース。前作『Thirteen』から2年ぶりとなる通算14作目のフルアルバムであり、前作まで所属していた Roadrunner Records を離脱し Dave Mustaine さんが設立したレーベル “Tradecraft” へ移籍後初となる作品です。プロデュースは前作同様、オルタナ界隈のバンドを数多く手掛ける Johnny K さんが担当。

なお、Shawn Drover さん(Dr.) と Chris Broderick さん(Gt.) の2人は翌年に脱退し、新バンド『Act of Defiance』を立ち上げています。

11th『United Abomination』〜 13th『Thirteen』までのアートワークを手掛けた John Lorenzi さんが制作に関与したと思われる “衝突型加速器(コライダー)” の幾何学的なアートワークは、前作までのスラッシュ然としたものとは打って変わって超シンプル。もっとも、モチーフがモチーフだけに弄りようが無いわけですが・・・本作の音楽性を表すアートワークとしては最適だと感じました。

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『Risk』っぽいのに評価された要因は、バンド&リスナー双方の “歩み寄り(成長)”?

  1. Kingmaker
  2. Super Collider
  3. Burn!
  4. Built for War
  5. Off the Edge
  6. Dance in the Rain
  7. Beginning of Sorrow
  8. The Blackest Crow
  9. Forget to Remember
  10. Don’t Turn Your Back…
  11. Cold Sweat

90年代のインダストリアル系売れ線ニューメタル・サウンドを模したかのような #2『Super Collider』#7『Beginning of Sorrow』辺りから受けるポジティブなメロディラインは、否応無しに 8th『Risk』の再来を彷彿とさせるものであり、それだけで拒絶反応を起こす方々も中にはいらっしゃるかもしれません(個人的には大歓迎ですが・・・)。

また、バンジョーをフィーチャーしたカントリー風味な楽曲 #8『The Blackest Crow』、メロディアスハード系の #9『Forget to Remember』などは #7 のポップな雰囲気をやや引きずっており “Megadethの楽曲としては” 好みが分かれるところでしょう。

それ以外の #3『Burn!』#4『Built for War』#5『Off the Edge』#10『Don’t Turn Your Back…』なども基本的にミディアムテンポのグルーヴ・メタル・サウンドで構成されており、唯一異彩を放っている #6『Dance in the Rain』には Disturbed のボーカリスト David Draiman さんが参加しています。

本作のスピードメタル枠である #1『Kingmaker』#11『Cold Sweat (Thin Lizzy のカバー)』も、どちらかと言えば “Motörheadタイプの泥臭いハードロック” といった趣であり、疾走感を武器としていた 12th『Endgame』とは真逆の作風です。

そして案の定、冒険作を受け入れる度量の狭い一部の方々からはテンプレ的な酷評を受けているわけですが・・・意外にも本作は Risk 時よりも好意的に評価する方が増えています。

これはおそらく、90年代に様々な冒険作を出しまくったことによって “リスナー側に免疫が付いた” のが理由ではないかと思います。”免疫” という表現に語弊があるのであれば「こっち路線の Megadeth を好きな人の “母数” が増えた」といった感じでしょうか。

あとは、メタルのサブジャンル増加に伴って “様々なスタイルを受け入れられる土壌がアーティスト・リスナー双方で育ってきたというのも大きいはずです。Johnny K さんの起用や Draiman さんのゲスト参加からも、ジャンルの境界線が(良い意味で)曖昧になってきたことを感じます。欧米の音楽業界も日本みたいに、もっとゴチャゴチャになっちゃえば良いのに・・・

 

2010年代に “あえて” この作風で勝負した、Mustaine のチャレンジ精神

Risk を駄作だと思っていないタイプの人間としては、本作を評価するために Risk を貶めているかのような風潮は正直いかがなものかと思っているわけですが・・・ともあれ、このタイプの作品を肯定的に捉えられるメタルファンが増えてきたのは嬉しい限りです。

何というか、オルタナ全盛期の90年代に本作を出してたら “トレンドの後追い” になっちゃってたとは思うんですが、この作風を2010年代に “あえて” やったことによって「一周回って格好良いじゃん」と前向きに受け入れられた側面はあるような気はしています。

なお、長年連れ添ってきたメンバーが2人抜けたにも関わらず、第1次 Megadeth 黄金期を再現するかのようなテクニカル系ギタリスト&ドラマーが参加した次作『Dystopia』は、比較的良作続きだった00~2010年代をも軽々と上回るほどの傑作になってしまいました。

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