HAGANEYA(@imech_jp)です。

1988年リリース。前作『Peace Sells… but Who’s Buying?』から2年ぶりとなる通算3作目のフルアルバムであり、米国で100万枚・カナダで10万枚のセールスを記録した作品です。

前作で解雇された Chris Poland さん(Gt.) と Gar Samuelson さん(Dr.) の後任として、本作では Jeoff Young さん(Gt.) と Chuck Behler さん(Dr.) が最終的に正式メンバーとして採用されています。ただしこちらの2人も、本作リリース後のツアー終了後、解雇されてしまうことに。

David Jude さん(俳優の Jude Low さんとは多分別人)による “銃を構えた兵士の映像” のアートワークは、ドイツの『Sodom』と共にスラッシュメタル界屈指の格好良さを誇ると個人的には思っています。

さて、このアートワークを見る限り、前作を凌駕する凶悪な音楽性を想像される方も多いかもしれない本作。実際には、初期 Megadeth の3作品で最も取っつきやすい作風です。

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Sex Pistols のカバーを中心としたパンキッシュな作風と、B級感溢れるSEが魅力

  1. Into the Lungs of Hell
  2. Set the World Afire
  3. Anarchy in the U.K.
  4. Mary Jane
  5. 502
  6. In My Darkest Hour
  7. Liar
  8. Hook in Mouth

#1『Into the Lungs of Hell』を再生した直後に流れてくるファンファーレのイントロや、Steve Jones さん(ex. Sex Pistols) 本人も参加したカバー曲 #3『Anarchy in the U.K.』ではメジャー・コードが使われています。

過去2作や本作以降のアルバムにこの手の楽曲が無いわけでは無いのですが・・・それらはいわゆる “ニュアンス次第でメジャー・マイナーどちらとも解釈出来る” タイプの楽曲、という感じです。上記2曲の “完全なメジャー・コード” とは、やはり毛色が異なる気がします。

また、2分48秒辺りからの Pennywise を彷彿とさせる爆走メロディック・ハードコア・パートが軽快な #2『Set the World Afire』や、1分41秒辺りからメインの音量が急に下がりカーチェイス的な SE が入る #5『502』、他曲より多めに掛かったリバーブの奥でプリミティブな質感の楽曲が暴れ回っている #8『Hook in Mouth』などは、どちらかと言うとパンク・ロック界隈の方法論で楽曲が作られている印象です。荒さ(粗さ)が武器となっているという点で言えば、ある意味 1st『Killing Is My Business… and Business Is Good!』に近いかもしれません。

このように “アルバムの半分をパンク寄りの楽曲が占めている” ため、自ずと全体的な雰囲気もパンキッシュな方向へと引っ張られています。というか、元々パンク寄りの作風を目指していたところに、作品の雰囲気と馴染む Sex Pistols のカバー曲を入れたのかもしれません(経緯は不明)。

そんな中、前作の “中盤〜終盤に掛けてスピードを上げていく” 楽曲構成を踏襲しているのが、メロディアスなイントロを持つ #4『Mary Jane』#6『In My Darkest Hour』です。バランス良く配置された上記2曲が(バラード曲ではありませんが)バラード曲的な役割を果たすことによって、パンク要素とヘヴィメタル要素の中和に貢献していると思います。

もちろん、次作『Rust in Peace』のキラー・チューンであり Megadeth の代表曲でもある “Tornado of Souls” のプロトタイプとも言える、”#6の3分45秒以降” および #7『Liar』の存在も外せません。この2曲のスタイルを下地に Marty Friedman さんの演歌風ギターソロが融合することで、Tornado〜 が誕生したと言っても過言では無いでしょう。

 

本作限りの要素が絡み合って生まれた “外伝” 的作品

1st 〜 2nd の要素を持ちつつ、4th 以降の “Megadeth節の原形” 的な楽曲が出てきたということもあり、ありきたりな表現ですが “過渡期の作品” と言えなくもないです。

一方で、バンドメンバー含め “本作限り” の要素によって個性が形作られている面も大きく、個人的には “外伝” という表現が一番しっくり来る気がします。

Jeoff さんと Chuck さんは、編成がコロコロ変わる Megadeth の中でもトップクラスの短命なメンバーであり「もう少し大事にしてやれよ」と Mustaine さんに突っ込みたくなりますが、このバンドが生まれた経緯や高品質な作品の数々を考えると文句が言えないのが悩みどころです。ただ、次作以降のメンバー編成が上手くハマり長期安定政権を実現しているので、本作限りでの解雇は結果オーライだったのかもしれません。

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