HAGANEYA(@imech_jp)です。

1985年リリース。スラッシュメタル・バンド Megadeth の 1st フルアルバムです。

素行の悪さ(酒・ドラッグ・暴力)が原因で Metallica を解雇された Dave Mustaine さんが、同じアパートに住んでいた “Jr” こと David Ellefson さんを誘って1983年に結成された Megadeth は、自身を解雇した James Hetfield さんや Lars Ulrich さんに対して復讐心を抱くことに。

Mustaine さんが事の発端であるのは間違いないものの、この際の解雇の仕方を聞く限り James さんや Lars さんの(当時の)人間性にも若干問題があった気がします。Jason Newsted さんへの新人いびりは、この時の腹いせだったりして・・・

ともあれ、このような泥沼状態を経て誕生した本作は、Mustaine さんの怒りや恨みがダイレクトに詰まった荒々しいサウンドを特徴としています。

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“邪魔者を排除して誕生したKill ‘Em All” には無い、歪んだ攻撃性

オリジナル盤(1985年)

  1. Last Rites/Loved to Deth
  2. Killing Is My Business… and Business Is Good!
  3. The Skull Beneath the Skin
  4. These Boots
  5. Rattlehead
  6. Chosen Ones
  7. Looking Down the Cross
  8. Mechanix

リマスター盤(2002年)

  1. Last Rites/Loved to Deth
  2. Killing Is My Business… and Business Is Good!
  3. The Skull Beneath the Skin
  4. Rattlehead
  5. Chosen Ones
  6. Looking Down the Cross
  7. Mechanix
  8. These Boots

ハードコア・パンクにも通ずるスピーディな展開は、Metallica の 1st『Kill ‘Em All(旧邦題:血染めの鉄槌)』と同様 “初期衝動” に満ち溢れたものです。

さらに、Metallica への恨みも込められた Mustaine さん独特の神経質なボーカルは、“邪魔者を排除した上で制作されたKill〜” 以上の攻撃性で聴き手の耳へと迫ってきます。

例えば、#8『Mechanix』と、Kill〜 収録の『The Four Horsemen』。これらは元々同じ曲ですが、聴き比べてみると一目瞭然です。Mechanix のスピーディな展開は、後にグルーヴ・メタルのひな形を作る Metallica の “Panteraみたいな溜め感” とはアレンジの方向性が明確に異なります。

また、リマスター盤ではピー音だらけになってしまった #4『These Boots』を始め、#1『Last Rites / Loved to Death』#4『Rattlehead』などのスラッシュ曲の多さも、本作が持つ “謎の説得力” に貢献しています。グルーヴ感とスピード感が交互に襲ってくる #2『Killing Is My Business… and Business Is Good!』の “クセになる” 緩急も絶妙。

これだけだと「Metallicaへの復讐心が生み出した “Kill ‘Em Allより攻撃力の高い” スラッシュメタル」程度で終わってしまいそうですが、そこを #3『The Skull Beneath the Skin』#5『Chosen Ones』#6『Looking Down the Cross』といった “現在のMegadethの原型” とも言えるテクニカル&スタイリッシュな楽曲群が補い、攻守どちらもイケるバランスの良さを実現しています。

 

Metallica を追い出された男が2010年代のメタル・シーンにもたらした “間接的影響”

Megadeth が単なる “Metallicaを追い出された惨めな男が作ったバンド” で終わらず、スラッシュ四天王の一角と評されるまでになったのは、間違いなく Mustaine さん自身のセンスやバランス感覚によるものだと思います。

Amazonのカスタマーレビューでも言及されていましたが、Mustaine さんがこのバンドを生み出していなければ、Marty Friedman さんが日本に興味を持つキッカケの一つとも言える “Megadethのワールドツアー” 自体がそもそも存在していなかったわけです。

さらに言うと、メタル×アイドルの可能性にいち早く注目していた Marty さんが日本に移住していなければ、Kiss がももクロに興味を持つことも、BABYMETAL が海外のメタラーに受け入れられることも随分と先の未来になっていたかもしれません(妄想ですので悪しからず)。

Slayer や Anthrax に比べると、その出自から “Metallicaじゃないほう” といった感じで見られることもある気がする Megadeth ですが、当時の “確執” が2010年代のメタル・シーンに与えた間接的影響は、地味に4大バンドの中で最も大きかったりして・・・

なお、次作『Peace Sells… but Who’s Buying?』で確立されたと言われている Intellectual Thrash Metal(インテレクチュアル・スラッシュメタル)ですが、個人的には “本作の時点で確立出来ていた” ように感じます。

ぶっちゃけ、プログレメタルの一種として片付けられないこともないジャンル名ではあるものの、“MegadethやDave Mustaineそのものを指す固有名詞” としての存在感は決して小さくなく、また “あえて使いたい” と思わせるだけの魅力を備えたサウンドが本作には詰まっていると言えるでしょう。

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