HAGANEYA(@imech_jp)です。

2003年リリース。前作『Reload』から6年ぶりとなる通算8作目のフルアルバムであり、米国で200万枚・日本で20万枚・その他のメタルが盛んな国でもそれぞれ数万〜数十万枚のセールスを記録した作品です。

なお、2001年に脱退した Jason Newsted さんの代役として、プロデューサーの Bob Rock さんがベースのレコーディングにも参加しています。後任ベーシストの Robert Trujillo さんは、本作の楽曲制作およびレコーディングには参加していません。

『The Misfits』『Cocobat』を始め、雑誌&スケートブランド『Thrasher』などハードコア界隈のデザインを数多く手掛ける Pushead さんによる “拳” のアートワークは、スラッシュメタル期やグルーヴ・メタル期とも異なる “荒さ(粗さ)” が全面に押し出されており、同時に Lars Ulrich さんが本作で試みた実験的なサウンドを反映したものとなっています。

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各楽曲についての率直な感想

  1. Frantic
  2. St. Anger
  3. Some Kind of Monster
  4. Dirty Window
  5. Invisible Kid
  6. My World
  7. Shoot Me Again
  8. Sweet Amber
  9. The Unnamed Feeling
  10. Purify
  11. All Within My Hands

#1 → Serj Tankian さんを思わせるトリッキーな歌唱法を含め、System of a Down から大きく影響を受けたと思われる楽曲。
#2 → 風変わりな音質によるネガティブな先入観に負けないぐらい、Metallica の “味わい深さ” と “格好良さ” が詰まったスピード・チューン。
#3 → 長めのイントロ&インスト・パートによって、8分超の長尺曲にも関わらずあっという間に終わる。
#4 → 軽快なロックンロール・サウンドへのブレイクダウン・パートの入れ方が絶妙。
#5 → 本作特有の金属的なスネアが、例外的に上手くハマっている。
#6 → グルーヴ感・疾走感・途中で挟む変拍子パートが違和感なく融合。
#7 → 無音時間を効果的に利用し、メリハリの効いたニューメタル・サウンドを実現。
#8 → Battery を彷彿とさせる高速ギターリフに加え、2分1秒・3分30秒辺りからのブレイクダウンが現代っぽさも感じさせるスピード・チューン。
#9 → 本作では数少ないメロディ・オリエンテッドな楽曲。ゴシックメタルのような陰鬱な雰囲気が魅力的。
#10 → 変則的かつ単調な楽曲構成のためか、0分18秒・2分34秒辺りの Limp Bizkit を思わせるシンプルなリズムでなぜか癒やされる。
#11 → Aメロ直前の幽玄な雰囲気や、James Hetfield さんによるエモーショナルなボーカルが聴き疲れを吹き飛ばす、プログレッシブな長尺曲。

 

“意図的なアレンジ” だから何も言えねぇ

本作は、私が初めてリアルタイムで定価購入した Metallica の作品です。

その当時、中古で入手した 5th『Metallica(通称:ブラック・アルバム)』以外の作品を聴いたことが無かった私は、スラッシュメタル期の Metallica に対してものすごく興味がありました。そんな中、リアルタイムで出会った “最新作” を満を持して再生したわけですが、全曲聴き終えた直後に “ものすごく疲れた” のを覚えています。

疲れの原因は、おそらく “ドラム缶を叩いているかのようなスネア” と “音の粒が粗いサウンド・プロダクション” でしょう。当時ニューメタルばかり聴いていたこともあり、いわゆる “隣の芝生” 的な特徴を持つ一部楽曲の存在は気になりませんでしたが・・・とにかく “聴いていてしんどい” のです。

金属的なスネア・ドラムは、私の大好きなインダストリアル・メタル方面のサウンドを彷彿とさせるものであり 「これはこれでアリかも」といった印象も無くはありません。ただ、アナログ盤のガレージ・ロックみたいな “録って出し” 感と金属的なスネアの音が、互いの良さを潰し合っているような気もします。

でも、これは Lars さんによる “意図的なアレンジ” だということも知っているので、もう「何も言えねぇ」と言うしかないわけです。

 

普通の音で聴きたかったけど、時代背景を考えると “ベターな方向性”

本音を言ってしまうと「やっぱり “普通のサウンド・プロダクション” で聴きたかった」の一言に尽きます。2nd『Ride the Lightning』〜 3rd『Master of Puppets(邦題:メタル・マスター)』期の音で作っていれば “妙な聴き疲れ” を起こさず、何度でも繰り返し聴ける作品になっていたかもしれません。何なら 6th『Load』期の音質でも・・・

一方で、本作がリリースされた “2003年” という時代背景を考えると、当時の Metallica がこんなトリッキーな作品を生み出した理由が、何となく見えてきたりもします。

2003年と言えば、Linkin Park が名作『Meteora』をリリースし、Shadows Fall や Killswitch Engage といった新世代メタル・バンドが揃って Ozzfest 出場を果たした “ターニングポイント” 的な年です。もしここで Metallica がニューメタルやメタルコアの焼き直しみたいな作品を出していたら、どちらに転んでも良い結果は待っていなかったように思います。ベストかどうかはわかりませんが “ベターな方向性” ではあったのかもしれません。

なお、メタルコアがメタル・シーンの覇権を完全に握っていた 2008年リリースの『Death Magnetic』では、本作の反省点を活かしてかスラッシュメタル期のサウンド・プロダクションへと戻っていますが、本作を聴いた後だと物足りなく聴こえてしまうのが悩み所です。

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