HAGANEYA(@imech_jp)です。

1996年リリース。前作『Metallica(通称:ブラック・アルバム)』から5年ぶりとなる通算6作目のフルアルバムであり、米国で約600万枚・欧州全体で200万枚以上のセールスを記録した作品です。プロデュースは、前作と同様 Bob Rock さんが担当。

アートワークには、写真家 Andres Serrano さんの “Semen and Blood III(精液と血 III)” という既存の作品が採用されています。初めてCDを手に取った時の “得体の知れない気持ち悪さ” は間違っていなかった・・・

出自がスラッシュメタルであることを示すかのような前作までの “両端のMとAが尖ったバンドロゴ” を廃止し、ポップなロゴへと生まれ変わった本作ですが、それは同時に “サウンドの変化” を反映したものでもあります。

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“グランジに影響を受けたメタル・バンド” が醸し出す 70’s ハードロック臭

  1. Ain’t My Bitch
  2. 2 X 4
  3. The House Jack Built
  4. Until It Sleeps
  5. King Nothing
  6. Hero of the Day
  7. Bleeding Me
  8. Cure
  9. Poor Twisted Me
  10. Wasting My Hate
  11. Mama Said
  12. Thorn Within
  13. Ronnie
  14. The Outlaw Torn

Blackened (…And Justice for All) を骨太ハードロックへと再構築したかのような #1『Ain’t My Bitch』や Ain’t〜 と同系統の #10『Wasting My Hate』の程良い疾走感は、スピード・メタル好きの好奇心を刺激する材料としては十分です。

ただ、”Don’t Tread on Me” 路線の #2『2 X 4』や、”Sad but True” 路線のドゥーム曲 #3『The House Jack Built』は、前作に比べると何だか泥臭い。そして、#4『Until It Sleeps』#5『King Nothing』#8『Cure』#12『Thorn Within』などの “Enter Sandmanをなぞったかのような楽曲” の多さ。

悪く言えば “緊張感の無いブラック・アルバム” であり、良く言えば “肩の力を抜いて気軽に楽しめるブラック・アルバム” といった趣。

前述の楽曲だけだと本当にそうなってしまいそうですが、#6『Hero of the Day』#11『Mama Said』といった “良質のカントリー系バラード” を効果的に挟むことによって、単なる焼き直しの回避に成功しています。

また、ラフな音作りがガッチリとハマった #7『Bleeding Me』#9『Poor Twisted Me』#13『Ronnie』#14『The Outlaw Torn』といった楽曲からは、”グランジに刺激を受けたメタル・バンドが自身の音楽性と融合した結果、70’sハードロックみたいな音に辿り着いてしまった” という、彼らの類まれなるユニークなセンスを感じます。

 

Ride~ や Master~ など特定の時期に拘っている時点で Metallica のファンではない

本作は、スラッシュメタル好きのみならず “グルーヴ・メタル路線の前作を支持する層” までをも失望させた作品、といった評価が割と一般的です。よく中古で出回っているのも、それが理由でしょう。

かと言って、本作が Metallica らしくない作品かと言うと、決してそんなことはありません。1st『Kill ‘Em All(旧邦題:血染めの鉄槌)』から存在し、2nd『Ride the Lightning』で確立された彼らにしか出せない “あの哀愁” は、脈々と受け継がれています。独自色を捨ててまで路線変更するアーティストが数え切れないほどいることを考えれば、本作なんて全然許容範囲でしょう。

これは、本作と同時期に完成しつつ諸事情によりリリースを1年遅らせた姉妹作 7th『Reload』についても同様です。音楽性はコロコロ変わろうが核となる部分はしっかりと堅持していますし、それが理解できないという方は「”スラッシュメタルやってりゃ誰でも良い” というスタンスで Metallica を聴いている」というだけのことだと思います。

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