HAGANEYA(@imech_jp)です。

1988年リリース。前作『Master of Puppets(邦題:メタル・マスター)』から2年ぶりとなる通算4作目のフルアルバムです。

前作に伴うツアー中に交通事故で亡くなられた Cliff Burton さんの後任ベーシストとして、本作から元Flotsam and Jetsam の Jason Newsted さんが加入しています(厳密に言うと1987年リリースの EP『Garage Days Re-Revisited』から参加)。なお、Newsted さんは 7th『Reload』リリースから4年後に、一身上の都合で脱退しています。

さて、本作は Cliff さん不在による影響でクラシカルなメロディはやや減退したものの、代わりに “個性的なリフ” や “プログレッシブなアプローチ” が強化されたことによって、前2作とは異なる魅力を持つ作品です。

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メンバーも認める、本作唯一の “問題点”

あちこちで散々指摘されていますが、一聴した誰もが真っ先に気付くのは “ベースが聴こえない” ということではないでしょうか。

これについては Newsted さんやミキシングを担当した Steve Thompson さんが原因ではなく、Lars Ulrichさん(Dr.) の “ワガママ” によるものだったことが後に明かされています。

参考記事

メタリカの「聞こえないベース」、真相判明 リリースから27年|AFPBB News

『…And Justice For All』のミキシング担当者がラーズ・ウルリッヒに不満たらたらな件|メタリカ情報局

Newsted さんに対する “新人いびり” とベース音を絞られたこととの因果関係は本人達のみぞ知るところだと思いますが、いずれにしても「もったいないな〜」という感じです。Lars さんは 8th『St. Anger』でも音質面において賛否両論を起こしているわけですが、何というか・・・奇のてらい方が斜め上を行っている気がします。

ただ、前向きに解釈するのであれば、この “異常に乾いたサウンド・プロダクション” が Korn などのオルタナティブ・メタル勢に影響を与えた側面もあるとは思います。実際 Korn は 6th『Take a Look in the Mirror』で #4『One』をカバーしていたりしますし、少なくとも本作からの影響は確実にあるはずです。

 

Metallicaチルドレンの “元ネタ” が詰まった作品

  1. Blackened
  2. …And Justice for All
  3. Eye of the Beholder
  4. One
  5. The Shortest Straw
  6. Harvester of Sorrow
  7. The Frayed Ends of Sanity
  8. To Live Is to Die
  9. Dyers Eve

楽曲の善し悪しとは関係ないところで粗が目立つ本作ですが、前述の Korn を含め、後続のメタル・バンドへ与えた影響はおそらく 2nd『Ride the Lightning』や前作以上ではないでしょうか。

バケツリレーでお馴染み #1『Blackened』の変拍子リフは、初期メロデスを経由しつつ Killswitch Engage の『Rose of Sharyn(The End of Heartache)』の Bメロパートに、#3『Eye of the Beholder』のリフは Dream Theater の『As I Am(Train of Thought)』に、#8『To Live Is to Die』のメロディ(4分43秒辺り)は『Overture 1928(Metropolis Pt. 2: Scenes from a Memory)』などで、オマージュ的に取り入れられています。

また、巷では前2作との差を分かりやすく説明するためか “プログレ要素” がクローズアップされがちですが、Fight Fire with Fire・Battery・Blackened の流れを汲む #2『…And Justice for All』、リフ・オリエンテッドかつテンポが目まぐるしく変わっていく #5『The Shortest Straw』、変拍子とスピード感を両立した #7『The Frayed Ends of Sanity』、メタルコアにも通ずる高速ツーバスが前2作を含めて最もアグレッシブな #9『Dyers Eve』など、スラッシュメタルとしてのスピード・攻撃性も失われていません。

そして、1st『Kill ‘Em All(旧邦題:血染めの鉄槌)』の Seek and Destroy から脈々と続く “グルーヴ・メタル” 路線の #5『Harvester of Sorrow』みたいな楽曲が、次作『Metallica(通称:ブラック・アルバム)』以降 Metallica の主軸を担うサウンド・スタイルとなっていきます。

 

“再レコーディング” で化けるかも?

唯一の致命的な欠点とも言える “ベース音の弱さ” を「作品のテーマに合っている」と前向きに捉える方もいらっしゃいます。

これには私も半分賛成で「この作風でベースを入れると、せっかくのモノクロームな雰囲気を壊してしまうかもしれない」といった印象も無くはないです。ただやはり、何というか・・・「ベースって “標準装備” であってほしいよね」という気持ちは、どうしても拭い去れないですね。

本作に限って言えば、リマスターよりも “再録” してほしいですし、それこそゲームで例えるなら “DS版サガ3” ばりに化けると思います。

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