HAGANEYA(@imech_jp)です。

2015年リリース。前作『Queensryche(2013)』から2年ぶりとなる通算13作目のフルアルバムです。

レーベルは前作と同様、エクストリーム・メタル系バンドを中心にメタル・バンドを幅広く抱える Century Media Records。そして、メタルコア界隈を中心に Shadows Fall や Hatebreed など若手メタル・バンドを多数手掛ける Zeuss さんがプロデュースを担当しています。

Joe Helm さんによる “椅子の上に立って窓を拭く少女” のアートワークは、Queensryche 史上最もメタルな雰囲気を醸し出しており、全盛期の頃からステレオタイプなメタル系アートワークとは無縁だった彼らの作品とは思えません。何だか、パワーメタルやメタルコアの若手バンドみたい・・・

そんな本作は、メタル要素が完全復活した前作の延長線上にある作風となっています。前作は、35分という “長めのEP” ぐらいの収録時間でしたが、本作では “53分” と通常のフルアルバムのサイズに増量。病み上がり感が若干あった前作に物足りなさを感じていたファンも納得のボリュームです。

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(80年代に取り残された方々を除く)全盛期のファンも満足できる音楽的方向性

  1. Arrow of Time
  2. Guardian
  3. Hellfire
  4. Toxic Remedy
  5. Selfish Lives
  6. Eye 9
  7. Bulletproof
  8. Hourglass
  9. Just Us
  10. All There Was
  11. The Aftermath
  12. Condition Hüman

Zeuss さん起用による影響・・・と言って良いのかどうかわかりませんが、パッと聴いた限りでは “最近のメタル・バンド” みたいなサウンド・プロダクションです。80’sヘヴィメタルのスタジオ盤にありがちな “リバーブ感” はありませんが、グランジ/オルタナ期の作品の乾いた質感とも異なります。ちょうど、両者の間ぐらいでしょうか。

わかりやすく「メタルだな〜」と思える #1『Arrow of Time』#10『All There Was』辺りのスピード・チューンは、まず間違いなく万人に受けるはずです。

他にも Mudvayne みたいなヘヴィなベースラインが耳に残る #6『Eye 9』や、40 Below Summer などの(昔の)売れ線ニューメタルを思わせる清涼感がノスタルジーを感じさせる #8『Hourglass』など、意外と “Geoff Tate独裁時代” の名残もあったりして・・・こういう系の楽曲はオールドファンには受けが悪そうな気もしますが、作品全体のダークな雰囲気にハマっているので個人的には好印象です。Promised〜 を彷彿とさせるイントロの #3『Hellfire』や、新体制では初となる長尺プログレ曲の #12『Condition Human』なども聴き応えがあって良いですね。

前作にも言えることですが、(よっぽど偏屈な人でもない限り)基本的には全盛期のファンを満足させられる音楽的方向性へと戻っています。

とは言え、メタルシーン全体がいつまでも80年代の古臭い型だけに固執しているわけではないでしょうし、当然あの頃には無かったモダンなアレンジやリフもちょいちょい出てきます(”ニューメタルっぽい” とかそういう狭い次元の話ではなくて)。

例えば #7『Bulletproof』や #9『Just Us』のポスト・ハードコアにも通ずる叙情的なメロディラインなんかは、80年代当時の Queensryche には見られませんでした。

こういうのは Queensryche に限った傾向ではないので、ちょっとでも最近のメタルっぽいアレンジが入るだけで拒絶反応を起こされるような方は、当時の作品だけを繰り返し聴き続けたほうが幸せになれるかと思います。

ゲームとかアニメも一緒ですよね。80年代のガチムチなキャラクターデザインそのままだと多くの人に受け入れられないから、大手メーカーは新規ファン向けに “萌え” の要素を入れてみたりして。その一方で、個人製作でやってる海外のクリエイターが、オールドファン向けド真ん中な作品を生み出して一部のマニアックな層から熱狂的な支持を得たりするわけで(例えとして適切かどうかは微妙な所ですが)。こればっかりは仕方ないと思います。

 

2015年版『The Warning』

確かに、粗探しをしようと思えば「◯◯という曲の一部分がオルタナっぽいので、完全復活とは言えない」みたいに、面倒臭い評論家の方々みたいなことも言えないことはありません。

これに関しては、繰り返しになりますが「”ぼくのかんがえたさいきょうのQueensryche” と1ミリでも異なると途端に文句を言い出す」方々の凝り固まった意見を聞いても参考にならないと思うので、これからこのバンドを聴き始める方は “自分の耳で” 判断されることをオススメします(当記事もアテになりません)。

前作が “Queensryche EPの再来” だとすれば、本作はさしずめ “The Warningの2015年版” といったノリでしょうか。音楽性が似ているといった意味ではなく「シンプルな “EP” と、やや複雑化した “1st”」といった関係性が、黎明期の Queensryche と似ている気がします。

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