HAGANEYA(@imech_jp)です。

1999年リリース。前作『Hear in the Now Frontier』を最後に脱退した Chris DeGarmo さんの後任として、Dokken『Shadowlife』や Candlebox のデビュー作をプロデュースしたこともある新ギタリスト Kelly Gray さんが参加しています(本作のプロデュースも担当)。

なお Kelly さんは2002年に諸々の “素行の悪さ” が原因で解雇されており、結果的に本作が唯一の参加作となってしまいました。ちなみに、この方は Geoff Tate さんが以前在籍していた Myth というバンド時代の盟友でもあるわけですが、何というか・・・ “類は友を呼ぶ” という言葉がしっくり来る2人です。

さて、”集積回路 (ICチップ)” みたいなアートワークから「今度はインダストリアル・メタルに浮気したか?」と思われがちな作品ですが、いざ蓋を開けてみると “電子的なアレンジ” は一部の楽曲に留まっています。全体的には、前作・前々作から続く “グランジ/オルタナティブ路線” の延長線上の作風です。

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“UK” からもつまみ食いする辺りが、いかにも Queensryche 的

  1. Falling Down
  2. Sacred Ground
  3. One Life
  4. When the Rain Comes…
  5. How Could I?
  6. Beside You
  7. Liquid Sky
  8. Breakdown
  9. Burning Man
  10. Wot Kinda Man
  11. The Right Side of My Mind

前作 Hear~ は、いわゆる “グランジ~ポスト・グランジ” の流れに同調したラフなアメリカン・ロックでしたが、本作は同ジャンルの発展形とも言える “グルーヴ・メタル~ニューメタル” の要素が強めです。

とりわけ、#1『Falling Down』#2『Sacred Ground』#7『Liguid Sky』#9『Burning』#10『Wot Kinda Man』辺りの “跳ねるようなリズム” からは、ヒップホップをルーツの一つに持つニューメタルならではの特徴が色濃く感じられます。ここは、前作には見られなかった傾向ですね。

さらにもう少し掘り下げると・・・ #1・#2 については、インダストリアル・メタルの特徴の一つであるダンサブルなアレンジが施されています。で、#9 に至っては、ドラム・パターンが完全に “マッドチェスター (マンチェスター・サウンド)” です。低迷期の作品とは言え、単に “USオルタナ化した作品の一つ” 的な作風に収まらず、実は UK サウンドからも影響を受けているあたりが、いかにも Queensryche らしいです。

また、#6『Beside You』のオーガニック&サイケデリックなサウンドは、前々作『Promised Land(邦題:約束の地 ~プロミスト・ランド~)』収録曲を前作 Hear~ のセンスで料理した感じの楽曲であり、どことなくシューゲイザー的な空気感を持っています。

そんな中、本作で唯一 “巷から一定の好評価” を得ている #11『The Right Side of My Mind』は、1~10曲目までと明らかに毛色が異なる楽曲です。さすがに初期の正統派メタル・サウンドや全盛期のプログレッシブなアプローチではなく “ニューメタル界隈の方法論で構築された楽曲” ですが、この曲(#11)に限り Promised~ 期の “渋い” 音楽性が復活しています。

この時期の Queensryche は、アルバムの最後に “従来ファン向けのシリアスな楽曲” を持ってくることが多く、前作収録曲の『sp00L』も単純にオルタナ路線へと100%傾倒したサウンドとは言い切れないものでした。この辺りの微妙なニュアンスの残し方に、ヘヴィメタル・バンドとしてのプライドが顔を覗かせていると感じます。

 

“K-POPアイドルみたいな作品タイトル” にさえ目をつぶれば意外と・・・

13~14年前、私が中古 CD ショップで Queensryche の棚を発見した時、ほとんどの店で『Promised Land』と共に、本作『Q2K』と次作『Tribe』しか置いてありませんでした。Q2K も Tribe も、当時の店頭価格は980円。結局、唯一580円だった Promised~ だけを手にし帰路についた私ですが、改めて振り返ってみると「あの時、後者の2作をスルーして正解だった」とつくづく思います。

メタルの楽しみ方の一つに “ジャケ買い” というものがあることは、ご存知の方も多いでしょう。入念な下調べにより失敗を未然に防げるネット経由での買い物とは違い、ジャケ買いには “何が当たるかわからない” 面白さが付加価値として存在します。

ロック/メタル作品は比較的、アートワーク(CDジャケット)から当たりを付けやすく、駄作判定されるタイプの作品にはどことなく “地雷臭” が漂っていることが多いです。Q2K や Tribe が駄作かどうかは置いておくとしても、“ファンタジックなバンドロゴやバンド名” に対して、”ジャケット・デザインの世界観” が全然合っていないことには、ド素人の私でも即座に気付きました。

あと本作に限って言うならば、いかにも K-POP アイドルグループの名前にありそうな作品タイトルは、もう少し何とかならなかったのでしょうか(せめて『Queensryche 2000』とか)。100歩譲って、Q2K =バンド名なら「若気の至りでテキトーに付けたんだろうな」と諦めもつきますが、”自分の分身” とも言える芸術作品に対して付ける名前としては、あまりにも安直です。こんなタイトルじゃ、やる気が無いと誤解されても文句を言えないと思います。

・・・と、アートワーク&作品タイトルに対して散々こき下ろしてしまいましたが、それはあくまでも “表面的に気になる部分” であり、音楽性に対しての不満ではありません。本作を若手ニューメタル・バンドの新作として聴くと、これがなかなか “悪くない” のです。

もちろん同ジャンルの最大公約数的な焼き直しであることは否めませんが、オルタナ専業のバンドは後続バンドとの “被り” を避けるため、変化球的な作風へと移行することが意外と多く「この時期のシンプルな楽曲が一番良かったのに」と思わされる場面も少なくありません。

一方、この時期の Queensryche のような “隣の芝生” からやってきたバンドは、市場に求められているサウンドを客観的に判断した上でアウトプットできるという強みがあります。もっとも、それが Queensryche というバンドに求められているサウンドではなかったからセールス的に落ちていったわけなんですが、本人達が好きでやっている音楽的方向性であれば、外野は何も言えませんからね・・・

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