HAGANEYA(@imech_jp)です。

2002年リリース。前作『Metropolis Pt. 2: Scenes from a Memory』から3年ぶりとなる通算6作目のフルアルバムであると同時に、バンド初の2枚組作品でもあります。

前作は、歴史的コンセプト・アルバムの一つとして多くのメタルリスナーに認知されたわけですが、さすがに “二枚連続でコンセプト・アルバムが続く” ことになるとは、誰も想像していなかったのではないでしょうか。しかも、よりによって “Metropolis Pt. 2の後” ですからね・・・

ただ、そんな “コンセプト作” “2枚組” という取っつきづらそうな印象とは裏腹に、本作はバンド史上最も統一感が無く、バラエティに富んだ楽曲を多数抱える作品となっています。

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“先人の過去” を振り返ると同時に “自身の未来” を見据えた作品

Metallica オマージュな冒頭パートや5分53秒辺りからの 5 Minutes Alone(Far Beyond Bloken) 系 Pantera パートを経て【9分37秒】辺りからのテクニカル・パートでなぜか “がんばれゴエモン” が脳裏に浮かぶ #1『The Glass Prison』、Falling Into Infinity のオーガニックな質感を持つ楽曲群を1曲に凝縮したかのような #2『Blind Faith』、Type O Negative を思わせるスペーシー&サイケデリックなスロー・チューン #3『Misunderstood』、インプロ感強めな冒頭パートを経てニューメタル系のメロディアスなサビへと突入するも後半のインスト・パートが Awake 的なサイバー感に溢れている #4『The Great Debate』、OK Computer や Amnesiac 辺りの Radiohead を彷彿とさせるアコースティック・サウンド&電子音が印象的なバラード曲 #5『Disappear』。

Magellan にも通ずる RPG 系プログレ・サウンドが心地良いチープさの演出に一役買っている “I. Overture“、Tom Sawyer (Moving Pictures) の SF 感をやや抑えて有機的なピアノ・アレンジを加えた感じの “II. About to Crash“、JRPG のボス戦を思わせる不穏なイントロから三連符のストロングなメタル・サウンドへと突入する “III. War Inside My Head“、LTE の即興感に Symphony X 的なオペラ風味を加えた “IV. The Test That Stumped Them All“、透明感溢れるサウンドに AOR ばりの味わい深い歌声が響き渡る “V. Goodnight Kiss“、重苦しい歌詞と TOTO を思わせるポップ&キャッチーなメロディラインとのギャップが極端過ぎる “VI. Solitary Shell“、疾走ハードロックで始まり徐々に Surrounded 系の瑞々しいサウンドへと移り変わっていくも【3分00秒】辺りから再び冒頭曲のRPG感が蘇ってくる “VII. About to Crash (Reprise)“、クライマックスを告げる大仰なシンフォニック・サウンドが終わると同時に【3分58秒】辺りからの長い長いアウトロが次作の冒頭曲 As I Am へと繋がっていく “VIII. Losing Time / Grand Finale” の全8曲で構成されている #6『Six Degrees of Inner Turbulence』。

本作は、Disc1 と Disc2 で作風が全く異なります。

Disc1 は、これまでの Dream Theater を総括しつつ新たな試みを取り入れた “実験作” とも言えるサウンド・スタイルであり、本作の Disc1 で提示された “雑多なアイディア” が次作『Train of Thought』以降のヘヴィな作風へと発展していくことになります。

一方の Disc2 はアメリカン・プログレ・ハード色が非常に強く、メロディアスな楽曲で統一された “コンセプト・アルバム” です。

ただし、前作(Metropolis Pt. 2)が先人のオマージュを取り入れつつ最先端のプログレメタルを標榜していたのに対して、本作の Disc2 は “ただただ純粋に往年のファンタジー・プログレを再現してみた” といった趣であり、あえて安っぽくしたと思われるシンセ・サウンドやアレンジが “小難しいことを考えずとも楽しめる” 取っつきやすい作風へと直結しているように思えます(歌詞の内容は前作以上に小難しいですが)。

実際「Disc2から聴き始めたほうが入りやすい」と仰るリスナーは結構多いですし、コンセプト・アルバムにも関わらず “コンセプト感が薄い” ため、好きな順番で聴いても特に違和感は感じませんでした。

 

歴史的名盤の次に出た作品が “凡作” とは限らない

本作への巷の評価は概ね良好ですが、しいて言うなら “Metropolis Pt.2 の後に出してしまった” ことが理由で、一部の方々から過小評価されているように感じます。

コンパクトな作品を1〜2作挟めば評価が変わっていたような気もしますが、そもそも “歴史的名盤の次に出た作品=凡作” といった根拠の無い先入観で向き合ってしまうと、どんな作品が来ても楽しめないと思います。このような方の場合、”一旦前作を忘れて聴いてみる” というのも時には必要なのではないでしょうか。

もちろん「次作でMetropolis Pt. 2の完成度を超える自信が無いから、とりあえず今あるネタを “抱き合わせ” で放出してみた」的なマイナスの印象が全く無かったと言えばウソになります。

ですが、実験作だろうが何だろうが “毎回一定以上のコンセプトでまとめてくる” バンドですし、本作も(その他大勢のフォロワー勢に比べれば)遥かに高い次元で実験している感じなので、我々リスナーは黙って素直に楽しめば良いのかもしれません。

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