HAGANEYA(@imech_jp)です。

2005年リリース。前作である 7th『Train of Thought』がヘヴィ路線を好むファンの間で高評価を受けた彼らですが、本作はどちらかと言えばメロディ寄りに舵を切った作品です。

(似てるか似ていないかはさておき)4th『Falling Into Infinity』ぐらいのバランス感覚やオルタナティブな質感でまとめ上げている印象ですが、骨組みとしては 6th『Six Degrees of Inner Turbulence』の「1曲目だけ “前作の雰囲気” を引きずり、2曲目以降が本編」といった構造を踏襲しています。

ちなみに、5th『Metropolis Pt. 2: Scenes from a Memory』から続く “前作最終曲のアウトロと本作1曲目のイントロが(ドラゴンボールの “単行本の背表紙” のように)地続きになっている” のは、この作品が最後です。

また、本作のみ “最終曲のアウトロが1曲目のイントロへと繋がる” という「”7th→8th” でもあり “#8→#1” でもある」ダブルミーニング的な仕掛けになっているわけですが、後者の “数珠つなぎ” とも言える構造からは、Metropolis Pt. 2 の “輪廻転生” というテーマをどことなく彷彿とさせます。

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“新旧HR/HMバンドのオマージュ” が一度に楽しめる、間口の広い作品

Pink Floyd の On the Run(狂気)を彷彿とさせる不穏な電子音によるイントロと前作の雰囲気を引きずったヘヴィなサウンドとの相性が良い #1『The Root of All Evil』、Falling Into Infinity のオーガニックな空気感を本作で唯一引き継いだメロウなバラード曲 #2『The Answer Lies Within』、Meteora(Linkin Park) などのクサメロ系ニューメタルにも通ずる聴きやすさを持つ #3『These Walls』、”ハードポップなU2″ といった趣の清涼感溢れるロック・ナンバー #4『I Walk Beside You』、エクストリームなパワーメタル・サウンドにモダンなテクニカル・アプローチを絡めた #5『Panic Attack』、Museに酷似した某曲にエレクトロなアレンジを加えつつも後半4分14秒辺りからのクラシカルな速弾きに彼らの凄味が表れている #6『Never Enough』、X Japan のバラード曲を思わせる “ただただ美しい” メロディによる前半・4分12秒からのヘヴィな中盤・6分24秒辺りからのシンフォニック・パート…とシンプルなプログレッシブ・ロックの良さを体現した #7『Sacrificed Sons

アンビエントなイントロを経てPink Floyd を彷彿とさせるノスタルジックな70’sプログレ的へと展開していく “I. Someone Like Him“・清涼感溢れる前半のバラード部分や Rush を思わせる終盤のキーボード・サウンドが最高な “II. Medicate“・ヘヴィなサウンドにマイナー調のエレピが絡む “III. Full Circle“・1分半という短い中に “ビッグコア戦のBGM” ばりのテンションを持つサウンドと LaBrie さんの攻撃的なシャウトが詰め込まれた “IV. Intervals“・シアトリカルなストリングスによる音色がクライマックスを盛り上げる “V. Razor’s Edge” …の5曲からなる24分の壮大な組曲 #8『Octavarium』。

元々 3rd『Awake』の頃から兆しはありましたが、前作辺りから “ニューメタル” を思わせるアプローチが格段に増えました。この方向性は次作『Systematic Chaos』まで続くことになり、本作(及び次作)の評価がイマイチ安定しないのは、この辺りの理由も絡んでいるような気もします。

また、本作に低評価を下す方々の理由の大半を占めると思われる、オマージュを通り越して “瓜二つ” のレベルまで似てしまった一部楽曲の存在は大きいでしょう。

彼らの U2 好きが顕著に現れた #4『I Walk Beside You』辺りはギリセーフな気もしますが、#6『Never Enough』は “リフ” から “メロディ” “歌い方” に至るまで Muse の『Stockholm Syndrome』ソックリです。若干ですが、#5『Panic Attack』にも影響を感じる箇所があったので、この時期 Muse にハマりまくっていたというのがよくわかります。

その一方で、Dream Theater 屈指の名バラード #2『The Answer Lies Within』や、『A Change of Seasons』に迫るボリュームを誇る #8『Octavarium』などの超大作曲などが(巷の)評価の下落を最小限にとどめているという側面もあり、何というか・・・色々と惜しい作品です。

あと #8『Octavarium』に関して言えば、Six Degrees~ の Disc2 みたいに1つの曲を分割して収録してくれたほうが良かった気もします(本作の場合は5分割)。

“あえて” 24分ノンストップで聴かせる仕様にしたバンド側の思惑も理解できるのですが、#8『Octavarium』って “単品の楽曲” としての魅力も半端ないんですよね。わかるんだけど “もったいない” という感じです。リッピングして自分で分割しても良いんですけど、こういうのは “オフィシャルで対応する” のと “個人が勝手にやる” のとでは重みが全然変わってきますし・・・

 

彼らの初期作にも通ずる “聴き手を置き去りにしない” アプローチ

個人的に、”プレイヤーの自己満足を満たしている(と誤解されかねない)” だけの超絶技巧はあまり好きではありません。その点、本作に一貫している “聴き手を置き去りにしない” 姿勢は、彼らの初期作品にも通ずる親しみやすさがあり、非常に好感が持てます。

パクリオマージュ云々に関しては、Rush meets Metallica のキャッチコピーが付けられた 1st の時点で既に “そういうバンド” だったわけで「何を今更」といった感じです。むしろ自分は、その手の楽曲を発見したとしても「おっ、またやりやがったな」という感じでニヤニヤしながら聴いています(じゃなきゃ、BABYMETAL なんて聴いてられません)。

にも関わらず、本作だけがやたらパクリだパクリだと騒ぎ立てられてしまったのは、彼らの指す “パクリ元” においてニューメタルの割合が増えたからではないでしょうか。頭の固いメタルリスナーほどグランジ/オルタナティブ界隈の流れを軽視する傾向にある気がしますし、同ジャンルを潜在的に低く見ている部分は結構あるのではないでしょうか。

ニューメタル経由で伝統的なヘヴィメタルを聴き始めた人間からしてみれば、すごく “入りやすい” 作品です。同じくニューメタルの要素が強めな前作『Train of Thought』からメロディが大幅に増量されていますし、当時の私が本作辺りから入っていれば Dream Theater に即ハマっていたんだろうな・・・と思います。

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