HAGANEYA(@imech_jp)です。

2003年リリース。全盛期のメンバーが再集結した『Brave New World』から3年ぶりとなる本作は、前作で開花した “モダンなプログレメタル” スタイルを一旦お休みし、”往年のMaiden流スピード・メタル” の魅力を前面に押し出した快作となっています。

私が Iron Maiden に興味を持ち始めた頃にリリースされた作品であり、リアルタイムで買おうかどうか気になっていたのですが・・・時代遅れのCGで描かれたような “超絶ダサいジャケ絵” と、当時猛威を振るっていた “CCCD(コピーコントロールCD)” のせいで購入を断念した覚えがあります。

結論から言うと、最初の1枚として当時本作を手に取らなかったのは “完全な失敗” でした。なぜなら本作には「Iron Maidenを全く聴いたことのない私が勝手に妄想していた “彼らに対するイメージそのまんま” の音世界が広がっていた」からです(80〜90年代の作品群と比較してもなお)。

  • 妄想 → ロックマンの “空” ステージみたいな、疾走感溢れるポップ・サウンド
  • 現実 → 馬が走ってる感じの疾走曲・前フリが異常に長い大作曲

「この手のベテランバンドは “黄金期の歴史的名盤” から優先的に聴かないといけない」といった暗黙のルールを自分に課してしまいがちな方は意外と多いと思うのですが、こういった例外もあるということですね・・・

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前のめりな楽曲構成・曲順によってもたらされた “勢い” や “若々しさ” が魅力

バンド史上最高のキャッチーなサウンドで後に名曲の仲間入りを果たしそうなスピード・チューン #1『Wildest Dreams』、起伏の激しいドラマティックなメロディで攻めるパワーメタル・ナンバー #2『Rainmaker』、長いイントロを経て2分14秒辺りの “No More Lies!” という掛け声&力強いドラミングで急激にトップギアへ入る #3『No More Lies』、Rob Halford(Judas Priest) 系統の張り上げるようなハイトーンボーカルが新鮮なミディアムテンポのパワーメタル・ナンバー #4『Montségur』、終盤の畳み掛けるようなドラミングが Phantom of the Opera(Iron Maiden) のスリリングな展開を思い起こさせる #5『Dance of Death』、”大空” を感じさせる開放的な雰囲気が全編に渡って繰り広げられるスピード・チューン #6『Gates of Tomorrow』、The Number of the Beast を彷彿とさせるベースラインのAメロ〜マイナー調のシリアスなサビとのギャップが格好良い #7『New Frontier』、”パッシェンデールの戦い” を題材にした重苦しい歌詞が重厚なサウンドと共に再現される #8『Paschendale』、シングルバスを持ち味とする Nico McBrain さんが初めてツーバスを採用したと思われるシンフォニックメタル・ナンバー #9『Face in the Sand』、マイナー調のA・Bメロを経てややアンニュイなポスト・グランジ調のサビへと緩やかに移り変わっていく様が #10『Age of Innocence』、アメリカンロックを思わせる大陸的なA・Bメロと欧州的なフォークロックによるサビが融合した壮大なサウンドが美しい #11『Journeyman』。

やはり本作の最大の特徴は、冒頭から疾走曲が3連続で続くことによる “圧倒的な取っつきやすさ” にあると思います。サウンド・プロダクション的には『Seventh Son of a Seventh Son(邦題:第七の予言)』のアップデート版といった雰囲気ですが、目指している方向性は『The Number of the Beast(邦題:魔力の刻印)』や『Powerslave』辺りでしょうか。

楽曲中盤〜後半を盛り上げるための “前半の入念な仕込み” に拘りを見せる彼らからは考えられないほどオーソドックスなスピード・チューンが続くため、逆に「どうしちゃったの?」と思ってしまいましたが、個人的には「これから Iron Maiden を聴き始める若いメタルリスナーに向けて “入門作” を作ろうとした」のではないか?と勝手に推測しています。

もちろん “Iron Maiden” なので、アルバム中盤から後半にかけて大作が待ち構えている仕様はいつも通りです(そういうバンドです)。とは言え、前のめりな楽曲構成や曲順によって作品全体に “勢い” や “若々しさ” が感じられるのは事実であり「ほんの少しのバランス調整で第一印象は大きく変わる」ということを再認識しました。

 

Maiden節にハマれるかどうかの “リトマス試験紙” 的な役割を果たす作品

どれだけプログレメタル路線が好きでも、しょっちゅう長尺の楽曲ばかり聴いていればさすがに聴き疲れを起こしてしまうと思うので、たまにこういったシンプルなメタルアルバムが来ると気分転換になって良いかもしれません。どのみち、次作『A Matter of Life and Death』でプログレ路線が復活しますし・・・

かつての私のように、勝手に “キャッチーなバンド” だと誤解して Iron Maiden を聴こうとされているのであれば、(00年代以降の作品では)本作から入ってみてください。”最初の1枚” を選び間違えることで印象が180度変わるタイプのバンドなので、本作ぐらい輪郭がくっきりした作風のほうが “他の作品を聴くかどうか” の判断がつきやすいはずです。逆に言えば、本作を聴いてピンと来なかったら “他の作品はもっとピンと来ない” と思います。

繰り返しになってしまいますが、最下位争いできるほどチープなジャケットデザインとは裏腹に、楽曲は全盛期のクオリティに迫るほど良質なので心配無用です。

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