HAGANEYA(@imech_jp)です。

1995年リリース。方向性の違いで1993年に一時脱退した Bruce Dickinson さんに代わり、翌年1994年に Blaze Bayley さんが加入。本作は、Blaze さんが参加した初のスタジオ盤となります。

私が Iron Maiden というバンドを認識した13〜14年前、(新品 or 中古問わず)本作は常にCDショップに売れ残っていた覚えがあります。値段もまちまちで、500円前後で叩き売りしている店もあれば、1,500円〜2,000円で粘る店もあったり・・・

初めて買った 7th『Seventh Son of a Seventh Son(邦題:第七の予言)』が当時どうにも肌に合わなかったこともあってか、ワゴン価格にも関わらず「Iron Maidenは “地雷” だからやめておこう」と見当違いな理由でスルーし続けていたため、本作を手にしたのはホント最近になります。

で、実際に聴いてみて率直に抱いたのは「あれ?思ったほど悪くない?いや、何なら前作より全然・・・」といった “ポジティブな印象” です。

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“アンプラグドなギター・サウンド” と “中世ファンタジー” を思わせる音世界が魅力

Sentenced系ノリノリゴシックと中世ファンタジーを彷彿とさせるメロディが融合した11分超の大作 #1『Sign of the Cross』、あえてサビに重きを置かずイントロや間奏のベースラインを際立たせている #2『Lord of the Flies』、Rapid Fire(British Steel)にキャッチーなサビ&味のあるイントロを加えた感じのスピード・チューン #3『Man on the Edge』、ドゥームメタルばりのスロー&ダークな序盤・中盤を経て終盤でMaidenならではの徐々にスピードを増していくパートが印象的な #4『Fortunes of War』、繊細なイントロと男臭いメタル・サウンドとのギャップが効いている #5『Look for the Truth』、中世ヨーロッパ的の街並みが頭に浮かぶスロー・チューン #6『The Aftermath』、前作収録曲のWeekend Warriorにも通ずるポップ・サウンドが本作のダークな雰囲気を緩和してくれる #7『Judgement of Heaven』、SF風味のベースソロによるイントロ&重厚なストリングスがクールなプログレメタル・ナンバー #8『Blood on the World’s Hands』、透明感と陰鬱な空気を併せ持ったイントロ~Maiden節とも言えるギャロッピングが堪能できる #9『The Edge of Darkness』、ポスト・グランジ的なミディアム・テンポに味わい深いギター・サウンドが馴染む #10『2 A.M.』、彼ららしいリフを要所要所に配置し、趣向を凝らした場面転換によって聴き手を引き込むプログレメタル・ナンバー #11『The Unbeliever』。

個人的に前作『Fear of the Dark』は(従来作と比べて)起伏に乏しい展開が多く、「”大作主義をやめる” か “展開にメリハリを付ける” か、どちらかに方向性を絞ってくれ・・・」と感じていました。

本作の評価点はまさにそこで、”単調になりがちだった楽曲にメリハリが生まれた” ということに尽きます。

新ボーカル Blaze さんの歌唱は、前任者である Bruce さんに比べると “ヘヴィメタル・ボーカリストとしては” 明らかに弱いです。逆に言うと、過去作に収録されていた少々微妙な曲でも Bruce さんが歌えばそれなりに “聴けてしまっていた” とも言えます。Bruce さんの表現力に頼れないからこそ、楽曲構成にフックを効かせる方向に意識が向いたのではないでしょうか。

こう書いてしまうと Blaze さんのボーカルが足を引っ張っているように思われるかもしれませんが、単純にそうとも言い切れなかったりします。「楽曲のメリハリというものは、何も “音域の広さ” だけに左右されるとは限らない」というのは私の持論ですが・・・方向性によっては、メタル的なハイトーンボーカルが上手くハマらないケースだって存在するはずです。

極論を言えば「前作(Fear of the Dark)の単調な作風には、中音域が魅力的な Blaze さんのほうが向いていた」とすら思えます。前作リリース後に Bruce さんと仲違いしてしまい、後に『Staind』や『Creed』辺りのアンニュイ&ダークなポスト・グランジ系アンプラグド・ギター・サウンドの要素を感じる本作において彼が起用されたというのは、ある意味必然的な流れだったと言えるかもしれません。

また、前作には見られなかった本作の特徴として、中世ヨーロッパを思わせる “ファンタジー” 寄りのサウンドが挙げられます。ファンタジーと言ってもドラクエやFFといった “和製” ではなく『ロード・オブ・ザ・リング』や『The Elder Scrolls』のような “本家中世ファンタジー” の雰囲気です。この手の世界観構築を得意とするドイツのパワーメタル・バンド『Blind Guardian』なども中音域のボーカルを売りとしていますが、本作にもどことなく同系統の空気を感じます(”似ている” とかではなく)。

 

リードトラックの “サビの弱さ” は気になるが、作品全体のバランスは意外にも良好

Bruce さん不在による “ガッカリ作品” としてのレッテルを貼られてしまった本作ですが、個人的な評価としては前作『Fear of the Dark』よりも遥かに上です。なおかつ、“ステレオタイプなIron Maidenらしさ” を求めなくても良いのであれば、全盛期の作品に収録されている一部の楽曲を凌駕しているかもしれない、とも付け加えておきます。

奇をてらった “逆張り” 的な主張ではなく、純粋にそう感じました。Amazonカスタマーのレビューに「何百回も聴いてしまうほど感動した作品なのに、某誌に低評価されてて悲しかった」とのコメントが投稿されていましたが、単にこの方の作品に対する思い入れが強いだけではなく “本質的な良さを見抜いた上での冷静な評価” だと思います。その下の「起承転結がしっかりしていて飽きが来ない」といったコメントにも全面的に同意です。

ただし、同アルバムからの 1stシングル『Man on the Edge』および 2ndシングル『Lord of the Flies』における “サビの弱さ” は、確かに気になるところ。前述のリードトラック2曲に関して言えば、Bruce さんのハイトーンボーカルが恋しくなるのも何となくわかります。

ともあれ、アーティストの意向を “一部ファンやメディアの先入観” が上書きしてしまうことは日常茶飯事であり、本作もそんな “被害作” の一つに分類される作品だったのではないでしょうか(あくまでも主観です)。

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