HAGANEYA(@imech_jp)です。

1986年リリース。同時期にリリースされた Judas Priest『Turbo』や Queensryche『Rage for Order(邦題:炎の伝説)』と同様、シンセ・サウンドの導入によって当時 “問題作” のレッテルを貼られていたようです。ちなみに、アメリカ国内だけで100万枚以上を売り上げています。

シンセによる影響は思ったほど(というか全然)大きくなく、むしろ前述の2バンドに比べると最も控えめです。インダストリアル・メタルみたいな過剰な取り入れ方というよりは、Dream Theaterなどのプログレメタルに近いかもしれません。

最初に入手したアルバムではないので思い入れは全く無いのですが「多分本作から聴き始めていたら、もっと早く彼らの魅力に気付けていたんだろうなぁ」といった後悔を感じる作品です。私の Iron Maiden デビューは次作『Seventh Son of a Seventh Son(邦題:第七の予言)』になるわけですが、同じ “シンセ枠” の作品として聴き比べてみても、本作のほうがあらゆる面において勝っているように感じます。

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間違いなく “若手メタルコア・バンドがお手本にしている作品” の一つ

Maiden印のギャロッピングが堪能できるスピード・チューン #1『Caught Somewhere in Time』、メロディアスハード並みのキャッチーなサビが耳に残る #2『Wasted Years』、テクニカルな演奏力が光るAメロ〜歌心を前面に押し出しBメロ&サビ〜ドラマチックな展開・メロディの間奏部分など多彩な顔を見せる #3『Sea of Madness』、The Prisoner と Die with Your Boots On の気持ち良い部分を凝縮した Maiden節の明るいサウンドが心地良い #4『Heaven Can Wait』、若手メタルコア・バンドのネタ元と思われる現代的なリフで構成されたスピード・チューン #5『The Loneliness of the Long Distance Runner』、当時の聖飢魔II辺りにも影響を与えたであろう空間的なシンセ使いが80年代特有のレトロフューチャー感を醸し出す #6『Stranger in a Stranger Land』、Prowler や Iron Maiden などの初期のパンク・ロック的な疾走感を再現している #7『Deja-Vu』、程良いシンセ成分によってプログレッシブ・ロックではなく明確に “プログレメタル” と言える音楽性を実現した #8『Alexander the Great』。

本作の何がすごいかと言いますと、Iron Maiden ファンに求められている “お約束” 的な要素を全て満たした上で、メタルコア世代の始祖とも言えるモダンなメタル・サウンドの “発明” を同時にしてしまった、ということです。

Iron Maiden(邦題:鋼鉄の処女)』期のパンク路線を復活させた『Deja-Vu』、Iron Maidenそのものと言える『Caught Somewhere in Time』、ステレオタイプなメタルコア・サウンドの元ネタ『The Loneliness of the Long Distance Runner』などなど・・・それぞれ異なるアプローチのスピード・チューンですが、いずれも強烈な個性を放っています。

また、今まで若干取っ付きにくかったプログレ系の楽曲も、本作においては上手く溶け込んでいる印象です。楽曲構成・メロディが洗練化されたことも理由としては大きいと思いますが、シンセの導入によって楽曲の世界観の演出に幅が生まれた気がします。『Alexander the Great』に関して言えば、限りなく “Dream Theater以降のプログレメタル・サウンド” に近い楽曲です。

 

「評論家の意見より “巷の意見” のほうが信ぴょう性が高い」ということを露呈した作品

なぜ、この作品が当時問題作扱いされていたのでしょうか・・・シンセがちょっとだけ入っていたから?全くもって意味がわかりません。やはり音楽は、評論家様のありがたいお言葉に左右されず “感じる” ことが大切ですね。

おそらく多くの方々は “某国産メタル誌” のことを仰っているのだと思いますが、実際この雑誌は(V系出身という理由だけで)当時海外で最も活躍していた『DIR EN GREY』を取り扱うまで随分と時間が掛かっていた覚えがあります。でもって現在は、当時の DIR のポジションに『BABYMETAL』が立たされているわけです。良いものを良いと素直に認められない方々を見ていると、同じ日本人として本当に恥ずかしい・・・

ともあれ、ネット上の数多くのリスナーの間で “最高傑作” のワードが飛び交っているという事実が、本作の “真の評価” を端的に表しているのは明白です。個人的には『The Number of the Beast(邦題:魔力の刻印)』よりもよっぽど Iron Maiden らしいし、前作『Powerslave』かそれ以上に取っ付きやすい作風だと思っています。

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