HAGANEYA(@imech_jp)です。

1990年リリース。Adrian Smith さんが一時脱退し、後任ギタリストとして Janick Gers さんが初参加した作品です。なお Adrian さんは、次作『Fear of the Dark』リリース後に一時脱退したボーカルの Bruce Dickinson さんと共に、1999年に揃って出戻ることに。その際に本作から参加した Janick さんも残留したため、現在の Iron Maiden はギタリストを3人抱える大所帯バンドとなっています。

ちなみに本作は、私が Iron Maiden をよく知らなかった頃に購入した3作の内の1作です(あとの2つは 7th『Seventh Son of a Seventh Son』と 4th『Piece of Mind』)。他2作に漂う “わかりにくさ” とは一転、あまりにも聴きやすいその作風に私は「割と好みなんだけど、本当にこのアルバムから入って良かったのか?これは本当に Iron Maiden なのか?」と疑心暗鬼になっていたのを覚えています。やはり、バンドの色が良く出ている作品をなるべく先に聴いておきたいですからね・・・

結論を言ってしまうと、本作は比較的 “Iron Maidenらしさ” が出ている側の作品です。世間的には “凡作” レベルの評価にとどまっているようですが、これが凡作扱いなら、世の中のロック/メタルアルバムは駄作だらけになってしまう気もします。

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“原点回帰作” にも関わらず、なぜか嫌われてしまった不遇の作品

The Number of the Beast 期に戻ったかのような明るいメタル・サウンドが特徴的な #1『Tail Gunner』、ハードロック寄りの粗い演奏が味を出している #2『Holy Smoke』、前作の Infinite Dreams と瓜二つな演歌イントロ〜後半にスピード・チューンを隠すという Iron Maiden お得意の “前フリ長過ぎ” 系ソング #3『No Prayer for the Dying』、 シャウトとクリーンボイスが交互に訪れる “メタルコアの原型” みたいな歌唱法を採用した #4『Public Enema Number One』、過去作には見られないシンフォニックメタル風のドラマチックなイントロ〜ミディアムテンポのパワーメタル・ナンバー #5『Fates Warning』、透明感のあるイントロ〜鬼気迫る前半〜疾走感を増していく後半…と独特の緊張感に支配される #6『The Assassin』、前曲からの組曲的な雰囲気で緊張感を持続〜2分51秒辺りからの畳み掛けるようなツインリードのハモりが最高な #7『Run Silent Run Deep』、Judas Priest の Locked In (Turbo) からシンセ要素を抜いた感じのイントロ〜サビの清涼感溢れるメロディ&展開が鳥肌モノの #8『Hooks in You』、Queensryche の Revolution Calling 辺りにも通ずるドラマチックな構成&キャッチーなサビが味わい深さを演出している #9『Bring Your Daughter… to the Slaughter』、オーケストラ的な味付け&タイトル通りの冷やっとした空気感を醸し出すコンパクトなプログレ・ナンバー #10『Mother Russia』。

シンセを前面に押し出した前作『Seventh Son of a Seventh Son(邦題:第七の予言)』や前々作『Somewhere in Time』からの流れを考えると “原点回帰” とも言えるような音楽性となっています。

巷の低評価理由の一つとして “ラフな音作り” というものがありますが、彼らは Judas Priest などとは異なり “パンク・ロック” 寄りの音楽性からキャリアをスタートさせているバンドです。そもそも “初期のラフなサウンド自体が一定の評価を得ている” わけで、この件をあげつらって低評価の理由とするのは少々矛盾が生じるようにも思えます。

Judas Priest で例えるなら「『British Steel』は受け入れられるけど『Point of Entry(邦題:黄金のスペクトル)』は受け入れられない」といった感じでしょうか。骨組み的には似ているんだけど、アウトプットの仕方で評価が割れた気がします。

別に上級者向けでもありませんし、単に “大作主義” 的な作風を好むリスナーから嫌われるタイプの作風だっただけではないでしょうか。3rd『The Number of the Beast(邦題:魔力の刻印)』〜4th『Piece of Mind(邦題:頭脳改革)』辺りのサウンドが好きであれば、本作も結構良い線を行っていると思います。

 

曲順・曲構成によるテンポの悪さが無ければ “第2のThe Number of the Beast” になれたかも?

例のごとく、Judas Priest の『Point of Entry』や『Turbo』を愛聴する私にとって本作は “高評価” の部類に入ります(13〜14年前によく車でドライブしながらCDをかけてました)。元々ラフなサウンドを好むタイプなので、あまり参考にならないかもしれませんが・・・私みたいなメタルファンも中にはいるということです。私の記事がアテにならないのと同じぐらい “世間の評価もアテにならない” ものなので、結局は自分自身の耳で判断するしかないと思います。

あえて欠点を挙げるとするならば、”即効性の低い楽曲構成によってテンポを若干悪くしている箇所がある” ということでしょうか(表題曲『No Prayer for the Dying』のことです)。シンプル路線で行くなら行くで、冗長な楽曲は徹底的に無くしたほうが本作の方向性には合っていたと思います。この点に関しては、前作『Seventh Son of a Seventh Son』の特性をちょっとだけ引きずってしまった印象です(向こうはそれが “味” になっていたのでセーフ)。

個人的には、歴史的名盤の呼び声も高い『The Number of the Beast』路線の良作だと思っています。

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