HAGANEYA(@imech_jp)です。

2014年リリース。本作『Redeemer of Souls(邦題:贖罪の化身)』は、過大評価気味だった『Angel of Retribution』や問題作『Nostradamus』へのネガティブな反響を受け止め、直近2作の欠点を素直に潰してきたかのような、何とも非の打ち所がない作品です。

なお、(実質)結成時のオリジナルメンバーの一人と言っても過言ではない K.K. Downing さんは、本作がリリースされる3年前(2011年)に脱退しています。

ただ、脱退も何も・・・バンド自身が前年(2010年)に「ワールドツアーは2011年で最後にする(2015年に発言を撤回)」って言っちゃってるし、K.K. Downing さん自体はむしろ活動休止や解散に近い心境だったのではないでしょうか。40年以上在籍していたわけで、いい加減 “休みたかった” んだろうな・・・と。

参考記事

K.K.ダウニング「ジューダス・プリーストを楽しめなくなっていた」|BARKS音楽ニュース

K.K. Downing さんの脱退により、若き新ギタリスト Richie Foulkner さんが同年に加入。「Glenn Tipton と K.K. Downingによるツインリードが・・・」といったお馴染みの謳い文句はもう使えませんが、Richieさんのプレイも申し分ない水準に達しているので特に違和感は感じませんでした。

サウンド的には『Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)』〜『Defenders of the Faith(邦題:背徳の掟)』期の手触りを感じさせつつ、『Painkiller』以降の禍々しいリフも入っているので、絶頂期のスピード・チューンを求めるファンの期待には応えられているのではないでしょうか。

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『Halford』のスピード感を本家に望んでいた方々はようやく満足できるかも

雷鳴が轟くイントロからお馴染みのスピード・チューンになだれ込む #1『Dragonaut』、三連符の力強いリズムにウォーメタル的な男臭さを感じる #2『Redeemer of Souls』、ハイトーンボイスのシャウトから始まり終盤に向けてドラマチックな展開を見せるパワー・メタル・ナンバー #3『Halls of Valhalla』、前作からシンフォニック要素を抜いた4分の3拍子のミドル・チューン #4『Sword of Damocles』、Disturbedを逆輸入した感じのリズミカルなナンバー #5『March of the Damned』、Clayman期の In Flames にも通じるイエテボリ系メロデスのような北欧風味のメロディが心地良い #6『Down in Flames』、Megadethライクなメロディラインのスロー・チューン #7『Hell & Back』、ノリノリ系ゴシックメタルのようなメランコリックさを感じる #8『Cold Blooded』、全編ツーバス&終盤の泣きのギターソロが最高な #9『Metalizer』、”間” を効果的に使った味わい深いハードロック・ナンバー #10『Crossfire』、重厚なストリングス&クワイアが耳に残るシンフォニック・ゴシックメタル・ナンバー #11『Secrets of the Dead』、メタルコアに接近したモダンなリフが特徴的なスピード・チューン #12『Battle Cry』、シンプルかつ透明感のあるギター&ボーカルがアルバムの最後を締めくくるのに最適な #13『Beginning of the End』。

特筆すべきは、スピード・チューンを1発目に持ってきたことです。Painkiller以降しばらく途絶えていた要素を復活させることによって、Robさんのサイドプロジェクトである『Halford』路線を本家に望む方々の期待に初めて応えた形になります。スピード感を落とさない程度にスロー〜ミドル・チューンも配置されているので、バランス的にも絶妙です。

大きな違いと言えば、Robさんのボーカルが絶頂期の頃のハイトーンボイスではなく、中音域メインになっていることぐらいでしょうか。

この点をあげつらって低評価を下す方もいらっしゃいますが「そのぐらい大目に見てあげろよ」と言いたくなります。前作のような中音域を活かした “年相応の作品” を作ったら作ったで批判の的になる上に、こういったアップテンポ寄りの作品まで批判されてしまったら、もう何も作れなくなるでしょ・・・そういう方々は “批判するために” 無理に聴こうとせず、素直に最近の若いメタルバンドだけを聴いてください。

 

過去の名盤を “後追い” で聴くのが億劫なら、本作からでも大丈夫

前作・前々作は最初の1枚として薦めるには敷居の高い作風でしたが、本作であれば十分にオススメできます(多少大人しめなのがネック)。

もちろん、先に『Screaming for Vengeance』『Defenders of Faith』『Painkiller』から聴いたほうが絶対に良いんですが、「メタルゴッドって言われてるみたいだけど、どんな音楽やってるの?」と興味を持たれた方々への疑問を払拭する程度のクオリティは備えているはずです。過去作を勉強するのが億劫な方々もいらっしゃるでしょうし、本作から聴いても特に問題はないと思います。

Judas Priest に限らず、大御所の新作には “とりあえず否定したい” 方々が絶対に一定数出てきますが、彼らの発言には “低評価理由” が明記されていないことが多いです。一方で、大ファンであるがゆえに礼讃する方々の “高評価理由” も明記されていない場合もあります。初めて本作に触れる方は、そういった根拠の無い低評価・高評価はあまり気にせず、ぜひ実際に聴いてご自分の耳で判断してみてください。

ちなみに個人的には、名盤までは行かないものの “ステレオタイプなJudasサウンドを求めるリスナーにとっての良作” レベルの水準には達していると思いました。また、4th『Indestructible』以降の Disturbed の正統派メタル路線が好きな方々は、音楽性が若干似てるので意外とハマるかもしれません(何気にジャケ絵のタッチも似てる)。

守りに入り過ぎず、いまだに賛否両論作と良作をコンスタントに生み出す彼らのチャレンジ精神・サービス精神が私は大好きです。本作は、長年応援してくれたファンに対してのサービス精神がやや強めに出たタイプの作品だと思います。

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