HAGANEYA(@imech_jp)です。

2008年リリース。黄金期のスピード感を求めるファンと、初期の味わい深いブリティッシュ・ロック路線を求めるファンの間で板挟みになってしまった前作『Angel of Retribution』から3年。「年齢を考えると、そろそろ厳しいかもしれない・・・」なんて思っていた矢先にリリースされた新作は、良くも悪くもツッコミどころ満載な作品でした。

一応 “Judas Priest初のコンセプト・アルバム” というのが売りの一つみたいですが、初期の名盤『Sad Wings of Destiny(邦題:運命の翼)』にもコンセプト的な要素は含まれているので、個人的には本作が初という印象はあまりありません。おそらく、”2枚組” や “1つの事柄(ノストラダムス)だけを徹底的に掘り下げる” といった明確な特徴を指して、コンセプト・アルバムという呼称を使いたかったのではないかと思います。

特徴としては、シンセサイザーを大々的に使い “シンフォニック・ゴシックメタル” のような音楽性を実現している点でしょうか。同じくシンセ要素の強い『Turbo』が80年代特有のレトロフューチャー的なエレポップ寄りの音だったのに対し、本作は本格的なオーケストラ・サウンドに接近した、空間的な広がりを感じるシリアスな作風となっています。

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各楽曲についての率直な感想

普段は全トラックに一言コメントを入れているのですが、今回は曲数が多いので気になった曲をピックアップしていきます。

ディスク1

Enter Sandman(Metallica)を彷彿とさせるスロー・チューン #2『Prophecy』、Judasお馴染みのカッティング&アコースティック・ギターによるソロ・パートが美しい #4『Revelations』、前作のDeal with the Devilをシンフォニックにアレンジした感じのスピード・チューン #13『Persecution』は、最低限聴いておいて損はないと思います。聴き慣れてくると、中盤の映画音楽的な楽曲群も楽しめるようになるかもしれません。

ディスク2

4分の3拍子のリズムがシンフォニック感をより引き立たせる #2『Exiled』、Evanescenceなどのゴシック系ニューメタルの雰囲気を持つ #5『Visions』、ドリーム・ポップのような浮遊感と変拍子のドラムが不思議な世界観を醸し出す #7『New Beginnings』、Night Comes Down(Defenders of the Faith)の再来を感じさせる #8『Calm Before the Storm』、Painkiller期のスピード感・攻撃性・ハイトーンボーカル・曲構成に肉薄する本作最大のキラー・チューン #9『Nostradamus』などが特にオススメですが、ディスク2は良曲揃いなので、全曲通して聴くことをオススメします。

 

上手く1枚にまとめられていれば・・・

案の定というか・・・本作は “問題作” として多くのリスナーに受け入れられることになります。その理由として最も多いのが、”単調にも関わらずムダに長い” というもの。

この点については私も(半分)同意見です。”1枚に凝縮すればだいぶ聴きやすくなるに違いない” なんて思いつつ、その一方で「ノストラダムスの人生が濃すぎるがあまり、1枚に収めることがどうしても出来なかったんだろうな・・・」という同情に近い感情も湧いたりして。そもそも「ノストラダムスというテーマに拘る必要があったのか?」と突っ込みたくなるところですが、さすがにそれは酷なのでやめておきます。

単調なメロディ(主にディスク1)については、本作がゴシックメタルを意識して作られたのであれば納得です。シンフォニック要素によって分かりづらくなっていますが、ゴシックメタル自体は元々ドゥームメタルをルーツに持つジャンルであり、そもそも “メリハリが無いのが個性” みたいな側面もある音楽性なので、着地点としては間違ってはいないと思います。

 

別にコンセプト・アルバムという “先入観” に縛られなくても良いと思う

ところで・・・ディスク2ちゃんと聴きましたか?

両方を最後まで聴いた上で “どうしても肌に合わない” のであれば仕方ないですが、ディスク1のさわりだけテキトーに聴いて “駄作” だとか “拷問” だとか “終わった” なんて言ってるのであれば非常にもったいないです。確かにディスク1が少々取っ付きにくい構造になっている感は否めませんが、ディスク2に限って言えば『Sad Wings of Destiny』に迫る良質のメロディとバランス感覚を備えていると思います。

あくまで個人的な “聴き方のススメ” ですが、ディスク1は序盤と終盤(特に『Persecution』)を重点的に聴きつつ、ディスク2は全編通して聴いてみてください。本作の鬼門は “ディスク1の中盤部分” にあると思うので、無理に聴こうとせずスルーするのも一つの手です。あるいは、自分好みの曲順にしてしまうのもアリかもしれません。

コンセプト・アルバムという先入観に縛られたまま聴いてしまうと、本作の楽曲の良さに気付かぬまま駄作の烙印を押してしまいがちです。そうではなく “2枚組の裏ベスト・アルバム” 的な感覚で捉えてみると、また違った世界が見えてくると思います。

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