HAGANEYA(@imech_jp)です。

1990年リリース。「Judas Priest の名盤を1枚だけ挙げろ」と言われた際に『Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)』と並び、多くのファンから真っ先に名前が挙がる作品です。

正直このバンドは、名盤クラスのアルバムが多過ぎるのですが・・・それらを抑えつつ、この2枚が特に支持されている理由はやはり “歴史的価値” にあると思っています。

『Screaming for Vengeance』で、Judas Priest は “ヘヴィメタルの教科書” を作りました。その後、正統派メタルに影響を受けた後続のバンド達は、より過激に進化した “スラッシュ・メタル” や “パワーメタル(メロディックスピードメタルとほぼ同義)” というジャンルを生み出します。そんな “Judas Priestチルドレン” の音楽性を逆輸入したのが、本作『Painkiller』です。

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Judas Priest が “ファンタジー性の強いメタル” を演ったらどうなるか?

特徴としては、まず “音質が現在のメタルに近づいた” ということが挙げられます。これはドラムが Dave Holland さんから『Racer X』の Scott Travis さんに交代したことも大きいでしょう。

前作『Ram it Down』までのサウンドは “レトロなヘヴィメタル” 感が強いため、良くも悪くも “資料” としての視点が入ってきがちです。バンド自身も “第2のデビュー作” と言っている通り、本作は彼らが “偶像” から “生き神” へと姿形を変えた作品と言っても過言ではないと思います。

バンド史上最も凶悪な高速ツーバスで幕を開ける #1『Painkiller』、重厚感ある三連符のミドル・チューン #2『Hell Patrol』、ヒステリックなハイトーンによるイントロ〜Judas節のカッティングを堪能できる #3『All Guns Blazing』、オルタネイト・ピッキングで終始突っ走りまくる #4『Leather Rebel』、ネオクラシカルな早弾きイントロ〜Helloweenを思わせるパワーメタル〜サビでHansi Kursch(Blind Guardian)系の中音域ボーカルに意表を突かれる #5『Metal Meltdown』、スピードメタルにミドルテンポなボーカルが乗るギャップが面白い #6『Night Crawler』、低音ベースによるイントロからのStratovarius風パワーメタルがバンドの新境地を感じさせる #7『Between the Hammer & the Anvil』、効果的なシンセ・サウンドが絡むシンフォニックメタル・ナンバー #8『A Touch of Evil』、次曲への期待を煽る仰々しいインスト曲 #9『Battle Hymn』、エピックメタル的な壮大な展開が興奮を呼ぶ #10『One Shot at Glory』。

一見そういう風には見えませんが、個人的には本作も “実験作” だと思っています。本作は「Judas Priestがファンタジー性の強いメタルを演ったらどうなるか?」というテーマを見事に体現してみせた作品だと言えるのではないでしょうか。

 

Rob Halford 脱退前 “最後” のスタジオ作

本作を最後に、ボーカルの Rob Halford さんが一時脱退してしまいます。レーベルと “ソロプロジェクトの契約問題” でもめたことが原因だったそうですが、第2のデビューと銘打った割には早過ぎる幕引きです。

その後、数年のボーカル不在状態を経て、1997年に新ボーカル Tim Ripper Owens さんを迎え、”真の” 問題作『Jugulator』が生まれることとなります。Rob Halford さんソックリの声質を持つボーカルはともかく、グルーヴ・メタルに接近したブルータルな音楽性は当時受け入れられなかったようです。

個人的に『Jugulator』は、そこまで悪い作品だとは思ってはいないのですが…やはりJudas Priestのメロディアスな側面を切り捨ててしまったのは痛かったですね。流行りの音楽性に浮気したことよりも、ファンとしてはそちらのほうが許せなかったのかもしれません。

ちなみに、誤解の無いように書いておくと・・・Rob Halford さんが脱退したのは本作リリース直後ではなく、ベスト盤『Metal Works ’73-’93』がリリースされる前年の1992年です。ですので、本作が直接的に脱退の原因に絡んでいるということは無いかと思います(真相は不明)。

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