HAGANEYA(@imech_jp)です。

1976年リリース。天使をモチーフにした “ギリシャ神話的な世界観のジャケット写真” や “バンドのロゴ” さらには “音楽性” に至るまで、後年のいわゆる “正統派メタル” 路線から聴き始めた方々にとっては、同じバンドだとは思えない作品です。

次作『Sin After Sin(邦題:背信の門)』の作風について「後年のどの作品にも似ていない」という表現を使いましたが、これはあくまでも “Judas Priestの型の中で” 似ていない作品というニュアンスになります。

で、本作は似ていないどころか “ほぼ別バンドの作品” といった感じでしょうか。一部、後のスタイルを彷彿とさせる楽曲もあるのですが、その手の曲は本作において “脇役” 的な立ち位置のように思えます。

スポンサードリンク

 

模索していた時代に生まれた “意欲作”

本作がどういった層に刺さる(刺さりそう)か?というのを単刀直入に説明しますと、いわゆる “ロック・オペラ” が好きな方向けです。具体名を出すと・・・『Queen』好きが一発でハマりそうなサウンドだと思います。

また Queen のみならず『Black Sabbath』や『Led Zeppelin』などの有名なハードロック・バンドの影響下にある楽曲も存在するなど、模索していた時代の作品であることが強く感じられる作風です。

ちなみに、本作について “プログレッシブ” というワードを使われる方が多いので誤解されがちですが、いわゆる “プログレ・メタル” 的な音楽性を期待して聴くと肩透かしを食らうかもしれません。演奏技術を前面に押し出したり変拍子を多用したものではなく、ストーリー性や世界観を重視した “プログレッシブ・ロック” に近い作風です。雰囲気は全く違いますが、Queensryche の『Operation: Mindcrime』みたいな感じをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。プログレメタルではなく “プログレッシブなヘヴィメタル(ハードロック)” といった感じでしょうか。

Led Zeppelin風ハード・ロックにストーリー性を持たせた約8分の長尺曲 #1『Victim of Changes』、禍々しいイントロ&金切り声からの悪魔的な歌声にBlack Sabbath的ドゥーム要素を感じる #2『The Ripper』、超ハイトーンボーカルに泣きのギターが絡むバラード曲 #3『Dreamer Deceiver』、前曲からの壮大な前フリを経て始まる三連符のミドル・チューン #4『Deceiver』、B面のトップを飾るピアノ&ストリングスのインスト曲 #5『Prelude』、後年のJudasスタイルを彷彿とさせる本作唯一のスピード・チューン #6『Tyrant』、渇いたサウンドが本作の重厚な雰囲気から一旦解放してくれる #7『Genocide』、中音域のムーディーなボーカル&ピアノの優しい音色が心地良い #8『Epitaph』、熱いハード・ロック〜中盤で一瞬訪れるスローテンポのパートにドラマ性を感じる #9『Island of Domination』。

ここまで読んでいただいて既にお分かりかと思いますが、決して “爽快なメタル・アルバム” ではありません。腰を据えてじっくり聴くタイプの作品です。

 

“Judas流” ロック・オペラ

Judas Priest にスピード感 “だけ” を求める方々は、完全スルーしてOKだと思います。『British Steel』のグルーヴ路線とも『Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)』のスピード路線とも異なるので、対象となるリスナー層はかなり狭い感じです。

また、Judas Priest=メタルのイメージだけで、”ステレオタイプな” プログレメタルを期待して本作を手に取ったとしてもおそらくガッカリするでしょう。そういった方はむしろ『Nostradamus』辺りを聴かれたほうがしっくり来るかと思います。

繰り返しになってしまいますが、良くも悪くも “別バンドの作品” であり、後年の華やかさとは程遠い作風です。そして、この “渋い” 音作り&楽曲構成がクセになるタイプの人も(ここに)存在します。Judas Priest の作品といった感覚はおそらく得られませんが、良質のロック・オペラを欲しているのであれば、その期待に応えてくれる作品です。

スポンサードリンク